大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

滅鬼の刃・29『二回目』

2023-05-26 17:26:00 | エッセー

 エッセーラノベ    

29『二回目』   

 

 

 うっかり同じテーマで二回書いてしまいました。

 

 23回と28回、タイトルも同じ『元日の新聞』で、いやはや焼きが回りました。

 28回目を書き終えて、三日目に栞に指摘されました。

「え、そんな馬鹿な……」

「ほらぁ(^_^;)」

「あちゃ~~」

 

 それで、今日は『二回目』をテーマに書いてみようと思い立ちました。

 

 五十数年前、うかつにも高校二年を2回やってしまいました。

 早い話が落第したわけです。

 当時、生徒の身でありながら高校演劇の役員をやっていたわたしは、年度末の役員会を終えて帰宅して、茶の間の沈鬱な空気に――ヤバイ――と思いました。

 小学校に入って間がないころ、いつもとは一本違う道に入り込んで、大きな野良犬と目が合ってしまったことがあります。あの時の――ヤバイ――に似ていました。

 お袋は、担任の先生と、もう一人えらい先生が来て留年を宣告していった事実を目を合わせることも無く伝えました。

 

 親父は、こんな話をしました。

 

 わたしには、三つ年下の妹がいたと言うのです。

 わたしには三つ年上の姉がいて、ずっと、その姉との二人姉弟だと思っていました。

 姉は、勉強も出来て、弟のわたしから見ても器量よしで、しっかり者の姉ちゃんでした。

 ところが、わたしが生まれた三年後、三人目が宿ったことが分かって、親父とお袋は堕ろすことに決めました。当時の家計では三人目を育てることは無理と判断したんですね。

「……女の子だった」

 そんなつもりは無かったのかもしれませんが、言外に、女の子が生まれていたら――きっと落第などしないいい子だったろう――という、強烈な残念さを感じました。

 高校二年というのは修学旅行のある学年です。ご丁寧に、二度目の修学旅行にも行きました。

 わたしが親なら「バカモン! 二回も修学旅行に行くやつがあるか!」と叱っていたでしょう。

 親父は、あっさりと二回目の修学旅行費を一括で払ってくれました。

 修学旅行は二回目も同じ信州方面。同じコースを同じバス会社のバスで、あれ?っと思ったらバスガイドさんまで一回目と同じ人でした(^_^;)。

 留年と修学旅行に関しては面白い話もあるのですが、それは、また別の機会ということにします。

 

 二回目というテーマに戻ります。

 

 ちょっとした運命のいたずらで孫娘の栞といっしょに暮しています。

 娘の娘で、正真正銘の孫娘なのですが、早くに引き取ったので、なんだか子育ての二回戦という感じです。

 栞も「二回目の父親だ!」などと言って、境遇を面白がっているように言います。

 わたしも「二回目の娘だ!」と言って調子を合わせております。

 これも踏み込むと奥が深すぎますので、主題に入ります。

 

 主題は「二回目の人との接し方」です。

 

 大人になってからでも半世紀以上生きておりますと、初対面の人とはソツなく接するようになります。あるいは出来るようになります。

「どうも、お世話になります」「大橋と申します」「武者走などと大層なペンネームですが」「いやあ、今日は暑いですねえ」「お噂はかねがね」「ごいっしょさせていただきます」「お隣り、よろしいでしょうか」「あ、そうだ」

 切り出し方はさまざまですが、切り出して、その反応で(あまり話しかけない方がいい)とか(この話題でいこう)とか(こっちの話の方が)とか感じながら接していきます。

 友だちがイタ飯屋を経営していて、仕事の帰りなど看板までいたものですが、テーブルが二つに、カウンター席が八つほどでしたので、ちょっと客同士の距離が近いのです。

 その客も、友人であるマスターの友だちや知り合いが多く、こちらもマスターの友人。場合によっては「こいつ、古い友だちで大橋っていうんだ」的に振られます。

 こういう時に「あ、ども」だけでは、なんとも素っ気なさすぎるので、まあ、互いに気を遣ってしまう訳ですね。

 それで、話題を探るわけです。

 

