つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

ご感想など

2024年11月14日 | 山口薫展
山口薫展、展覧会前、展覧会後にみなさまがお送りくださいましたメールやお便りの中からいくつかを、一部文章を抜粋してご紹介させていただきます。

ご感想などお寄せいただいた皆様にはお一人お一人にブログ掲載へのご意向をお尋ねしておりませんこと、お許しくださいませ。
勝手ながらご意見などございましたら、ご連絡をたまわりますようお願い申し上げます。













妙義山といえば群馬ですね。山口薫は故郷の風景や思い出を繰り返し描いており、群馬を代表する画家でしたね。
1939年の代表作の一つの「紐」の前には写実の時代があったそうですが、私は見たことがありませんでした。
「妙義山遠望」や「秩父遠望」その時代のものなのですね。実に堂々とした近代日本洋画ですね。
 
晩年の「月や馬や鳥や猫」も切ない一日の終わりの休息風景なのでしょうか。
むしろ「栗」の絵に癒しを求めたくなるかもしれませんね。
山口薫展楽しみにしております。











展覧された山口薫の作品、いずれも素晴らしかったです。
「牛と小鳥」はほんわかと明るさがあり、スローな牛とクイックな小鳥とのバランスがユーモラスであり、
おしゃべりで自由に飛び回れる小鳥のあり方に対する牛舎(この世のしがらみ)に閉じ込められ寡黙な牛(薫)のあこがれ、または戸惑いのようにも思え薫独特のの世界観、とても心がじんわりと豊かになりました。
こんな作品が自宅にあれば幸せだと思うのですが、大谷翔平に特大のホームランを打たれたピッチャーのように
至極真っ当ですが、遥か自分の予算には及ばない価格に完全に打ちのめされた感じです。
それでも、薫の「いのり」や清宮のガラス絵も素敵でした。









日暮れが随分早くなってきました。
突然の訪問ですみませんでした。
山口薫展、あれだけ揃うと圧巻です。

良かった作品は、「娘と牛」色彩が良い
「牛と小鳥」ややデザイン的なところがモダン
「太陽と馬」馬が割とリアル、バッグの黄色が美しい
水彩「或る楽しい日」壁画としても非常に良い。額もピッタリ。

薫は画文集が大変似合う作家さんです。
詩情があります。それぞれの絵のキャンバス裏に
短い詩がついていてもいいですね。「作家の言葉」です。

弥栄画廊さんはよくあれだけ良い作品をお集めになられたものですね‼︎
恐れ入りました。





いつもお通いくださるお客様、今回初めてご来店くださいましたお客様、それぞれ率直なお気持ちをお伝えくださり、私自身も大変参考になりました。心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。


会期が終わって少しホッとしておりますが、その間に調べられなかったことなどを今も資料で探っています。

以前の記事で、「悲しみを見定める」という小林秀雄の言葉を引用させていただきましたが、今回の展覧会での私自身のテーマは「薫が何を考えていたか」ということです。

画家が何を感じ、何を考え、何に苦しんでいたのか?

普通近代日本絵画に触れる時、作品を見ればそれは自ずからなんとなく感じられるものですが、薫に限っては直接的にそれを感じさせず、ただじんわりと温かく、ただ果てしなく寂しく。。

微かに画集などに言葉を添えてくれていますが、その言葉さえも詩として謎のままということが多々あります。

具象、抽象、近代日本洋画壇に、これほど「絵画の芸術性」を突き詰めた画家がいただだろうか?
と今あらためて感動しているところです。

そしてこの画家の晩年の思想の中心に松尾芭蕉がいたのではないか?という資料を見つけて喜んでいます。






ただ、照れ屋さんで気の小さい寂しがり屋さんで、大酒飲み。。という表層的な関心は、今回私から全てなくなりました。

山口薫の本当の魅力。

それを佐橋が身を持って、弥栄さんが全ての作品を持って、画商として皆様や私に強く伝えてくださっているということに今やっと気づきました。

私はなんと子供であったことだろう。そう感じ、

山口薫作品と日々お暮らしの皆様、今からお暮らしくださる皆様のご意見をこれからもぜひお聞きして参りたいと思っています。

一度ご来店くだされば、同じサロンのお仲間同士。


店で額を吊るすお手伝いをお客様にお願いしてしまう図々しさを持ってお伝え致しますが、
「どうぞ、このブログにもコメントなどみなさまの更なるご協力を賜りたくお願い申し上げます。」












