つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

U氏のコレクション

2024年01月06日 | お客様よりのお便り
お送りいただきました画像を1ヶ月近く私が抱え、ブログでのご紹介が大変遅くなってしまいました。

お仕事場に山口薫や金山平三、佐藤忠良のミミヅクのブロンズをお飾りになってくださっていらっしゃるお客様が私のお願いに応え、今回はご自宅のご様子をご紹介くださいました。

とりあえず画像を全て掲載させていただきましょう。



梅原龍三郎の岩彩作品、洋梨と柿です。懐かしい!

映り込みの問題だけでなく、梅原の作品は写真に撮ると少し静かになってしまう。

面白く無くなってしまうのですね

不思議なことであり、また当然といえば当然です。それこそが梅原作品でしょうから。







名城小学校の桜並木の南側、二軒目の店で大々的に開催させていただいた杉山寧展でお求めいただいた作品です。

私の記憶はいつも曖昧ですが、確か一度ご夫婦でご来店くださり、お帰りになられた後、引き返してご来店くださり
「この作品が欲しいです」とおっしゃってくださったと思います。

いつも意外で、いつも感動を与えてくださるのが、このお客様の「お買い物」です。





ご覧になりにくいかもしれません。
堂々たる浮田作品です。
お引き立ていただくようになった初期のお納めであったと記憶しています。






アイズピリ。

こちらは私も初めて拝見するお作品です。
額も含め、とても明るい、元気を与えてくれる作品ですね。
奥様のお人柄そのままだとも思えます。

つい、「重さ」を想像してしまうのは、間違いなく私が1人になってしまったからだと思います。
また奥様にお会いして元気をいただかなくては!



ここまでが、2階、3階のお廊下に飾っていらっしゃる作品だとお聞きしています。
なんとまぁ贅沢な〜と思いながら、階段にこの牛島とお聞きしてさらに驚きました。




サムホール、確かにとても小さな作品ですが、
牛島の「青」をたっぷり楽しめる、佐橋も私も大好きな作品でした。








画像をお送りくださると同時にお言葉もお添えくださいました。


自宅は私の好きな近代日本洋画と妻の好きなフランスモノや杉山寧。
はたまた娘の好きな浮世絵などコレクションに一貫性がないのですが、 それこそが自宅かとも思えます。 恥ずかしながら、何かお役に立てる物があればご利用ください。 写真は映り込みが多く申し訳ありません。


ご家族4人、みなさまが絵画をお好きでいてくださる珍しいお客様です。

中学生、小学生でいらしたお子様達がそれぞれご立派な20代の大人になられました。
時々ご夫妻とご一緒に当店にもお立ち寄りいただくことがあり、そのご成長ぶりを拝見するのを私たちの楽しみでもありました。