 持病で、月に一回病院に通っていました。十年ほどはお袋の車いすを押して週一回病院に連れていきました。二年ほどは父を別の病院に、老人ホームにも通いました。

 待っている間に、隣の人と話になることもあります。こちらは馴染みの患者、あるいは付き添いなので、病院や施設の事情にも詳しいので、時どき訊ねられます「薬局はどちらでしょう?」「待ち時間長いですか?」「問診票のここ、どう書くんでしょう?」「トイレどこでしょう?」「ちょっと見ててもらえます?」など、ちょっとしたやり取りなのですが、病院の待ち時間は一時間を超えることはザラなので、控え目にしながらも話すことがあります。

 そういう人たちと、二度目に会った時が、ちょっと厄介です。

「あ、先日は……」

 向こうから話しかけてこられたり、話しかけるのではなく目礼などされると、話さざるを得ません。

 そうすると、もうなおざりな話では済まないような気になって、話題を考え、返事を考えしたりできりきり舞いになってしまいます。お天気の話がいちばん無難なんですが、そうそうお天気の話ではもちません。趣味の話は押しつけがましいし、そうだ、前回はなにを話したっけ、えと……えと……。

 一番困るのは――え、知ってるようなんだけど、どこで会ったかな? 勘違いかなあ?――とか悩みます。

 あ、二回目なんだけど名前が出てこない! えと……お名前は……(-_-;)

「あ、先日はどうも(^_^;)」と、適当に先手を打って「え、初めてですが?」的に返されたら目も当てられません。

 間違いなく――適当なやつだなあ――と思われます。

 さらに困るのは、こちらが最初気づかなくて、相手が先に気付いて――失礼なやつ、シカトしやがって――と気まずくなる時ですねえ。

 電車の向かいのシートで、なんだか不機嫌な年寄りが座っていて――なんだ、この爺さんは?――と視線を避け、しばらくしてから――あ、先輩だ!――と気づいたあとの気まずさ(-_-;)。

 

 ププ( ´艸`)

 

 ここまでキーボードをたたいていると、後ろで二回目の娘が噴き出しました。

「もう、神経質な文章書いてぇ、もう、お風呂入ってしまってよね」

「え、晩御飯まだだぞ」

「え……」

 真顔になる二回目の娘。

「え、あ……ハハ、うそうそ」

 冗談でかましたのですが、翌朝、学校に行くまで心配そうな顔をされたのには参りました(^_^;)

 

☆彡 主な登場人物

  •  わたし        武者走走九郎 Or 大橋むつお
  •  栞          わたしの孫娘 

 

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せやさかい・411『バンとナンシー』

2023-05-26 09:26:37 | ノベル

・411

『バンとナンシー』詩(ことは)   

 

 

 ついつい出てしまう言葉ってあるよね。

 

 はにゃ?  アセアセ  さーせぇん  草  ビエーン  こみこみで  知らんけど  まるっと

 

 大学の構内では今風の言葉が溢れてる。

 言葉って、同族意識の現われ。

 ふるさとの 訛なつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく

 石川啄木の歌なんか身に染みてよく分かる。

 同じ言葉を聞いて、同じ言葉を使っていると安心、とりあえず人との距離が近くなる。

 あまり、流行りの言葉って使わない方だけど、気が付いたら「ブルータス、わたしもか!?」って感じで口にしたり、メールで使ったりしてる。

 お母さんが東京の出身なんで、生まれも育ちも堺なのに標準語っぽい言葉になってる。お母さんの親類に言わせると「詩(ことは)ちゃんのは関西訛の東京弁」だそう。

 わたしには、人が使わない口癖がある。

 

 ナマンダブ

 

 きちんと書くと南無阿弥陀仏。

 家がお寺なので、このナマンダブは日に数十回は聞く。

 ひょっとして、生まれて初めて聞いた言葉なのかもしれない。

 兄の時とはちがって難産だったので、お父さんが立ち会ったらしい。

 お坊さんというのは、嬉しいにつけ悲しいにつけ「ナマンダブ」が口を突いて出る。

 お父さんは、生まれたばかりのわたしに思わず手を合わせて「ナマンダブ」って、お母さんが言ってた。

 病院から家に帰ると、檀家の総代さんや婦人部長さんなんかも来ていて、ベビーベッドのわたしに盛大に「ナマンダブ」を投げかけた。

 さすがに、口に出して言うことは、めったにない。

 