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山口薫展

2024年11月12日 | 山口薫展
今回の展覧会には、沢山の方にご来店をいただきました。

名古屋にご用事のおついでもあったと思いますが、京都や東京からも何人かの方にお越しいただきました。

その中に19さん。
覚えていらっしゃるでしょうか?私が脇田和の少女の作品でクイズを出させていただいたときに、唯一正解をお寄せくださった女性の方。

その19さんが、ご主人さまとご一緒に今回東京からわざわざお出かけくださいました。

初めてのご対面。

ご予約をいただいてから、なんだかドキドキ落ち着かず、緊張してしまいました。ブログをご覧になっているとおっしゃってご来店くださる方はいままでも沢山いらしてくださいましたが、女性は初めてです。

しかも、以前からブログをお読みくださっているとのこと。。

実際お会いしてみると、とてもお優しく謙虚な方でいらして、またご主人さまも素敵な方でいらして、「あんなに緊張していたのはなぜだろう?」と思うくらい、私はぺちゃくちゃと一人興奮してお話をしてしまっていました。

また19さんも、名古屋にいらっしゃるのにかなり緊張をされていらしたとお聞きして、今流行りのマッチングアプリではありませんが、両想いのご対面だったのだと嬉しく思いました。


19さんは、先日私がクイズに出させていただいた山口薫の「妙義山遠望」についても、作家名がおわかりになったそうで、私が「どこをみて?」とお尋ねすると、「妙義山ということで、薫の出身地のことも思いましたし、画面の下半分の畑の描写で山口薫かな?と思いました」と教えてくださり、(*_*;びっくり!「ええーーはたけでぇ??」となりました。サインが見えたとかそういうことではないですよ。畑の描写に薫らしさを感じたとおっしゃるのです。

ブログを通し、いままでお会いできた方たちは本当に素敵な皆様でいらっしゃいましたが、この19さんの才能というか「眼」はただ者ではないなぁと改めて感じました。

もちろん、今回の薫の展示も楽しそうに、また深くご鑑賞いただきました。
そして、なんといってもその19さんに当店の「湖畔を飛ぶ影」をお褒めいただいたのは、とても嬉しいことでした。

これからはお手紙の交換や、ブログのコメントへのご協力など私から色々とお願いをさせていただきました。

そして、早速、先日斎藤典彦展にもお出かけくださったご感想をコメントでお寄せくださいました。




会期が終わってからも、毎日どなかかが薫の作品をご覧になりにお出かけくださっています。評判が評判を呼んでということもあるようです。

11月もあっという間に半ばを迎え、薫作品の全作品の展示は残すところあと2~3週間となりました。

日月祝日もお予約をいただけましたら、出来るだけ店に出て参りますので
よろしければこの機会をご利用ください。









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11月9日㈯ 

2024年11月09日 | 山口薫展
ブログに指を怪我したと書くと、すぐに家族からラインがあり、そうだった!
妹や義娘も読んでくれていたのだと今更気づくという。。怪我には慣れているし、傷みも一日で引いてくれたので、結局大したことはないのに、独りで暮らしていると「いたーい」「指切ったぁ~」と訴える相手がいないので、ついどこかで気を晴らしたくなるのだと反省をしました。

が、きっとまた何かあると小さな傷でも誰かに訴えるのだろうなぁと思います。きっと情けないなぁと思いながらブログにも書くのです。すみません、お許しください。


さて、おかげさまで指がかなり復活したしましたので、今日は山口薫展の会期中に、みなさまの人気を集めた作品を順にご紹介したいと思います。

トップはなんといってもエントランスに飾らせていただいた「親馬と仔馬」です。↑上の画像。


15号という大きさが圧倒的なのか?一度ギャラリーに入られてからも、自動ドアの開閉が間に合わないほど、みなさん何度もこの作品をご覧になりにエントランスに戻られました。

以下の油彩作品をご覧くださるとおわかりになると思いますが、「白」をどの部分に多くつかっているか?で皆様のお好みがわかれるような気がしています。いかがでしょうか。




2位は難しいのです。

いろいろな意味で一位といっても良いかなと思えるのがまず「娘と牛」です。

どなたもがお認めになる最高峰の作品、美術館でしか見られない作品と多くの方が圧倒されていらした作品です。ただ、コレクションとして選ぶとしたら?は1位だけれど、共に暮らすには少し肩の荷が重い。。緊張しそう、怖いというご意見も聞かせていただきました。そして、最後に「まぁ、買えないけれど。。」と必ず付け加えてくださいました。






