魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
50『ポピー畑のドロシー』
「はやくはやく、こっちだお!」
着陸するとポピー畑に隠れて見えなくなっちまったけど、ライオンは分かっているみてえで、どんどん走ってマユたちを手招きしやがる。
そいつは、白地に水色のギンガムチェックにフンワリ半袖のワンピースのツィンテールで、ポピー畑の中で眠ってやがった。
「ドロシー、やっと眠ることができたんだねぇ」
「ドロシー、やっと眠ることができたんだねぇ」
ライオンは、優しく、そいつの髪をなでやがる。
「こいつ、会ったことがあるぞ」
「ええ!」
ピョン! ドシン!
気弱なライオンは、1メートルほど飛び上がって驚きやがる。その振動で、半径2メートルほどのポピーがなぎ倒されたぞ。
「マユシー、ドロシーのこと知ってるの( ゚Д゚)!?」
「白雪姫の庭で会った……そう言えば『ライオンさんを探してる』って言ってたぞ」
「それ、ボクのことだお 。゚(゚´Д`゚)゚。 」
「……でもなあ、この子が探してたのは、勇気を誇りにしているライオンさんだって言ってたぞ」
「ボクは、ドロシーの前では勇気あるライオンで通しているんだお……そうか、ドローシーはボクのことを探してくれていたんだお! 感激だお! ガオーー!」
泣きながら吼えるライオンて始めて見たぞ(;'∀')。
「あの……」
「あの……」
「な、なんだいマユシー……?」
「こいつのことドロシーって呼んでるけど……こいつ、やっぱり『オズの魔法使い』のドロシーなのか?」
「こいつのことドロシーって呼んでるけど……こいつ、やっぱり『オズの魔法使い』のドロシーなのか?」
「そ、そうだよ。カンザスからオズの国に家ごと飛ばされて……竜巻でね、そいで、家が東の魔女の真上に落ちて、魔女を殺しちゃったんだお。むろん事故だお。でもでも妹の西の魔女が恨んじゃって……あ、ドロシーが、東の魔女の靴を履いちゃったせいもあるんだけどね。それは、魔女をやっつけたものが受け継いで自動的に履くことになっていたから、ドロシーのせいじゃないんだお」
「知ってるよ。ドロシーはカンザスに帰りたかっただけなんだよな」
「そうだお、そしてオズの魔法使いに頼みに行ったんだお。ほら、あのエメラルドの都まで」
ポピー畑の向こうに、キラキラ輝くエメラルドの都が見えたぞ。
「……ということは、これからオズの魔法使いに会いにいくところなんだな?」
「もう、オズの魔法使いには会ったお。そしてオズの魔法使いに『西の魔女のホウキを取ってきたら、望みを叶えてやる』って言われてきたところなんだお」
ポピー畑の向こうに、キラキラ輝くエメラルドの都が見えたぞ。
「……ということは、これからオズの魔法使いに会いにいくところなんだな?」
「もう、オズの魔法使いには会ったお。そしてオズの魔法使いに『西の魔女のホウキを取ってきたら、望みを叶えてやる』って言われてきたところなんだお」
「待てよ……ドロシーがポピー畑で眠っちまうのは、エメラルドの都に行く前に西の魔女の魔法にかけられたからのはずだぞ。それに、かかしとブリキマンがいっしょのはず。それと、犬のトトもいるんじゃねえのか?」
「ドロシーは眠れないんだお……( ノД`)シクシク…」
ライオンは、またひとしきり泣きやがる。
「えぇと、話が見えてこねえんだけどよ」
「ドロシーは眠れないんだお……( ノД`)シクシク…」
ライオンは、またひとしきり泣きやがる。
「えぇと、話が見えてこねえんだけどよ」
「確かに、このポピー畑には、西の魔女の魔法がかかっていて、ボクやトトは眠ってしまったけど、ドロシーは眠らなかったお。かかしとブリキマンは脳みそと心がないから眠りようもないんだけどね。でも、ドロシーは眠らないんだ。一見元気そうに見えるけど、このオズの国に来てから一睡もしていないお。エメラルドの都を出てから心配になってきたんだ。この眠らない元気さは異常だって」
思い出した、白雪姫のところで会ったドロシー……あの元気さは変だ。
「そう言えば、ちょっと元気すぎる感じがしたなあ」
思い出した、白雪姫のところで会ったドロシー……あの元気さは変だ。
「そう言えば、ちょっと元気すぎる感じがしたなあ」
「エメラルドの都でドクターに診てもらったら重度の不眠症だって……で、睡眠薬や催眠術を試してもらったんだけどね、ちっとも効き目がなくて。ドロシーは『構わないから、先に行こう!』って言うし。それでボクたちは、ドロシーを寝かせるために三人で手分けして、ドロシーを眠らせる方法を探しに行ったんだお。まだ、かかしとブリキマンは戻ってきていないみたいだけど……そうか、そうなんだ! ボクたちの帰りが遅いもんで、ドロシーの方から、ボクたちを探しに行って……そして、探し疲れて、ここで……やっと眠ったんだお」
「それは……ちょっと違う……」
ポピー畑から、ひどく疲れた声がした。
「それは……ちょっと違う……」
ポピー畑から、ひどく疲れた声がした。
振り返ると……誰もいねえ。
「ここだよ……ここ……」
「ここだよ……ここ……」
弱々しく声が続いた。
「だれだ……?」
「足もとを見ろよ……」
「足もとぉ?」
足もとを見ると、ドロシーの飼い犬のトトが、うなじを垂れてお座り……というより気絶寸前だったぜ!
