大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

REオフステージ(惣堀高校演劇部)154・音楽の授業を遅刻した理由

2024-09-17 08:28:39 | 小説7
REオフステージ (惣堀高校演劇部)
154・音楽の授業を遅刻した理由 千歳 




 惣堀はバリアフリーのモデル校で、車いすのわたしでも移動に不便を感じることは少ない。

 でも、ときどき不便なことがある。

 それが芸術の時間。

 音・美・書の特別教室は、惣堀がモデル校になる前に建てられた芸術棟なので、いったん玄関を出て、芸術棟に行ってエレベーターに乗りなおさなきゃならない。

 エレベーターに通じる吹き抜け廊下にさしかかったとき、下の玄関ホールから織田先輩が友だちと話してる声が聞こえてきた。

『織田も、来年は移動が楽になりそうだな』

『ああ、芸術は二度もエレベーターに乗らなきゃならんものなあ』

 あ、織田先輩も芸術(たしか美術)だったんだ。

『手術、うまくいくといいな』

『ありがとう、大丈夫さ』
『ジイもやっと肩の荷が下りまする』

『だってさ』

『織田の腹話術も聞き納めかぁ』

『いやいや、足が治っても平手のジイは、永遠の守り役じゃぞ』
『ま、まことでござるか!?』 
『ああ、足が治れば本格的に腹話術をやるぞ』

『吉本でもいくんかい(^_^;)』

『ああ、織田信中の戦国腹話術! ウケると思わねえか?』
『お濃も楽しみにしております(^▽^)/』
『だってさ』
『市も応援してますわぁ』
『おうおう、愛い奴じゃ(^▭^)』
『兄上ぇ(^^♪』
『よしよし』

『あ、それは気持ちが悪いかも(^〇^;)』

 チーン

『お、エレベーター来たぞ』

 
 あ、ヤバイ。


 エレベーターの前を離れる。ここで出くわすのは、ちょっと気まずい。

 先輩たちをやり過ごしてからエレベーターに乗る。

 おかげで、音楽の授業は遅刻してしまった。



☆彡 主な登場人物とあれこれ
  • 小山内啓介       演劇部部長
  • 沢村千歳        車いすの一年生  
  • 沢村留美        千歳の姉
  • ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿
  • 松井須磨        停学6年目の留年生 甲府の旧家にルーツがある
  • 瀬戸内美春       生徒会副会長
  • ミッキー・ドナルド   サンフランシスコの高校生
  • シンディ―       サンフランシスコの高校生
  • 生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口 織田信中 伊藤香里菜
  • 先生たち        姫ちゃん 八重桜(敷島) 松平(生徒会顧問) 朝倉美乃梨(須磨の元同級生) 大久保(生指部長)  藤岡(養護教諭)
  • 惣堀商店街       ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)

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