つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

いよいよ

2024年11月29日 | 山口薫展
気がつくと今日は11月29日金曜日。山口薫展も残すところ明日1日となりました。

今週もご来店くださった多くのお客様がたが薫作品に大変感動してくださいました。

そして、昨日は九州から、本日は京都からそれぞれご夫妻でお客様がお出かけくださり、何だかとても勿体無い、幸せな気持ちになりました。


九州からのお客様は昨年春、佐橋がおります時に一度ご来店くださり、それから当店の作品を何点かお求めいただきました。

皆様のご記憶に新しいところでは、海老原の汽船や小絲源太郎のべか舟。

ご夫妻ともに絵画がお好きでいらしてくださり、それぞれのお好みも尊重されて、昨日も山口薫作品を前に仲睦まじくご購入のご相談をしてくださっていらっしゃいました。(お約束をいただきましたが、その作品についてはまた後日お知らせ致します。)

「鳥海青児展も森芳雄展も来たかった」とおっしゃてもいただき、いつもブログをご覧いただいていることに改めて感謝致しました。


京都からのお客様は「まさか!」のあの額装屋さん。

弥栄さんは今回の山口薫作品にもこの方ご製作の額を何点か使われていらっしゃいます。

明るい奥様もご一緒に、、お客様と過ごさせていただくのとはまた一味違う楽しい時間を過ごさせていただきました。


展覧会が終わりますので、お約束いただいた作品のお納めの準備も進めております。

ですから、店内は少し壁面に余裕ができました。










一段とお寒くなりましたので、黄色い樹と赤い樹 と 栗 を並べて飾らせていただくと作品の重量感が暖かく感じられて
素敵な空間になりました。







通路正面には、今回ブログで最初にご紹介させていただいた薫20代の作品「妙義山遠望」を飾らせていただきました。

お納めが決まりましたので、弥栄さんのご子息にヒートンをつけていただきました。





両脇の「娘と牛」「月と馬の結婚」に負けない迫力ある作品だとこの場所にかざってみて驚きました。


山口薫作品はもうしばらくお預かりする予定でおりますが、年末年始は山口薫の作品と当店の日本画などを並べ
年越しをさせていただこうと考えております。

また来年1月末から2月には、「福井良之助展」を開かせていただくつもりでおります。

佐橋は福井が好きでしたが、現在当店には在庫がございませんので、次回の展覧会は雪景を中心に全て弥栄画廊さんのコレクションの展示になります。

後日、クリスマス頃にホームページなどで展覧会の予定をお知らせいたします。どうぞお楽しみにお待ちください。


と、この記事をギャラリーの丸テーブルでパソコンに向かい書いていましたら、ご近所のお客様が自転車に乗って今お立ち寄りくださいました。「奥様、お元気ですか?」と入ってこられ、薫作品を一通りご覧になって「お元気そうでよかった」と早々にお帰りになられました。

恐らく80代になられると思いますが、、いつも丁寧なお言葉遣いで決して椅子におすわりになろうともせず、、けれど絵をご覧になるのが大好きな、、こうした方達のお声がけも画廊にひとりになってみると大変ありがたいと思えます。


山口薫展、すでに3回も4回もお越しのお客様もいらっしゃいます。
明日は最後の1日になりますので、ご都合よろしければぜひお遊びにいらしてください。

山口薫ファンの皆様とお会いできますのを楽しみにお待ち申し上げます。












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今週の山口薫作品

2024年11月26日 | 山口薫展
すっかり忘れてしまっておりました。慌てて「浮き上がるマリモ」を一点掛けにさせていただきました。



「浮き上がるマリモ」と「娘と牛」を並べてみると、全く性質の違う作品に見えて、本当に同じ画家が手がけた作品ですか?
と改めて聞いてみたくなってしまいます。









結局「浮き上がるマリモ」は「どこに飾ってもらっても私はわたしよ!」という感じで、いつもと変わらずの表情を見せてくれています。そういう意味の個性の強さはこの作品が1番なのかも知れません。

