第5日 2003年10月19日(日)
熊野本宮大社、小雲取越え =整備された小雲取道=
宿泊した熊野川温泉さつきで7時半に朝食をして、8時過ぎに旅館のマイクロバスで出
発した。熊野川右岸沿いに国道168号線を進んで、土産物店などの並ぶ熊野本宮大社前
で下りる。
出発を前に、太い杉戸立ちに囲まれた熊野本宮大社に参拝する。熊野本宮大社は、熊野
速玉大社、熊野那智大社と合わせて熊野三山と呼ばれ、その中心で全国3000の熊野神
社の総本山。約2000年前の崇神天皇65年の鎮座という古社である。
寺のような山門、檜皮葺き(ひわだぶき)の神殿、神殿を取り巻く板垣などの落ちつい
た彩りにその歴史が感じられる。熊野三山のシンボル、八咫烏(やたがらす)の大きなの
ぼりも目についた。
今日の参加者は20人、いつものように「エイエイオー」をしてから記念撮影後、熊野
本宮大社の大鳥居前をスタートする。
小雲取越え(こぐもとりごえ)道が始まる請川までは、熊野川に沿った国道168号線
を3㎞ほど進む。幅広い熊野川は水が少なく河原の方が目につく。
請川橋の先の下地橋バス停の横から小雲取越えの道に上がる。茶の花などが咲く数戸の
民家を過ぎると杉林。木立の間から2、3か所で熊野川の流れが見下ろせたが、やがて展
望はなくなった。
菅笠に白衣の巡礼姿の若い女性が休んでいた。聞くと、熊野三山を歩いて回っていると
いう。熊野古道は、若い人も引きつける何ものかがあるようだ。
木漏れ日の差し込む道に落ち葉が積もり、やわらかな足触り。斜面をトラバースするよ
うに進んだ道は、右側の谷への分岐を過ぎて尾根道となる。幅広く石畳が敷き詰められ、
江戸時代に駕籠も通ったことが実感できる。
よく枝打ちして背の高い杉木立の中を上り道が続くので、ゆっくりと上がる。万才峠
(ばんぜとうげ)への分岐を過ぎると傾斜がきつくなり、やがて右に回り込んで百間(ひ
ゃっけん)ぐらに着く。重畳と重なる緑の山並みの大展望である。ここでも記念撮影を。
加法山(609m)の西斜面、標高450m付近をトラバースしながら進むと、右から
林道が上がってきて交差する。「皇太子殿下行啓の地」の新しい碑が立っていた。
数年前、皇太子殿下がこの先のコースを歩かれたとのこと。
杉木立下の尾根道。ところどころにリンドウが1輪ずつ咲いている。たくさん積まれた
小石の上にお地蔵さんが立っていた。旅の途中で亡くなった人の霊を慰めるために造られ
たのだという。
杉木立の下に休憩舎があったので昼食とする。石堂(いしどう)茶屋の跡で、西側の谷
には水場もあるようだ。
案内板によれば、茶屋の名はこの辺りから砥石(といし)が出たのが語源のようで、里
人は「イシンド茶屋」と呼んだようだ。
昨日までは古道を行き交う人はわずかだったが、今日は日曜日なので何グループかの人
と会う。食事を終わる頃、抜いてきた10数人のグループが着き、腰を下ろした。
茶屋の先にはビッシリこけが生え、緑のじゅうたんの上を歩くような感じ。しばらくは
幅広い石畳の尾根道が続き、杉落ち葉がいっぱい積もった階段もあった。
東側の山並みの展望が開け、やがて桜峠である。すぐ先に明治の末年まで桜茶屋があり、
庭に桜の大木があったとか。
いまは斎藤茂吉の歌碑が立つ。そういえば、皇太子行啓碑以降、ところどころに歌碑が
立っていた。
茶屋跡から赤木へ下る道を分け、尾根道は赤木川に向かって下り始める。1輪ずつ咲く
リンドウや、随所に立つ歌碑や句碑を横目にピッチが上がる。
杉林が途切れて展望が利くようになり、谷筋を大きく蛇行する赤木川や小和瀬(こわせ)
の集落が眼下に迫ってきた。
石畳が終わり、いわゆるひざが笑うような急斜面が続くので、転ばぬよう注意して下る。
石の祠(ほこら)に収まった足切地蔵↑を通過して間もなく、赤木川左岸の小集落、小
和瀬に下りた。川を渡ったところにトイレがあったので最後の休憩をする。
赤木川右岸の車道を進み、支流の小口(こぐち)川の中の島にある小口自然の家に15
時前に着いた。よく伸びた庭の芝生で靴を脱ぎ、ストレッチ体操をして宿に入る。
小口自然の家は、小学校の跡に建てられた木造平屋建て。学校のような板張りの長い廊
下に沿って部屋が並んでいる。夕食は食堂のテーブルで、地元産物中心の家庭料理を美味
しくいただいた。
〈コースタイム〉熊野本宮大社8:55~9:19-請川(弁当受領)10:00~10-小雲取上り
口10:14-南側の谷への分岐10:42-万才峠への分岐11:12-休憩11:15~25-百間ぐら
11:45~53-林道交差地点12:05-石堂茶屋跡(昼食)12:19~13:05-桜茶屋跡13:37
~45-足切地蔵14:25-赤木川橋際の休憩所(WC)14:31~45-小口自然の家14:55
(天気 晴、距離 17㎞、地図(1/2.5万) 伏拝、本宮、歩行地 和歌山県本宮
町(現・田辺市)、熊野川町(現・新宮市))
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熊野本宮大社、小雲取越え =整備された小雲取道=
