終戦によって日本は朝鮮半島に巨額の資産を残したが、その事実を金額的に実証することは不可能だろう、と爺は考えていた。しかし、産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏によるシリーズコラム「から(韓)くに便り」の「発展のルーツは日本資産」というタイトルの寄稿(6月7日)によれば、李大根(イデグン)著の「帰属財産研究」(2015年刊)という素晴らしい著作があるという。もちろん、韓国語で書かれている。
著者の李大根はソウル大を卒業した世界経済を専門にする学者で、成均館大学の名誉教授であり、日本の京都大学に留学したことがある。この著作は、日本が残した資産がどのように形成され、どのように韓国企業によって引き継がれたかを詳細に論じており、引き継がれた資産の金額は当時の通貨で52億ドル、現在価値にして数千億ドル(数十兆円)になるという。
黒田氏は、「日本人が残した巨額の財産が米国を経て韓国側に譲渡され、これが韓国のその後の経済発展の基礎になった」と述べ、「韓国が手にした膨大な日本資産を考えれば、徴用工補償問題は理不尽極まりない」と主張する。
黒田氏が注目した「帰属財産研究」は、このブログで最近取り上げた「反日への最後通告」(池萬元著)にも引用されており、日本企業が韓国企業に引き継がれた具体例が詳しく説明されている。その中から、日本人にも多少は馴染みがある韓国企業を挙げてみよう。
昭和麒麟ビール→OBビール・・・工場の管理人が買い取った
鮮京織物→SKグループ(大手財閥)・・・工場の生産管理責任者が買い取った
小野田セメント→東洋セメント
朝鮮重工業→韓進重工業(韓進グループの中核企業)
京城電気・南鮮電気・朝鮮電業→(合併して)韓国電力
朝鮮住宅営団→韓国住宅公社
「帰属財産研究」の記述の内の興味深い部分を「反日への最後通告」から引用する。(赤字)
日本は当時の金額で、北朝鮮には29億ドル、韓国には23億ドル相当の財産を残したが、韓国分の23億ドルは当時の韓国経済規模の八割以上を占めた。それから20年経った1965年、朴正煕政権が日本から無償で供与された額は3億ドルだが、上述の23億ドルはこの8倍。このような莫大な財産を、アメリカが日本から無理矢理韓国に引き渡したのだという事実を我々は知らねばならない。
日本の引き揚げに伴って放り出されたそれらの会社を、朝鮮人たちは李承晩政府の時代から、「払い下げ」という名目のもと、タダ同然の価格で買収した。・・・「ぼろ儲け」をした人々がいる一方、財産を奪われた日本人たちはどれだけ胸が張り裂ける思いをしただろうか?・・・だから、日本はサンフランシスコ条約締結時に、韓国に残してきた23億ドルにのぼる財産の請求権を申し立てた。
【頑固爺所感】
● 文在寅政権は、日本統治時代の遺物をすべて破壊し、日本統治に協力した人々を「親日派」として罰しようとしているが、それなら日本からタダ同然で引き継ぐことで発展した大企業も「親日派」として罰せられるべきだ、という矛盾にぶち当たる。(笑)
● 「日本はサンフランシスコ条約締結時に、韓国に残してきた23億ドルにのぼる財産の請求権を申し立てた」は看過できない記述である。米国が日本の要求を却下したのだろうが、それなら70余年前のことを蒸し返す「徴用工」問題はどうなのか? 「反日への最後通告」を読むと、“韓国は恩を仇で返す国だ”ということになるが、韓国人はどう答えるのか。
」