上の二つの作品画像。少し暗めと明るめで撮影してみました。

背景の色の見え方の変化に伴ってマリモの緑色も変わり、奥行きや立体感に違いが出るように思います。いかがでしょうか。











結局一点移動させると他の作品も掛けかえないと気が済まなくなるのが難です。

「たわわの柿」「つたの塀と鉄の門」など60年代の作品もとても良いなぁ〜と富岡鉄斎を見てきた眼でも、そう感じます。
甘さがあるように見えて、全く甘さを感じさせない作品ということが言えるのだと思います。

結局最後まで、お悩みくださる各お客様へのオススメの一点を選びきれないでおります。

山口薫展は、そういう意味で、つまり納品という意味で予想外に難しい展覧会になりました。

どなたにどんな作品がお似合いなのか??全くわかりません。
あえてオススメしないというのではなく、どれをオススメしたら良いか?わからないというのが本音です。


きっとこのまま困ったなぁと思いながら展覧会を終えるのだと思います。

そして、終わってしまったら誰よりも私が寂しいのだと思います。






















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一点飾り

2024年11月20日 | 山口薫展
3,4日おきに掛け替えるとお伝えしていたのに、結局掛け替えが遅くなってしまいました。

「赤い樹と黄色い樹」を掛けてあった壁に「たわわの柿」を一点のみで
飾ってみました。

飾ってすぐに、眼に映る色が、以前の場所で見ていた印象と全く違う事に気がついたので、慌てて梯子にのってスポットの位置を変えました。






この場所には近くにミューラーの天井灯が吊るしてあるので、その色も多少映り込み、スポットを当てても作品のバッグの色が少し暗めになりました。

この暗い色が私には益々好みで、小さな柿の実のそれぞれの色の濃淡がわかりやすくなり趣が深まった気がしますが、結局、スポットの無い場所での鑑賞は少し難しい作品なのかな?と思ってしまいました。

やはり画廊では、その作品が一番美しくみえる場所に作品を飾らせていただきますので、各お客様には、いつも作品をご覧になっていらっしゃるお部屋や場所の環境を熟知していただいていないと「錯覚」が起きやすくなってしまうように思います。


お洋服でも、おしゃれな方はご自分の体形や肌の色を冷静に理解されている印象があります。

作品にほれ込んでいただきましたら、次にご予算のこと、そして必ずお飾りになられる場所のことをお考えいただきたいと思います。


その点において「赤い樹と黄色い樹」はなかなか強い作品です。
どの壁に飾っても、印象はかわりませんし、単純な作品のようでさすがに薫!
考え抜かれた筆が数多く入っています。












そして、この小品(わが庭・茶色い竹)もどこに掛けても実に美しい。
今や、結局ご来店の画商さんの人気№1作品になり、「やっぱりこの作品はいいんだぁ」と胸をなでおろしているところです。

思いがけず梯子上りが復活してしまいましたが、こうして新しい発見があるのはとても楽しいですし、今週も毎日どなたかが山口薫作品をご覧になりにいらしてくださいますので、はりきって来週はマリモを一点掛けにしてみようと思っています。































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今日の佐橋美術店

2024年11月15日 | 山口薫展
昨日、エントランス正面に飾らせていただていた作品をご来店のお客様にお納め致しました。

10号の作品を壁から外し、箱に仕舞うのもこのご夫妻のお客様にお手伝いいただきました。

また、その空いた壁に何を飾るか?のご心配もいただき、あちらの作品をこちらに、、結局4点ほどの作品の移動をご一緒にして頂いてしまいました。


私個人としては本当に楽な作業となり、大変助かりましたが、「一年半前、1人の店番になった当初はこれほど各お客様にお手伝いしていただかなくてもなんとかなったのに。。」と申し訳ない気持ちになりました。