宿泊した熊野川温泉さつきで7時半に朝食をして、8時過ぎに旅館のマイクロバスで出
発した。熊野川右岸沿いに国道168号線を進んで、土産物店などの並ぶ熊野本宮大社前
で下りる。
出発を前に、太い杉戸立ちに囲まれた熊野本宮大社に参拝する。熊野本宮大社は、熊野
速玉大社、熊野那智大社と合わせて熊野三山と呼ばれ、その中心で全国3000の熊野神
社の総本山。約2000年前の崇神天皇65年の鎮座という古社である。
寺のような山門、檜皮葺き(ひわだぶき)の神殿、神殿を取り巻く板垣などの落ちつい
た彩りにその歴史が感じられる。熊野三山のシンボル、八咫烏(やたがらす)の大きなの
ぼりも目についた。
今日の参加者は20人、いつものように「エイエイオー」をしてから記念撮影後、熊野
本宮大社の大鳥居前をスタートする。
小雲取越え(こぐもとりごえ)道が始まる請川までは、熊野川に沿った国道168号線
を3㎞ほど進む。幅広い熊野川は水が少なく河原の方が目につく。
請川橋の先の下地橋バス停の横から小雲取越えの道に上がる。茶の花などが咲く数戸の
民家を過ぎると杉林。木立の間から2、3か所で熊野川の流れが見下ろせたが、やがて展
望はなくなった。
菅笠に白衣の巡礼姿の若い女性が休んでいた。聞くと、熊野三山を歩いて回っていると
いう。熊野古道は、若い人も引きつける何ものかがあるようだ。
木漏れ日の差し込む道に落ち葉が積もり、やわらかな足触り。斜面をトラバースするよ
うに進んだ道は、右側の谷への分岐を過ぎて尾根道となる。幅広く石畳が敷き詰められ、
江戸時代に駕籠も通ったことが実感できる。
よく枝打ちして背の高い杉木立の中を上り道が続くので、ゆっくりと上がる。万才峠
(ばんぜとうげ)への分岐を過ぎると傾斜がきつくなり、やがて右に回り込んで百間(ひ
ゃっけん)ぐらに着く。重畳と重なる緑の山並みの大展望である。ここでも記念撮影を。
加法山(609m)の西斜面、標高450m付近をトラバースしながら進むと、右から
林道が上がってきて交差する。「皇太子殿下行啓の地」の新しい碑が立っていた。
数年前、皇太子殿下がこの先のコースを歩かれたとのこと。
杉木立下の尾根道。ところどころにリンドウが1輪ずつ咲いている。たくさん積まれた
小石の上にお地蔵さんが立っていた。旅の途中で亡くなった人の霊を慰めるために造られ
たのだという。
杉木立の下に休憩舎があったので昼食とする。石堂(いしどう)茶屋の跡で、西側の谷
には水場もあるようだ。
案内板によれば、茶屋の名はこの辺りから砥石(といし)が出たのが語源のようで、里
人は「イシンド茶屋」と呼んだようだ。
昨日までは古道を行き交う人はわずかだったが、今日は日曜日なので何グループかの人
と会う。食事を終わる頃、抜いてきた10数人のグループが着き、腰を下ろした。
茶屋の先にはビッシリこけが生え、緑のじゅうたんの上を歩くような感じ。しばらくは
幅広い石畳の尾根道が続き、杉落ち葉がいっぱい積もった階段もあった。
東側の山並みの展望が開け、やがて桜峠である。すぐ先に明治の末年まで桜茶屋があり、
庭に桜の大木があったとか。
いまは斎藤茂吉の歌碑が立つ。そういえば、皇太子行啓碑以降、ところどころに歌碑が
立っていた。
茶屋跡から赤木へ下る道を分け、尾根道は赤木川に向かって下り始める。1輪ずつ咲く
リンドウや、随所に立つ歌碑や句碑を横目にピッチが上がる。
杉林が途切れて展望が利くようになり、谷筋を大きく蛇行する赤木川や小和瀬(こわせ)
の集落が眼下に迫ってきた。
石畳が終わり、いわゆるひざが笑うような急斜面が続くので、転ばぬよう注意して下る。
石の祠(ほこら)に収まった足切地蔵↑を通過して間もなく、赤木川左岸の小集落、小
和瀬に下りた。川を渡ったところにトイレがあったので最後の休憩をする。
赤木川右岸の車道を進み、支流の小口(こぐち)川の中の島にある小口自然の家に15
時前に着いた。よく伸びた庭の芝生で靴を脱ぎ、ストレッチ体操をして宿に入る。
小口自然の家は、小学校の跡に建てられた木造平屋建て。学校のような板張りの長い廊
下に沿って部屋が並んでいる。夕食は食堂のテーブルで、地元産物中心の家庭料理を美味
しくいただいた。
〈コースタイム〉熊野本宮大社8:55~9:19-請川(弁当受領)10:00~10-小雲取上り
口10:14-南側の谷への分岐10:42-万才峠への分岐11:12-休憩11:15~25-百間ぐら
11:45~53-林道交差地点12:05-石堂茶屋跡(昼食)12:19~13:05-桜茶屋跡13:37
~45-足切地蔵14:25-赤木川橋際の休憩所(WC)14:31~45-小口自然の家14:55
(天気 晴、距離 17㎞、地図(1/2.5万) 伏拝、本宮、歩行地 和歌山県本宮
町(現・田辺市)、熊野川町(現・新宮市))
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