あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

熊野古道 伊勢路と本宮道を歩く③(三重)(2003年)

2020-09-09 12:58:15 | 熊野古道を歩く

 2020年9月9日(水)

 台風10号は、予想され特別警報の発令はなくて済みましたが、宮崎県椎葉村のがけ崩
れなど九州各地を中心に人災や停電、浸水被害などあり、椎葉村ではいまも行方不明者の
捜索が続けられているようで心が痛みます。

 避難者も20万人を超えたとか、これが首都圏や関西だったらどんな人数になったのだ
ろうかと思うと予想もつきません。1日も早い復興が望まれます。
 
 しばらく間が開きましたが、2003年10月の熊野古道レポートの3日目です。

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 第3日 2003年10月17日(金)
 甫母峠、二木島峠、逢神坂峠、大吹峠、松本峠、鬼ヶ城  =五つの峠を越える=


 尾鷲市三木里町の民宿嬉志野の前からバスに乗り賀田(かた)湾沿いに回り、JR紀勢
本線賀田駅の南の賀田バス停で下りた。


 左手に、賀田湾や大クスなどの森に囲まれた飛島神社を見ながら国道311号線を1㎞
ほど南下し、曽根町の町外れから甫母峠(ほぼとうげ)への上りにかかった。

 上り口にあるコンクリートの祠(ほこら)に入った古い六地蔵が、われわれの安全を見
送ってくれているようだ。


 民家の間から急な石段を上がって行くと、真珠貝の養殖いかだなどの並ぶ賀田湾の展望
がよい。鏡のような静かな海面に周辺の山並みを映し、清々しい眺めだ。


 ヒノキの木立の下に古い石垣が目につく。猪垣(ししがき)と呼び、イノシシから畑の
作物を守るために作られたもの。


 わずかな盛り上がりからそれと知れる曽根一里塚跡を過ぎ、幅広い石畳を上がって甫母
峠(300m)に着く。

 薄くらい杉やヒノキの木立の中に休憩舎がある。甫母峠は、曽根次郞坂・太郎坂とも呼
ばれるが、由来は、ここが紀伊と志摩の国境で、自領、他領がなまったものとか。

 十分ほど先の、楯見ヶ丘と呼ぶ展望のよい場所で休憩。木のベンチもあり、海からの風
が気持ち良い。


 尾根上を進む古道は、適度に落ち葉が積もり歩きやすい土道。ここにもウラジロが多い。
ところどころに木の階段も設けられていた。

 下るにつれて苔(こけ)むした猪垣が増え、城壁かと思われるような立派なものもある。

 猪垣の説明板によれば、寛保元(1741)年から1年で築いたものだという。そばに、
猪落としと呼ぶ落とし穴もあった。

 山道が終わり、国道311号線バイパスの西の谷橋に下りた。二木島湾の最奥部と、そ
れを囲むわずかな民家を見下ろす好展望の場所である。


 ミカン畑の横から急階段を上がり下りして、新逢川橋を渡ったところで休憩した。JR
二木島駅はすぐ先の高台にある。


 JRの鉄橋下を抜け、背後に山の迫った相川の民家の間から階段を上がって、駅北側の
高台に出る。


 廃屋の屋敷の庭先を抜け、石の祠の鎮座するキリシタン灯籠↑前を進んで二木島湾を見
下ろす国道に出た。

 
 少し先、コンクリートの壁面に急階段があり、熊野古道の表示に従いその階段を上がる。
再び山道となり、よく手入れされた真っ直ぐなヒノキの木立が並んでいる。苔むす谷間の
石畳を上がって二木島峠(にぎしまとうげ・240m)に着いた。

