すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

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北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

最期を看取り、見送る

2010-10-28 | 素老日誌

素老日誌 2010.10.14.(リハビリ日誌 27日目)


●葬儀に参列できた

今日は、レモンの里のお仲間の告別式。

参列は、
親戚の方々、レモンの里の職員さん、仲間の方々。

故人のこれまでの人生を尊ぶという意味で
お花もあえて明るい色を使ってある。
壁一面に貼られた写真は、
故人の元気な笑顔でいっぱいだ。

お経をあげ、挨拶があり、終了。

後は、
皆さんで故人の持ち歌や慣れ親しんだ歌を歌う。

認知症でありながら、
人生の終盤を共に過ごした人たちで、
自分たちの居場所で見送ることができる。

遺影の前で手を合わせる彼女たちの背中は、
他の者には及ばない人生の先輩を感じさせられる。

なんと貴重な場なんだろう。

今日は、母も車椅子で参列させていただいた。

しかし、私が行く前からずっと泣いているそうだ。
「ええお人やったのに・・・自分が死んだ方がいい」
そう思うのだと言う。

8年前の父の逝去以来、
「見るのが、つらいから」と
どなたの葬儀にも参列してこなかった母である。
「死・別れ」というのが、母にとってはかなり厳しいのだろう。

「そんなことないよ」とも言わず、
ただただ、手を握って聞き流す。

「部屋に帰ってもいいからね」と職員さんが声をかけてくださる。

そう、無理をすることはない。

それを肝に銘じながら、母の様子を見守ることにする。

眉間にしわを寄せて目を閉じていたのが、
目もはっきりとして、
車椅子での姿勢も国魂神社の時のように傾くことなく、
まっすぐなままで背筋をしゃんと伸ばしている。

「うんこがしたいんやわ」。

またか・・・
ひょっとしたら、「緊張と排便」はつながっているのかもしれない。

これも様子を見ようと手を握って、聞き流す。

母は、肝心なところでちゃんと手を合わせようとする。
お花を添えることもできた。

ちゃんと葬儀に参加できているのだ。

おいしいわー!切り替え、はや!


一区切りがついたところで、部屋に戻る。

「お母さん、がんばったなあー!」
「ええ。よかったんかいな」。
「上等よー!」

時間はかかるが、手助けをしてもらいながら、
自分で車椅子からベッドに移動したものの
「あー、いたい!いたい!」

とその時!

「おなかすいたやろー。パン食べよか」
と職員さんが登場。

すると、
すぐに「おなか、すいたわ」と起き上がって、
パンをぱくぱく。
お茶もぐいぐい。

「おいしいわー」と頬張るしぐさの幸せそうなことよ。

切り替えが早い。

これも、調子のいい印。

先日の誕生会の様を思い出し、ふと思う。

ひょっとして、母子で進化したのかな・・・?

「ひとつの人生の終焉」に参列できたのだ。
レモンの里にいなかったら、ありえなかったことだ。

故人を偲びつつ、
母も残りの時間をここで最期まで豊かに過ごせることを祈る。

「最期を看取り、見送る」。

ここまで実践してこられたレモンの里の職員さんたちに、
あらためて敬意と感謝の念を捧げたい。

 

 

 

 

 

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