「ううん、言ってるわよ」

 

「え、ほんと!?」

「言葉に出さずに、口の形。時どきはほんとに言ってる」

 窓辺の花を替えながらお母さんが楽しそうに言う。

「ここのお花は使い放題で、嬉しくなっちゃう」

「ああ、でもほどほどにね(^_^;)」

 三日前から宮殿に戻っている。

 やることは、少しずつのリハビリなので、病院でなくてもいいということで、女王陛下が手配してくださった。

 宮殿の庭はビックリするほど広くって、敷地面積は大仙公園と変わらないくらい。

 敷地の手入れや警備には日本の軽トラックやバンが使われている。

 お母さんは、その広大な庭から花を摘んできては、部屋中に活けている。

 日本の病院だと、こんなには活けさせてはもらえない。

「ちょっと花瓶を借りてくるわね」

「あ、ほどほどにねぇ……」

 

 お母さんが出ていくと枕もとに現れる。

 

『『おはよう、コトハ』』

 聖真理愛の制服を着た二人の妖精。

「おはよう、板についてきたわね」

『『うれしい!』』

 クルンと回って体育座り。

 一度はシルエットのまま消えてしまった。

 でも、わたしが呪文を唱えたので戻ってこれたと言う。

 呪文なんか唱えたつもりは無いんだけど、二人の妖精は、そう言って涙ぐんでいた。

『魔石が目ざめめたときは、もうダメだとおもったよ』

『森の奥、ピューって引きもどされるところだった……』

『光があらわれて、もどしてくれた……』

『もう、なんの力もないけれど、傍にいるだけでいいのならいいって、光がいった』

『ほんとうに居てもいい、コトハ?』

「うん、いいよ。いつも相手してあげられるわけじゃないけど、そばに居るだけならね」

『『うんうん』』

「ウフフ」

『コトハ笑った!』

『うれしい!』

『うれしい!』

 ピョンピョン

「制服のままバク転しちゃダメだよ(^_^;)」

『ダメなの?』

『うれしいから、ピョン! ピョン!』

 パンツ見えちゃう……けどいいか、フィギュアみたいにちっこいし。

 

 こうやって小さなともだちが増えた。

 バンシーとリャナンシー。

 微妙に言いにくい、ちょっと縮めよう。

 

 バンとリャン……なんだか麻雀みたい。

 ……バンはそのままで……リャナンシーは……ナンシー。

 決まった、これで行こう。

 

☆・・主な登場人物・・☆

  • 酒井 さくら      この物語の主人公  聖真理愛女学院高校二年生
  • 酒井 歌        さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
  • 酒井 諦観       さくらの祖父 如来寺の隠居
  • 酒井 諦念       さくらの伯父 諦一と詩の父
  • 酒井 諦一       さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
  • 酒井 詩(ことは)   さくらの従姉 聖真理愛学院大学三年生 ヤマセンブルグに留学中 妖精のバン(バンシー)ナンシー(リャナンシー)が友だち
  • 酒井 美保       さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
  • 榊原 留美       さくらと同居 中一からの同級生 
  • 夕陽丘頼子       さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 
  • ソフィー        ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
  • ソニー         ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
  • 月島さやか       中二~高一までさくらの担任の先生
  • 古閑 巡里(めぐり)  さくらと留美のクラスメート メグリン
  • 百武真鈴(田中真央)  高校生声優の生徒会長
  • 女王陛下        頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
  • 江戸川アニメの関係者  宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行) 花園あやめ(声優)  
  • さくらをとりまく人たち ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん)
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RE・かの世界この世界:109『紅茶まみれの姫騎士』

2023-05-26 06:04:07 | 時かける少女

RE・

109『紅茶まみれの姫騎士』ブリュンヒルデ 

 

 

 突然の砲声に満身創痍のシュネーヴィットヘンは慄いた(;゚Д゚)!

