KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★SUBWAY(地下鉄)は玉手箱

2016年07月11日 | Time in ニューヨーク



ニューヨークのSUBWAY(地下鉄)は
衝撃的なノンフィクション満載のビックリ玉手箱。

タイムズスクエアの駅通路でのある日。

朝っぱらから大音量が遠くから響き渡っていた。
ジャズのようなメロディーにのせて、ギターとボーカル、そして気持ちいいほど思いっきり叩きまくるドラムとシンバルの音。

まるでライブ会場さながらに。

でも、ここは地下鉄駅構内でのゲリラ演奏。
しかも朝。

通勤途中の人々や観光客たちも、ほぼ素通り状態。時おりチャリン、とコインが地面に置かれた帽子の中に投げ込まれていく。

地下鉄コンコースに鳴り響くボリュームの大きさと
相反するにもほどがあるほどの反応の薄さ。

それでもおかまいなしに、演奏を続ける〈自称〉音楽家たち。





そして、昨日の日曜日。

コートスクエア駅からハンターポイント駅までのほんのひと駅のできごと。

ブロンクスにあるNew Yorkボタニカルガーデンまで一人旅で、大きなマップに目を凝らして乗る路線を確認していると、

大音量のカセットと共に意気揚々と乗り込んだ若者3人組。

Hey guys!これからオレたち始めるから見ててくれ!

と叫んだかと思うと、いきなり電車の通路でバクテン。

え?なに?今度はアクロバット系(゜ロ゜;ノ)ノ?

日曜日の午後で比較的人は少なくて、通路には幸い立っている人も少ないけれど
両方にある座席には隙間なく人々が座っていてその幅約1.5m弱。

揺れる車内をモノともせずに
(またこれが日本の電車とは比較にならないほどの
揺れっぷり)
ところ狭しと、行ったり来たりの大アクション。

大きな地下鉄路線図に顔をうずめて笑いを隠すのに必死。

え?逆立ち?こんな狭いところで大きな体でブレイクダンスですか?
しかもシロウトの私から見てもあきらかにあんまりうまくない。


中央のポールや天井の鉄棒を駆使して、(わずかに)宙に浮くゴツいカラダ。

乗客たちの覚めたテンションとまたもや相反する、ノリノリの3人。

そのうち大きい黒人と小さい黒人コンビが向かい合って
右と左それぞれの手のひらを合わせたかと思うと、

まさかの2人でんぐり返し。

私の目の前をゴロンゴロン、と2回転半ほどしたかと思ったら

大きな黒人の男性が、まさかの!
中央のポールに激突(^^;)))

頭を思いっきり強打した。





うわ~、大丈夫?

と衝撃と心配をよそに、何事もなかったように立ち上がり
もとの位置に戻り再びフォーメーションを組むと

音楽に合わせて、もう一度ゴロゴロと目の前を大車輪のように転がっていき

今度は、わずかにカーブして
よけた!!!

スゴい!

そしてそのまま、車両の端まで消えていったかと思うと再びノリノリのまま姿を現し

拍手をあおる。

その真剣さと失敗しても恥じることもなく
動じることもないその姿に
悪いと思いながら、

私は体がずっと小刻みに揺れたまま
笑いが止まらなくなってしまった。

どーしよ…。おなかイタイ。

笑いすぎだぞ!Hold up!って言われたらどうしよう…

と思うんだけど、本当に止まらない。

もう今回は知らんぷりなんてできない。

財布から取り出すのをご丁寧に待っていてくれるお兄さんたち。
$1札をチップ箱にためらうことなくいれた。

アッパレ!Good job!という気持ちを込めて。




ゲストハウスに戻って聞くと、
夏休み期間、クリスマス時期、
若者たちはさまざまな予定があるので
小遣い稼ぎにこうやって電車でのパフォーマンスが増えるのだそうだ。

時には失敗して座っている人にぶつかるから気を付けて。なにしろ素人だから。ぶつかったら、わー、ゴメン!HEY!でハイタッチして終わったり

本人たち、うまくやれる自信がないときは
そこの席の人、立ってくれ!って言うからね。
またみんなもぶつかりたくないから素直に立ってよけるんだよね。

そして客のノリが悪いと、演奏止めて客のせいにして説教したりするからね(笑)って

なんでもアリの国。




そのほかにも

ホームレスとおぼしき方々が
人生劇場を切々と訴えるパターン。

昨日妻が入院してしまってお金がないんだ!どうか助けて欲しい!と毎日アピール続ける人。1ヶ月前にも「昨日、妻が…」って言ってたよね?

もうみんな周知の事実だけど
あえてそこは誰も突っ込まず(笑)

食べるものがないの!と大声で叫ぶけど、でっぷりと太った黒人のおばちゃん。

ホンモノのホームレスとそうじゃない〈自称〉ホームレスの人もいるから、ちゃんと見極めないといけないらしい。


古びたCDや電池を手にして、
「$1~!One ダラー!1ダラー!」と車内で売り歩く
商魂たくましい中国人のおじさん。


日本人からしたら、ふざけてるの?ジョークかお笑い?と思うけど
本人たちはいたってシリアス。本気なのである。

毎回、笑ってばかりもいられず、
ヤバイ!この人、イッテるかも?と、
ホントにビビってオーラを本気で消して透明なワタシになりすますことだっていっぱいあるけれど。

もちろん、一瞬たりとも気を抜けない。

何があるかわからない。
そんなことは百も承知の上のこと。

なぜならそれが多民族国家、高校の英語の教科書に出てきた
あの、"メルティングポット"のニューヨークだから。


それでも。

世界稀に見る人種のるつぼという、複雑であるがゆえの

わかりやすいシンプルさが私の心に響いていく。

幾層にも折り重なった歴史と人種の多さと、
まるで
地層のように幾重にも積み重なる格差と差別が
混載されて溶け合うこの類いまれなる大都市だからこそ、

生きていくための必要なスキルは思いっきり単純明快。

かけひきナシの直球ストレート。

一方で影や闇を抱えながらも、
見知らぬ困っている人たちにどこまでもおせっかいで
世話焼きのニューヨーカーたちは

「l love New york」を

臆することなく、照れもせず
正々堂々と胸に掲げ
今日もまた街を闊歩する。

そんな麗しのこの街に私も今、
すっかりのめり込み、胸に刻む。




l love NY♪

私も大きな声で堂々と叫びたい。

SUBWAYの中でチクチクと今回のエピソードと言葉を打ちながら、
あまりに冷えすぎて「クシャン!」とすると

お隣に座っていたスーツ姿の見知らぬサラリーマンが間髪入れず

私の顔を見て
「Bless you!(祝福を!)」というウイットと優しさと
フレンドリーに富んだ言葉をかけてくれる。


思わず目を合わせて

Thank you!と笑顔で返した。

麗しの、そしていとしのNYCは

やっぱり飛び込んでみないとわからない。

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