浮世絵はお嬢様のお部屋に、最後の荻須作品はご子息のお部屋に飾っていらっしゃるのですね。







最後はお玄関に飾られていらっしゃる作品のご紹介です。

当店では扱いの珍しいことでしたが、小品の割に実にビュッフェらしい魅力たっぷりの作品であることを
お認めいただきお求めをいただきました。

懐かしい、心温まる思い出のある作品です。







そして、お玄関にはもう一点。岡田三郎助の風景画を。

お納めのお約束をいただきました時の感動ばかりを思い出し、この作品の内容のことをすっかり忘れてしまっていたことを私は今とても恥ずかしく思っています。

こんなに良い作品だったかしら・・・
正直に申し上げますと、そう感じています。


と、ブログを書きながら私は朝のお味噌汁を作るのに、出汁を入れたタッパーの蓋が開かず、四苦八苦しています。
ゴム手袋まで出してきましたが、まだ開いていません。

けれど、それが、人、家族、自宅というものではないでしょうか。

バラバラのご趣味の作品それぞれに、ご家族4人のご性格や、その4人のご家族としての組み合わせ?営みが感じ取れるような気がしております。

このご家族様とのお暮らしを通して、ご主人様がどのようにコレクションを広げていかれるのかを私は今とても楽しみにさせていただいています。

60代になられたばかりのお客様ですが、まだまだ本領を発揮されていらっしゃらない。

孤独感、その感性は随一のものをお持ちだと感じます。

「その時」には、きっと頭の良さ、ご家族という鎧をお脱ぎになり、驚くほどのコレクションを展開されるだろうと想像しています。

そしてその時には、本当の意味でご家族がお客様をお支えになるだろう。そう信じています。

この岡田作品をお持ちになり続けるということは、そういうことだとも思います。

お客様も、私も無理をしなくても良い。どのような形になるかはわからないけれど、本当に必要ならば必ずその時は来るのだと思います。佐橋とのお別れが意味を持つその時がいつか必ずくるでしょう。


今タッパーの蓋が開きました!!!

これで前に進めます。ご飯を食べて、支度をして初仕事に出かけます。











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お客様のギャラリー拝見

2024年01月05日 | お客様よりのお便り
昨年末から私がしつこく各お客様に「作品を飾っていらっしゃるご様子を画像でお送りください!」とお願いをしておりましたので、それに応え画像をお送りくださるお客様がいらしてくださいました。

まずこちらは、名古屋市内で和菓子店を経営されていらっしゃるお客様のお店のご様子です。

さて、当店がお納めした作品はどこにお飾りくださっているでしょうか?


このお客様は職人さんであり、お商売をされる商人さんでもいらっしゃいます。
多分、日常には色々な感情が湧き起こっていらっしゃるのだろうと思います。ですから、ご趣味もとても広い。


手前のショーウィンドウには、まず古い楽譜。確かネウマ譜。一気にクリスマスの気分に誘われます。

ずいぶん大きなドールハウスと沢山のお人形達。


そして、そうです!当店からはその隣で美しく光っているラリックのガラス作品をお納めしました。

ほんの少し前なのに、「懐かしい輝き」

この作品をクリスマスに合わせてお飾りいただくと聞いて驚き、内心、「大丈夫?」と思っていましたが、
この画像を見て「なるほど!」と安心いたしました。





立派な床の間には大きなクリスマスツリーとやはり当店がお納め致しました佐野繁次郎作品、これは裏側の作品ですね。
表はお馴染みの絵画作品、裏にはこうして佐野の構造主義に関する言葉が書かれています。

この裏側の作品をクリスマスのイメージに重ねてお飾りくださいましたのが、このお客様のセンスです。

ラリックにしても、佐野繁次郎にしても、当店にあった頃のイメージと違う印象を受けます。

それは、このお客様が作品を楽しんでいてくださっている。ご自分を表現してくださっている証拠です。

















こちらのお店は京菓子司 亀広良さん。

朝廷に菓子の「献上」を許されたお役目が京菓子司。

京都で修行を積み、各季節を丁寧に感じ、素材を厳選し、「一期一会の上菓子を表現し続けている」
名古屋では珍しく志の高いお店でいらっしゃると私は思っています。








上菓子にはお題が必ず添えられます。
今年のお正月のお菓子、「和」
守一の作品のようなお菓子ですね。



年末の大変お忙しい中を画像をお届けくださいましたこのお客様にもいつも大きな励ましをいただいています。

また季節の移り変わりとともに、お店の様子をお知らせいただきたいと思います。
ご協力、まことにありがとうございました。













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Y氏のコレクション

2023年12月02日 | お客様よりのお便り
佐橋と共にいつか実現したいと思っていたことの中のひとつに、当店に長くお通いくださいますお客様方のコレクションを何点かお預かりし、当店で「コレクション展」を開いていただこうというものがありました。

「いつか」という将来は、私どもの店特有のある事情から、なかなか予定を立てることができませんでしたが、まして、私ひとりになってしまいますとお客様の作品をお預かりに伺ったり、またお預かりいたしましてもうまく保管、展示させていただく自信がありませんので諦めなくてはいけないことと思っていましたが、ふと「そうだ、ブログがあるじゃないのぉ」と先日思い立ちました。


