頑固爺の言いたい放題

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疑惑の解明にブレーキをかける文大統領

2020-06-11 10:55:16 | メモ帳

このブログで度々取り上げた尹美香(ユン・ミヒャン)元正義連代表の不正疑惑に関し、これまで文大統領は沈黙を守っていたが、韓国の保守系紙「朝鮮日報」(9日)によれば、青瓦台で開かれた首席秘書官・補佐官会議で初めて次のように述べた。(赤字)

「慰安婦運動そのものを否定し、運動の大義を損傷させようとする一部の試みは正しくない」
「慰安婦の大義は決して否定したり、非難したりできない」
「慰安婦運動は今も現在進行形であり、被害者の傷は完全に治癒されていないし真の謝罪と和解にも至っていない。歴史的真実が明らかになって、記録されて、若い世代と子孫に歴史に記録として刻まなければならない」

この発言に対し、同紙は、“誰が慰安婦運動を否定していると? 使途を明かせと言っているだけだ”という見出しの社説で、疑惑の数々を列記して、次のように締め括っている。(赤字)

慰安婦運動を巡る問題は、補助金と寄付金によってつくり出された慰安婦基金が被害者を支援する本来の目的ではなく、関係ないところに使われたのかどうかという問題だ。検察の捜査を通じてこれらは明らかになるだろうし、責任を取るべき部分があれば責任を取ればよい。慰安婦運動の大義を生かすためにも、一日も早く疑惑を解明しなければならない。

日本としては、2015年の朴槿恵前大統領との間に結ばれた“慰安婦合意”で決着している立場だが、文大統領の発言から、彼は慰安婦問題が終わっていないと認識していることは明らかである。そして、マスコミも「慰安婦問題は終わっていない」という点では、文大統領と同意見である。

ちなみに、2015年に拉致なぞなかったことを承知の上で、日本が支払った10億円は手切れ金の役割を果たしたわけで、結果的によかったと思う。そのお蔭で、正義連の活動を封じることになった。そして、尹元代表は慰安婦問題の甘い汁は吸いつくしたと判断し、政界に転身したと推測する。

ここまでは想定内だが、「運動の大義を損傷させようとする一部の試み」という下線の部分は、疑惑の解明にブレーキをかけたい文の意向を明確に示している。検察がどう動くか注目される。

また「中央日報」は“市民団体が政府の金・要職の通路になった非正常社会=韓国”という見出しの社説で、政府が正義連に5年間で19億ウォン(1億7200万円)もの巨額の補助金を支出していたことに関し、次のように述べている。(赤字)

正義連がこのように政府から多くの金を受け取っていたことを国民の大部分は知らなかった。被害者の海外訪問、集会開催などの契機があるたびに後援者を集めて募金をしてきたため、市民の寄付で運営されている団体だと思っていた国民が多かった。

金と要職で市民団体を味方に引き込めば、権力と市民社会の健康的な緊張は直ちに崩れる。市民団体を政府系団体にしていつも批判の代わりに満場の拍手が起こるようにしてしまえば、権力の堕落に対する早期警報音は永遠に失踪する。

市民団体(正義連)と政府が癒着していたことが明らかになったが、それ以上に文大統領の痛手は、正義連の代表だった尹国会議員が補助金のかなりの部分をくすねていたこと。文大統領のメンツは丸潰れであり、腹の中が煮えくり返る気持ちだろう。

その一方で、文大統領は疑惑解明にブレーキをかけたい意向を表明しているわけで、この矛盾をどう処理するのか。選挙に大勝した文大統領は順風満帆に見えたが、このスキャンダルと北との不和が表面化したことで、局面が変化した。いずれにせよ、日本としては高みの見物である。