素描のクマの後ろ姿は、みなさまの欲しい!の第一位だと思います。
それなのに?そのあたりのことはご来店くださったみなさまやお問合せくださったみなさまがご存知のとおりです。

けれど、鉛筆素描で、この手数で、ここまでムードのあるクロちゃんを描いた作品はなかなか無いと思えます。



3位はですね。一挙に候補が増えます。










この辺りだと思います。

共に暮らすという佐橋美術店的な趣味も含め、やはりこの辺りをご購入の候補に挙げられるお客様がおおくいらっしゃいます。

結局全部いいのじゃないですか?とお叱りを受けそうですが、プロの画家さんやその卵さん、美術館まわりのご趣味の方達のお気に入りをお聞きした結果を踏まえると、以上のような順位づけになりそうです。


そして、展示を始めてさせていただいてから一か月後の現在。
ブログに記事を書かせていただく作品順のこともあり、微妙に私の好みもでてじわじわと人気のトップに上がってきているのが、










こちらの作品達です。
薫がよく描く題材でなく、つまり薫らしくなく、けれど「薫しか描けないでしょ?」の作品たちです。

さてさて、この数週間でみなさまのお好みは少しづつ変わっていらしたでしょうか。よろしければ、コメントなどでご意見をお寄せください。

決断よくお約束いただいたみなさまも、お決めくださった当初は皆様更に迷われていた気がいたします。そうです、光栄にもこんな展覧会、わたしもみなさまも初めてですものね。

まずあらためまして、弥栄画廊さんの皆様に心から感謝したいと思っています。

そして、ぜひ何度でも、みなさまにこの展示をご覧になりにいらしていただきたいと思います。



一昨日立冬を迎え、秋らしい日々の記憶もなく、突然暦通りにお寒くなりました。どうぞ、みなさまお障りなく、お怪我などにご注意くださってお過ごしくださいませ。

来週からは、メールやお便りでお寄せいただきました山口薫展のみなさまのご感想などをご紹介したいと思っています。




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撮影したつもりはなかったのに

2024年11月05日 | 山口薫展
撮影したつもりはなかったのに、なぜか携帯に残っていた1枚の画像をご紹介させていただきました。

ブログの更新が遅くなり失礼致しました。


おかげさまで無事に、そして、とりあえず山口薫展を終えることができました。会期の最後の最後まで本当に沢山の方にご来店をいただきました。心より感謝申し上げます。




昨日はお休みをいただいて、以前から自分の心の中で予定していた「上京」をして参りました🚅


主目的は当店の看板をお書きくださいました日本画の斎藤典彦先生の東京藝大の退官記念展に伺うことでした。

私にはまず、一人で新幹線に乗るということから乗り越えなくてはならない壁がありましたのでとても緊張しましたが、富士山を越える位迄には隣に佐橋が居ない悲しさを何とか忘れる事が出来ました。泣かなかったもん!という程度ですけれど、多分これからは新幹線に長い時間乗っても大丈夫だと思えました。



さて、連休の最終日、名古屋駅も東京駅も、そして上野公園は大混雑💦
それでも人を掻き分け掻き分け公園を突き抜けて藝大に向かいました。






目的の陳列館が見えたところで、時間調整もあり、ベンチに座り一服しました。








佐橋が亡くなってすぐ、東京に帰らないのか?とお聞きくださる方が何人かいらしてくださいました。

実家に最も近い美術館はこの上野のお山に沢山あるので、そしてこの公園には思い出も沢山あるので、そんなお言葉も思い出し、毎日上野を散歩する自分の姿を想像してみましたが。。。

そんなセンチメンタルな気分に酔いしれてベンチに座っていると、何処からともなく大きくて真っ黒く、多分年長のカラスが🐦‍⬛私の真横に降りてきて「あなたのお膝の上のそのサンドウイッチ🥪をよこしなさい」と図図しくどんどん近づいてくるので、柳原義達ではあるまいし。。と思いながらこんなに近くで見た事もないカラスを、じっくり観察し写真におさめようとしたら〜結局怖くて〜