足もとを見ると、ドロシーの飼い犬のトトが、うなじを垂れてお座り……というより気絶寸前だったぜ!
「トト、口がきけるのかお!?」
ライオンが驚いた。
「ライオンが喋るんだ、犬だってしゃべるよ……」
「こいつは?」
「小悪魔のマユだ、覚えとけ」
「あ……悪魔!?」
「おお」
「ギャーーーーーーーーーーーー!!」
ライオンは、一気に50メートルほど逃げてしまいやがった。
「あ……悪魔!?」
「おお」
「ギャーーーーーーーーーーーー!!」
ライオンは、一気に50メートルほど逃げてしまいやがった。
「あ……」
マユはあっけにとられた。
「あのバカ……(-_-;)」
トトは、いっそううなだれた。
三十分ほど説明して、ようやく小悪魔がこわいものでないことを理解させたけど。マユは少し後悔したぞ。落第の話をしたところでライオンのやつゲラゲラ笑いやがる。
三十分ほど説明して、ようやく小悪魔がこわいものでないことを理解させたけど。マユは少し後悔したぞ。落第の話をしたところでライオンのやつゲラゲラ笑いやがる。
「アハハハハ(˃᷄〇˂᷅ ) マユシー落第したのかお! アハハハハ(˃᷄ꇴ˂᷅ ) マユシー面白いお! アハハハハ(˃᷄▢˂᷅ )」
「ああ、もう、おまえら助けるの止めよぉかなあ……」
「いやあ、メンゴメンゴ」
「だって、時間もなあ……」
わざとらしく時計を見る。リアル時間で5時間、まだいいか。
「で、話はもどるけど、トト、おまえはなんでそんなにくたびれてやがるんだ?」
「で、話はもどるけど、トト、おまえはなんでそんなにくたびれてやがるんだ?」
トトは、あぐらをかいて腕組みをした。ひどくオヤジに見えたけど失礼だと思って、笑うのをこらえてやったぞ。
「おまえたちが帰ってくるのが遅いから、ボクが見かねてやったんだよ」
「どうやって?」
「羊を数えてごらんて、ドロシーに言ったんだ」
「そんなことで、ドロシーは眠れたのかぁ?」
「ボクだったら、羊が怖くて、できないけどな」
「ドロシーはやったよ。でも100匹ぐらい数えると、いろいろ考えることが頭に浮かんで、ダメになる……そこで、仕方なくボクがやったんだ」
「おまえが羊を数えたのか?」
「羊になったんだ。ドロシーの周りをグルグル回って、目の前に来たときに数えさせたんだ……で、9999匹目でやっと……おかげで、もうクタクタ。左回りに回ったもんだから、左脚が少し短くなったかも」
「そうか……そこまで、ドロシーのために……」
ライオンが、また泣きやがる。
「もう泣くなぁ、でかいナリして」
そうして、ライオンは泣き疲れて、トトはもともと疲れてやがったんで、ドロシーといっしょに眠っちまいやがった。
そうして、ライオンは泣き疲れて、トトはもともと疲れてやがったんで、ドロシーといっしょに眠っちまいやがった。
「しかたねえなあ……」
マユは、三人が目覚めるのを一人で待つことにした。
ま、そのうちかかしもブリキマンも戻ってきやがるだろうしな……。
ま、そのうちかかしもブリキマンも戻ってきやがるだろうしな……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生