皆様に甘えすぎて私の「ありがとうございます」も何かこう、陳腐なものになってしまっているかもしれませんが、日々皆様のご親切に深く感謝しております。ありがとうございます。そして、その感謝を通勤途中やお買い物先などでの小さな笑顔や気遣いに変えて世の中にお返しできたら良いなぁと思っています。




さて、今日の名古屋は曇りから雨に変わり、店内の撮影がし易く感じましたので、少し画像をご紹介致しますね。











お納めした作品を飾っていたエントランス中央の漆喰の壁には、「太陽と馬」を飾りました。
キリッと空間が引き締まった感じた致します。
同じ展覧会であっても、10月から11月への季節の変化を少し入り口に表現したいと思いました。

エントランスは馬!馬!馬!になりましたが、山口薫は既に中学生の絵日記のようなものに、馬ばかり描いていたと
いう記述を見つけましたし、なんと言っても馬は薫作品の代名詞でもありますのでこれも良いかなと感じています。










ギャラリー内の壁面、テーブル寄りの壁は「栗」とこの「赤い樹と黄色い樹」の2点がけでしたが、昨日「栗」をショーウィンドウに
戻し、「赤い樹と黄色い樹」の一点がけにしてみました。

こちらの作品は女性にとても人気ですが、一点がけにしてみると、余白が大きくなり森の中に赤と黄色の木が立っているように
感じられました。





なるほど、この壁面を一点がけ専用にして、門やマリモの佐橋がお気に入りだった作品を順に掛けてみても良いなぁと考え始めています。十分に独立し、広い壁面でもそれぞれ美しい個性を発揮する作品たちだと思っています。3日か4日おきに掛け替えてみますね。








この小品に、ご来店の日本画家の先生方が「これ水彩でしょう?」と言われるのですが
そして、確かに水彩っぽいのですが、鑑定書に紙・油彩となっているので、一応紹介プレートにはその表示のままにしてあります。

一昨日お立ち寄りくださった弥栄さんと「これいい作品だよねぇ。でもわが庭、茶色い竹かぁ」とタイトルの話題もなりましたが、結局どうやら下に水があって、上高地の大正池とか明神池とかそういう風景画にしか見えないということになりました。

残念ながら画集などに作品の画像や資料もみつかりません。でも、皆さんに一度ご覧いただきたい作品です。
11月の声を聞いてからますます深みが増しています。










通路などはあまり変わっていません。






先週から日本画の先生たちなどプロ的な視線をお持ちのご来客が多いので、人気は一挙にこの作品に集まりました。
確かに美術館の山口薫展への出品を考えるとこの作品が1番近いのかもしれません。






牛の顔のこの黄色い部分を不思議に思っていましたが、ギャラリーの壁に掛けて距離をとってみてみると、
この黄色が見事に薄まって、牛の肩の線とつながり、牛が牛舎からグィ〜と首を出している臨場感が強まり、
思わず鳥肌が立ちました。






後日またご紹介いたしますが、山口薫の名を世に知らしめた張本人のお一人であった今泉篤男さんは、薫の画家としての最盛期を
1950年代と表明されていますが(60年代以降の晩年の作品には別の価値付けをされています)

この牛と小鳥も1957年制作で、モダンでありながら大変力強い作品だと思います。












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ご感想など

2024年11月14日 | 山口薫展
山口薫展、展覧会前、展覧会後にみなさまがお送りくださいましたメールやお便りの中からいくつかを、一部文章を抜粋してご紹介させていただきます。

ご感想などお寄せいただいた皆様にはお一人お一人にブログ掲載へのご意向をお尋ねしておりませんこと、お許しくださいませ。
勝手ながらご意見などございましたら、ご連絡をたまわりますようお願い申し上げます。