 船腹に大小六つの穴を開けられマストもへし折られたシュネーヴィットヘンは千トンあまりの注水で水平を保っている。そのため喫水は貨物デッキから一メートルちょっとしかなく、海面の高さと変わらなくなっている。そこに弾をぶち込まれればひとたまりもない。

 

 しかし、その慄きは杞憂であった(;'∀')。

 

 二発目の砲声が轟いても、船はおろか海面にも弾着の水柱が上がらない。

 ヘルム島から放たれたのは礼砲なのだ(^▽^)!

 そうと知れた途端に、船内の復員兵たちはデッキに群がってヘルメットやら小銃やら戦闘帽を振って応えた。振るものを持たない傷病兵たちは松葉杖や腕のギブスを振ったり、包帯を解いて白いテープのようになびかせた。

「すまん、四号の主砲を撃ってくれ!」

 船長がタラップを滑り降りながら叫んだ。

 そうだ、礼砲には礼砲で応えなければならない。しかし、シュネーヴィットヘンは輸送船、答礼するための砲が無い。

「わかった船長、弾数を聞いて礼にかなった空砲を撃つ。みんな配置についてくれ!」

「「「「ラジャー!」」」」

 舷側に並んでいたみんなが声を揃えて車内の配置に着いた。

 砲塔を九時の方向に旋回させ、主砲を最大仰角に上げる。

 シュネーヴィットヘンの船長は大佐だ。大佐への礼砲基準は無いから准将待遇として十一発、領事待遇で九発か……なんと、元首待遇の二十一発を数えた!

 思えば、一万トンを超えるオーディンの軍艦がヘルム島に来るのは初めてなのだ。しかも休戦協定に違反するパラノキアの攻撃を受けて傷ついているのだ。最大の歓迎と言っていい。

 ウオオオオオオオオ(≧▢≦)!

 船と港の双方からヘルム湾を震わすような歓声が沸いた!

 ムヘンこの方、戦ってばかりだったので、思わず眼がしらが熱くなる。ロキもケイトもテルも礼砲を撃ち終わるとハッチから身を乗り出し、他の復員兵たちと同じように帽子やらスパナやら薬莢やらを振っている。タングリス一人操縦席に収まってポーカーフェイスだが、うなじが紅く染まっている。素直に感激すればいいのにと思うぞ。

 わたしは堕天使かつ漆黒の姫騎士に相応しく鷹揚にコマンダーハッチをガチャリと開き。砲塔の上に聖グロリアーナ女学院のダージリンの如く泰然と立ち上がって左手にソーサー(分かるわよね、ティーカップの下のお皿)、右手にティーカップを持って、優雅に姿を現す。

 あいた!

 無様な声をあげて、ドジを踏んだローズヒップのように砲塔の上でひっくり返ってしまった。

「な、なにすんのよ、ポチ!」

 そうなんだ!

 パラノキアの対巡洋艦戦の時のようにダッシュで飛んできたポチがわたしのことを避けきれずにぶつかってしまったのだ!

「すごいよ! すごいのよ、みんな!」

「何事だ、今度こそ首輪をつけるぞ!」

「港は、歓迎の人たちでいっぱいでさ! メチャクチャ可愛い女の子がティアラにローブを羽織って花束抱えて待ってくれてるよ! まるでお姫さまだよ!」

「わたしだってお姫様なんだけどな!」

「ブリの百倍は可愛いもん! みんな聞いてえ(≧▽≦)!」

「それって、港の女王とかのコンテストで選ばれた可愛いだけが取り柄のマスコットガールだぞ!」

 くそ……漆黒の姫騎士を紅茶まみれにして、ポチは船内に触れてまわりやがった!

 

☆ ステータス

 HP:13000 MP:150 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・80 マップ:8 金の針:0 所持金:5500ギル(リポ払い残高29000ギル)
 装備:剣士の装備レベル30(トールソード) 弓兵の装備レベル29(トールボウ)
 憶えたオーバードライブ:シルバーヒール(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)

 
☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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