まりあ戦記・052
わたしの家はカルデラ(特務旅団の基地)の中にある。
最初は、わたしのボディーガード兼影武者のマリア(ロボット)と暮らしていたんだけど、マリアがテロに遭って影武者の任務に付けなくなってからは高安みなみ大尉のマンションに同居している。
わたしと同居するにあたってみなみ大尉の部屋は拡張された。
それが、観音(かのん)のお寺から帰ってみると、また拡張されていた!!
「ちょっと、なに、これえ!?」
驚きの声をあげたのはみなみ大尉。
今朝までは、わたしと大尉の部屋以外はキッチンとリビングがあるきりだったのが、お隣りの壁をぶち抜いて三つも部屋が増えている。
わたしの部屋はそのままで、同じ規模の部屋が二つ。
『光子の部屋』と『ナユタの部屋』
「うわあーーーナユタの部屋だあ(#^▽^#)!」
ナユタは走り回って喜ぶ。光子さんは諦めたようにため息をつく。
「今日からは姉妹なんだからな、一つ屋根の下に住んで当たり前だ」
「でも、少佐! わたしの部屋が倍の広さになって、ダブルベッドというのは、どういわけですか!?」
「そりゃあ、俺と大尉は夫婦なんだから、ダブルベッドで当然だろ(#^▽^#)」
「あ、ありえないんですけどおおお!」
その時、開けっぱなしにしていたドアから徳川曹長が顔をのぞかせた。
「少佐、こんなもんでよかったですか?」
「上出来だ、感謝するぞ曹長」
「と、徳川くん、あ、あんたの仕業だったのかあ!?」
「仕業なんて言わないでくださいよ、任務としてやったんですから」
「に、任務う!?」
「はい、舵司令の。あ、書類はこれです」
徳川さんが出した書類を見て、みなみ大尉の怒りと驚きはマックスになった。
「これって、婚姻届けえ!?」
「はい、大尉と少佐は晴れて夫婦になられ、中原、まりあ、ナユタの三少尉はお二人の娘です。こちらが戸籍謄本、こちらが住民票、これが健康保険で……」
「ちょ、徳川くん(#'='#)!」
「大尉、おまえも任官の時に服務宣誓をやったろうがあ」
「服務宣誓……」
「曹長、聞かせてやってくれ」
「ハッ!」
徳川さんは胸ポケットから軍人手帳を出し、姿勢を正して朗読した。
「『事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います』で、あります!」
「ということだ。まりあの面倒をみろというのは、みなみ、君の願いでもあったんだからな。そうだろ~」
「ググググ……」
「住居と法的手続きについては完了ですが、作戦に関わる工事が未了です。少々騒音や振動がありますが、ご承知おきください」
「ああ、そっちの方は、住居をセットするようなわけにはいかんだろうからな」
ドドドドドドド!
少佐の言葉が合図であったかのように、足もとから騒音がし始めた……!