妙義山といえば群馬ですね。山口薫は故郷の風景や思い出を繰り返し描いており、群馬を代表する画家でしたね。
1939年の代表作の一つの「紐」の前には写実の時代があったそうですが、私は見たことがありませんでした。
「妙義山遠望」や「秩父遠望」その時代のものなのですね。実に堂々とした近代日本洋画ですね。
 
晩年の「月や馬や鳥や猫」も切ない一日の終わりの休息風景なのでしょうか。
むしろ「栗」の絵に癒しを求めたくなるかもしれませんね。
山口薫展楽しみにしております。











展覧された山口薫の作品、いずれも素晴らしかったです。
「牛と小鳥」はほんわかと明るさがあり、スローな牛とクイックな小鳥とのバランスがユーモラスであり、
おしゃべりで自由に飛び回れる小鳥のあり方に対する牛舎(この世のしがらみ)に閉じ込められ寡黙な牛(薫)のあこがれ、または戸惑いのようにも思え薫独特のの世界観、とても心がじんわりと豊かになりました。
こんな作品が自宅にあれば幸せだと思うのですが、大谷翔平に特大のホームランを打たれたピッチャーのように
至極真っ当ですが、遥か自分の予算には及ばない価格に完全に打ちのめされた感じです。
それでも、薫の「いのり」や清宮のガラス絵も素敵でした。









日暮れが随分早くなってきました。
突然の訪問ですみませんでした。
山口薫展、あれだけ揃うと圧巻です。

良かった作品は、「娘と牛」色彩が良い
「牛と小鳥」ややデザイン的なところがモダン
「太陽と馬」馬が割とリアル、バッグの黄色が美しい
水彩「或る楽しい日」壁画としても非常に良い。額もピッタリ。

薫は画文集が大変似合う作家さんです。
詩情があります。それぞれの絵のキャンバス裏に
短い詩がついていてもいいですね。「作家の言葉」です。

弥栄画廊さんはよくあれだけ良い作品をお集めになられたものですね‼︎
恐れ入りました。





いつもお通いくださるお客様、今回初めてご来店くださいましたお客様、それぞれ率直なお気持ちをお伝えくださり、私自身も大変参考になりました。心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。


会期が終わって少しホッとしておりますが、その間に調べられなかったことなどを今も資料で探っています。

以前の記事で、「悲しみを見定める」という小林秀雄の言葉を引用させていただきましたが、今回の展覧会での私自身のテーマは「薫が何を考えていたか」ということです。

画家が何を感じ、何を考え、何に苦しんでいたのか?

普通近代日本絵画に触れる時、作品を見ればそれは自ずからなんとなく感じられるものですが、薫に限っては直接的にそれを感じさせず、ただじんわりと温かく、ただ果てしなく寂しく。。

微かに画集などに言葉を添えてくれていますが、その言葉さえも詩として謎のままということが多々あります。

具象、抽象、近代日本洋画壇に、これほど「絵画の芸術性」を突き詰めた画家がいただだろうか?
と今あらためて感動しているところです。

そしてこの画家の晩年の思想の中心に松尾芭蕉がいたのではないか?という資料を見つけて喜んでいます。






ただ、照れ屋さんで気の小さい寂しがり屋さんで、大酒飲み。。という表層的な関心は、今回私から全てなくなりました。

山口薫の本当の魅力。

それを佐橋が身を持って、弥栄さんが全ての作品を持って、画商として皆様や私に強く伝えてくださっているということに今やっと気づきました。

私はなんと子供であったことだろう。そう感じ、

山口薫作品と日々お暮らしの皆様、今からお暮らしくださる皆様のご意見をこれからもぜひお聞きして参りたいと思っています。

一度ご来店くだされば、同じサロンのお仲間同士。


店で額を吊るすお手伝いをお客様にお願いしてしまう図々しさを持ってお伝え致しますが、
「どうぞ、このブログにもコメントなどみなさまの更なるご協力を賜りたくお願い申し上げます。」












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