「Y氏のコレクション」
このお客様は、当店の開店当時から、いえそれ以前の佐橋の丁稚奉公時代から
美術品をお集めくださっていらっしゃるコレクターさまです。
佐橋とのおつきあいは30年以上、その間お休みされることなく、また多分、全て!あるいは全てに近い作品を佐橋からお求めくださいました。佐橋の急逝を「家族を喪うように悲しい」とお伝えくださり、実際昨年、また一昨年と大切なご家族さまを喪っていらっしゃられたばかりですので、私はこのお言葉を大変もったいなく、そしてその深さに想像さえ及ばない画商とお客様の絆のようなものを感じさせていただきました。私自身も佐橋ととともに毎月お会いするようになり20年となります。また佐橋が体調を崩してからはお返事が書けなくなってしまいましたが、ながく文通もさせていただいております。名古屋のご出身。人見知りでいらっしゃる一面と、けれどはっきりご自身のお気持ちをお伝えになる一面とをお持ちの60代後半に入られるお医者さまでいらっしゃいます。

突然の私の申し出をお受けくださり、早速ご自宅に今飾られていらっしゃる作品を画像でお送りくださいました。ちょうど法事を催されてご来客のみなさまにご所有の作品をご紹介される意味も含めての作品選びでいらっしゃると思います。今は大きな作品よりも小品を手軽に飾り替えされていらっしゃるご様子です。



大きなお庭に面する応接室の壁にはまず東山魁夷の「山湖」

個人コレクターさまのコレクションには「サイズ」とい問題の占める要素が大きいと思っています。ご自宅に飾られるとなりますと、どうしてもサイズに制限がかかります。また長い年月ご所蔵となりますと大きな作品をお飾りになるご負担が心配になります。
小さいながらにその画家のエッセンスが色濃く感じられる作品、そしてその作品自体にかける画家の意欲、集中力そして技術。その結実度を見極めるのが大変難しいことだと感じます。









その横の小さな壁面には、小磯良平の油彩画フランス人形をお飾りです。

この作品についてご本人様からこんなコメントをお寄せいただきました。

小磯先生は神戸の方です 作品は洋風で品があり、私の大好きな作家さんです いくつもの西洋人形を持っておられ それを描いた作品が幾つかあります 勿論人物画もたくさん描いてみえますが 人形と人 その描き分けがしっかりできるのも小磯先生の実力です 
人はその息づかいまでしっかり描ききれないといけない 逆に人形には呼吸も体温もありません シーンとした静けさがあると思います





この作品をY様に初めてご覧にいれるときに、「小磯作品を入手しました」とお知らせせず、壁面にこうしてあるったけの小品を飾らせていただき
宝石箱から小磯をお見つけいただくようにこの作品と出会って戴こうと壁に沢山釘を打ったり、それぞれの作品を飾る場所を2人でああでもこうでもないと相談した時のことを思い出します。

ここで作品に出会っていただく。
出会いの驚き、喜びをより深く味わっていただく。
それがこの店の意味、私たちの仕事の意味であると感じます。



ご自宅の他の場所にお飾りになっていらっしゃる作品の画像も頂戴しております。
また機会をみてY氏のコレクション②の記事を書かせていただきますね。







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今年も師走を迎えます。

2022年11月29日 | お客様よりのお便り
「玄関に架ける季節に合った細物のお軸がなく
仕方なく薫の柿を架けたところ母は随分気に入り
賞賛の声 和の場所でも絵の内容によっては油彩画も捨てた物ではありませんね 
逆に洋間にお軸も可 今や何でもありの時代です」


少し前に、お客様からこのようなメールを頂戴致しました。
以前にもこの山口薫の柿をお飾りくださっている画像を皆様にご紹介させていただいたかもしれません。
現在当店の所蔵している「柿」と同じ頃に仕入れさせていただき、お納めした懐かしい作品です。