 ここも展望はないので小休止で通過する。緩やかな下り坂は陽が差し込み、草の生えた
土の道が多い。

     
 水場のある沢を横切ると小さめの石畳道。間伐された比較的明るい針葉樹林を緩やかに
上がり、三つ目の峠、逢神坂峠(おおかみざかとうげ・290m)に着く。

 やはりヒノキの木立で見晴らしはない。


 下りは、背の高いヒノキの木立の下、緑に苔むした立派な石畳が目につく。

 再び猪垣が現れ、右手に石積みの棚田も見えてきた。橋間集落の民家の間を通過し、湊
川を越えて新鹿(あたしか)の海岸に出る。

 緩やかな円弧を描く新鹿湾沿いに回り、今は静かな海水浴場の休憩施設前で記念撮影を
して昼食となる。

 目の前180度に広がる緑の山並みと、真っ青な新鹿湾を眺めながらの昼食。ほかでは
あまり得られぬぜいたくな眺めだ。


 国道311号線を少し進んで、JR紀勢本線の甫本トンネル入口付近からはトンネル上
の山道と国道とを行き戻りする。東波田須集落では、南向きの急傾斜地に並ぶ民家の前の
狭い道をトラバースして通過、わずかに残る鎌倉時代のものという苔むした石畳道を上る。




 中波田須町から西波田須町にかけては、集落の上を走るカーブの多い国道を車に注意し
ながら通過し、休憩舎のあるところから大吹峠への山道に入った。
     

 モウソウ竹の竹林の間を10分余りで大吹峠(おおぶきとうげ・205m)。あっけな
く上がったので休憩もせずに下りへ。峠の先にも立派なモウソウ竹の林がある。
         

 やがてヒノキ林となり、石畳を下ると右側の谷間の展望が開けてくる。赤い前垂れをし
た常夜灯と地蔵さんの前を通過し、石を切り出して山塊が平らになった石切場付近で車道
に下りた。


 再び国道311号線に出て、海沿いの旧道を進んで大泊町を抜ける。宮川の橋を渡って
間もなく、右手の標識に従い今日最後の峠、松本峠へ向かう。

 標高差はわずかだがかなりの傾斜、ビッシリ敷き詰められた石畳を上がって竹林の中の
松本峠(135m)に着いた。赤垂れをつけた地蔵や石塔が立っている。地蔵には鉄砲傷
があるようだが、確認はしなかった。


 林の中の遊歩道を南に進み、展望のよい休憩舎に上がる。西側、眼下の熊野市街から真
っ直ぐに延びる七里御浜の展望が素晴らしい。
 
 その先、滝見の岡からは、大泊の湾の北側、山の中腹から落ちる清滝と呼ぶ大きな滝が
遠望できる。

 遊歩道の尽きたところは鬼ヶ城跡、鬼の見晴台と呼ぶ展望台があり、大泊の町並みや広
々とした太平洋が一望である。






 階段状の東側の遊歩道を一気に下って、観光バスの駐車場に出る。アーケードのある土
産物店の間を抜けると、海岸の巨大な岩盤が浸食された奇勝・鬼ヶ城(おにがじょう)で
ある。



 岩をくりぬいたトンネルの先は、千畳敷といわれる広い岩盤。それに覆い被さるような
岩の間を、半島を一周する遊歩道が続いている。


 海にそぎ落ちるような岩盤に付けられた細い遊歩道、鉄製の手すりにつかまりながら慎
重に上がり下りして半島の西側に出た。
     

 日暮れて涼しくなってきた。熊野市の中心、木本町(きのもとちょう)の市街地に入り、
17時近くに熊野市駅に着いた。

 迎えのマイクロバスで、市街地や熊野灘を見下ろす高台にある、かんぽの宿熊野に入る。

〈コースタイム〉三木里バス停7:33=曽根バス停7:55-甫母峠上り口(WC)8:10~16
-曽根一里塚跡8:40-甫母峠9:01~07-楯見ヶ丘9:17~33-猪垣記念碑10:15-新逢
川橋(二木島駅そば)10:42~53-二木島峠11:31~35-逢神坂峠11:54~12:00-湊川
橋12:36-新鹿海水浴場(昼食・WC)12:40~13:20-大吹峠上り口(WC)14:19~28
-大吹峠14:40-山道下った車道15:02~04-松本峠上り口15:16-松本峠15:28~34-
鬼の見晴台15:50~52-鬼ヶ城千畳敷16:18-周遊路終わり16:37-熊野市駅16:55

(天気 快晴後晴、距離 19㎞、地図(1/2.5万) 賀田、磯崎、木本、歩行地
 三重県尾鷲市、熊野市)



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