こんな写真しか残せず。。

カラスはサッサと私の隣のベンチで大きなお弁当を食べていらっしゃるお若いカップルを襲いに行っていました。

「今更、東京人ぶられてもねぇ」

カラスにそう告げられた思いになり、「はい、わたしはすっかり名古屋人です」とさっさとその場を離れました。

とても素敵だった斎藤典彦展をカラスの記事と一緒にご紹介するのはもったいないので、次の記事に書かせていただきますね。

とにかく私は今のところ元気でおります。みなさま、ありがとうございます。








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いのり

2024年11月05日 | 山口薫展
今回の山口薫展では、私なりの勝手な興味、見方で作品をご紹介してみようと思っていました。「何をおっしゃる。。いつもそうじゃないですか?」と皆様のお声が返ってきそうですが、割と真剣にそう考えていました。



山口薫については言葉の不要な画家、その作品たちだと思っていますが、「思想」という観点から作品を見たいと思っていたのです。


優しい、画商の無茶な注文をも断れない画家。
ロマンチスト、センチメンタルという言葉が似合う画家。

そういった表面的な捉え方では、薫の作品を捉えきられないと感じていたからです。

その意味で、私個人にとってはガッシュの「いのり」という作品は色々な刺激を与えてくれました。







今日、全画集にこんな作品を見つけました。1952年位の作品とあります。
(いのりの制作年代はわかりません)

一般の油彩画にはよくあるタイプの作品、デザイン的な作品かもしれませんが、薫の描く、この女性たちのお顔は怖いくらいに真剣で、なぜか私の心に刺さります。








山口薫が深酒を始めたのは30代に入る少し前、最初の結婚に失敗したころだと記述がありました。






親の反対を押し切っての結婚生活はわずか2ヶ月で破綻。


薫はその出来事に憔悴しきり、そのまま実家での療養を余儀なくされました。
また皮肉にもその頃から画家としての山口薫の評価は高くなるとあります。

この画集の掲載文によると、その頃山口薫はドイツ・ロマン派の哲学者、詩人ノーヴァリス「断章」、スイスの哲学者で詩人のアンリ・フレデリックアミエル「アミエルの日記」、アリルランドの小説家・詩人のジェイムズ・ジョイス「ユリシリーズ」、そして後にヘルマン・ヘッセに心酔するとあります。


残念ながら、私はヘッセの車輪の下を読んだ事があるくらいで、これらの書物に触れたことはありませんが、ネットなどで断片的な文を拾わせていただくと超現代的で難解な思想、或いは大変純粋で崇高な、それこそ「敬虔な」という言葉の似合う作品たちだと感じました。


色彩は、いわば物質と光の中間状態でありー光になろうとする物質の努力ーそれとは逆に物資になろうとする光の努力ーである。
性質とはすべて、上記の意味でー屈折した状態なのではないか。



魂の座は、内界と外界が触れあうところにある。内界と外界が浸透し合うところではーー浸透するすべての箇所に魂の座がある。



上記はドイツのノーヴァリス「断章」の中の文をネットで拾わせていただいたものですが、これほど短い文章の中にも
山口薫の作品の世界が十分に感じられ、大変感動をいたしました。


決して一方向的ではない形のありか。表現。
溶け合う、浸透し合うという言葉は、山口薫が興味を持っていたとされる松尾芭蕉や西行法師の歌や俳句の世界にも通じるものがあると感じます。


勿論、美術史的な画家としての思想もわきまえていたと思いますが、他の洋画家が仏教的な日本思想に近づいた印象に比べ、薫は西洋化の根拠に西洋的は思想、けれど大変東洋よりな西洋思想にその答えを探そうとしていたと私的には理解できました。


単に思想を絵にするというだけでは言い切れない、この画家の苦労の深度がやっと今私の実感として捉えられたように感じています。


絵でそれが表現できるのだろうか?という単純な疑問です。


みなさまにお伝えするにはまだまだ山口薫という画家に対する想像が浅いように感じますが、とりあえず「ここまで私なりの解釈は進んでまいりました」という言い訳をさせていただきました。


今日の名古屋は結局1日雨でした。

薫の竹の生えているお庭にはきっと雨が似合っただろうなぁと今想像しています。






また新しい作品についても書かせていただこうと思います。
















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