いつかの春にはこのような感じで、同じお玄関先をお飾りになられていらっしゃいました。

いつも作品を飾る場所に、何もなくなると何だか少し寂しい気が致しますね。

コレクター道、はや30年。そのほとんど全ての作品を佐橋からお求めいただいているお客様のコレクションは日本画、油彩画のジャンルを超えてかなりの数になられました。最近ではお軸の作品も時々お求めくださいます。

当店が営業を始めさせていただいてからも20年間、私達もほぼ毎月お客様にお会いしておりますので、兄弟、姉妹よりも頻繁にお話をさせていただいている実感があります。最近では近くに住む息子よりも多く??




薫の柿に賞賛の声をあげてくださった90代になられるお母様は、この一年の間に、ご家族さまお二人とお別れをされました。


ご子息であるお客様はお仕事がお忙しくていらっしゃるので、お母様は随分と長い時間をご自宅でお一人でお過ごしになられているとお聞きしています。

そして、そのお一人で過ごされる時間に、毎日じっと絵をご覧くださっているともお聞きしました。

特に、先日お納めした梅原龍三郎の薔薇は大変お気に召してくださり、来る日も来る日も眺めてくださったそうです。







日本画を習っていらしたお母様のお目に梅原の薔薇はどのように映られたのでしょうか。

90年を生きてこられたご婦人に、ご家族をなくされてお寂しいお気持ちに、この梅原の作品はどのように寄り添ったのでしょうか。





少し早く、少しイレギュラーではありますが、今年のアッパレ!お買い物賞はこの梅原をお納め致しましたお客様、というより
この作品を毎日毎日お一人で眺めてくださったお母さまにお贈りしたいと存じます。

また年末近くなりましたら、今年当店が各お客様にお納め致しました作品につき少し書かせて頂こうと思っております。








本日、店内の掛け替えも致しましたので、また明日以降ご紹介致しますね。

全国的に天気が荒れているようです。どうぞ皆さま、お気をつけてお過ごしください。
















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お客さまからのお便り

2022年02月10日 | お客様よりのお便り
先日、佐久間さんの作品をこのブログでご紹介させていただきました翌日、御遠方のお客様からご連絡をいただきました。

作家と作品についてのお問い合わせ。ちょうど佐橋が店におりましたので、電話でお話しさせていただきました。

その後、以下のようなメールも頂戴いたしました。




佐久間さんの作品について懇切丁寧な対応、ありがとうございました。10数年前に東京の画廊で若い作家の作品を求めました。私にとっては今でも大切な一点です。今も現役作家として頑張っておられます。若い作家のものはこの一点のみです。

ちょうど今時分になって若い作家さんの作品が欲しいと思っていたところ、若い感性の作品がブログに掲載され、気になってお聞きをしたものです。



お若い作家さんの作品を扱うことの意味を、お客様のこのお便りから、あらためて感じました。

「気になって求めた作品の、そしてその画家の、10年後を楽しみにする」


それは、まだ見ぬ「10年後の自分」を楽しみにするという事に繋がるのかもしれません。


10年後、生きているか?それも、段々危うくなってくるお年頃の私達だからこそ!という事もあるでしょう。

実際私達も、去年ピンチに晒されて、何か自然の流れの中で佐久間さんに作品を催促していました。









命を超えて繋がるもの。

命を超えて繋げるもの。

美術品の魅力はそこに有り、きっと私達はその永遠を信じて、大いなる「収集病」に罹るのだと思います。

残念ながら、その病気をお治しする事はできませんが、、、

「美は信である」という小林秀雄の言葉を頼りに、
それぞれのお客様のコレクションを豊かに、美しく感じ、学ばせていただけますように、
又私達のコレクションで皆さまに何かしらをお伝えできます様に、いつも願っています。



佐久間さんはまだまだこれからの作家さんでいらっしゃいますが、このブログでお客様にご興味をお持ちいただけた事を

大変嬉しく思っています。ありがとう存じました。






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