2020年9月9日(水)
台風10号は、予想され特別警報の発令はなくて済みましたが、宮崎県椎葉村のがけ崩
れなど九州各地を中心に人災や停電、浸水被害などあり、椎葉村ではいまも行方不明者の
捜索が続けられているようで心が痛みます。
避難者も20万人を超えたとか、これが首都圏や関西だったらどんな人数になったのだ
ろうかと思うと予想もつきません。1日も早い復興が望まれます。
しばらく間が開きましたが、2003年10月の熊野古道レポートの3日目です。
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第3日 2003年10月17日(金)
甫母峠、二木島峠、逢神坂峠、大吹峠、松本峠、鬼ヶ城 =五つの峠を越える=
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/4c/ddb95b82e7f7a029009533c372408532.jpg)
尾鷲市三木里町の民宿嬉志野の前からバスに乗り賀田(かた)湾沿いに回り、JR紀勢
本線賀田駅の南の賀田バス停で下りた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/b3/a1eb4cc06d10e3eb99eb1ceeac037560.jpg)
左手に、賀田湾や大クスなどの森に囲まれた飛島神社を見ながら国道311号線を1㎞
ほど南下し、曽根町の町外れから甫母峠(ほぼとうげ)への上りにかかった。
上り口にあるコンクリートの祠(ほこら)に入った古い六地蔵が、われわれの安全を見
送ってくれているようだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/b3/38ec129d1baa79d5934063a9b7d059c5.jpg)
民家の間から急な石段を上がって行くと、真珠貝の養殖いかだなどの並ぶ賀田湾の展望
がよい。鏡のような静かな海面に周辺の山並みを映し、清々しい眺めだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/a9/04347b22450fc60ee90a83249fb39ae7.jpg)
ヒノキの木立の下に古い石垣が目につく。猪垣(ししがき)と呼び、イノシシから畑の
作物を守るために作られたもの。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/ad/ce97c3abc4fd1b86f7771e7afe5f0003.jpg)
わずかな盛り上がりからそれと知れる曽根一里塚跡を過ぎ、幅広い石畳を上がって甫母
峠(300m)に着く。
薄くらい杉やヒノキの木立の中に休憩舎がある。甫母峠は、曽根次郞坂・太郎坂とも呼
ばれるが、由来は、ここが紀伊と志摩の国境で、自領、他領がなまったものとか。
十分ほど先の、楯見ヶ丘と呼ぶ展望のよい場所で休憩。木のベンチもあり、海からの風
が気持ち良い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/de/1bb4fa944baae7b07478ab330455589f.jpg)
尾根上を進む古道は、適度に落ち葉が積もり歩きやすい土道。ここにもウラジロが多い。
ところどころに木の階段も設けられていた。
下るにつれて苔(こけ)むした猪垣が増え、城壁かと思われるような立派なものもある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/75/d5aefbef9cf3157c1ef600cb95a72a23.jpg)
猪垣の説明板によれば、寛保元(1741)年から1年で築いたものだという。そばに、
猪落としと呼ぶ落とし穴もあった。
山道が終わり、国道311号線バイパスの西の谷橋に下りた。二木島湾の最奥部と、そ
れを囲むわずかな民家を見下ろす好展望の場所である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/d0/6332d3f3338520a168e2e2d951b6171a.jpg)
ミカン畑の横から急階段を上がり下りして、新逢川橋を渡ったところで休憩した。JR
二木島駅はすぐ先の高台にある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/74/bcba51c12fb0f542f65800ca8b6e93fb.jpg)
JRの鉄橋下を抜け、背後に山の迫った相川の民家の間から階段を上がって、駅北側の
高台に出る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/bf/c5acab5538806190a1834dadd19f6f80.jpg)
廃屋の屋敷の庭先を抜け、石の祠の鎮座するキリシタン灯籠↑前を進んで二木島湾を見
下ろす国道に出た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/f5/358bed255f72118a61a57ffd833465c0.jpg)
少し先、コンクリートの壁面に急階段があり、熊野古道の表示に従いその階段を上がる。
再び山道となり、よく手入れされた真っ直ぐなヒノキの木立が並んでいる。苔むす谷間の
石畳を上がって二木島峠(にぎしまとうげ・240m)に着いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/7b/e6820b44070721bae0e29f6b5aff0aec.jpg)
ここも展望はないので小休止で通過する。緩やかな下り坂は陽が差し込み、草の生えた
土の道が多い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/44/e55e31321b98b4f22ed352d382054bd2.jpg)
水場のある沢を横切ると小さめの石畳道。間伐された比較的明るい針葉樹林を緩やかに
上がり、三つ目の峠、逢神坂峠(おおかみざかとうげ・290m)に着く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/f1/a4b422f64aa99ba5dd752ab6fa642f7b.jpg)
やはりヒノキの木立で見晴らしはない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/79/efe2e0c20e0507a3f737bbbb7f403888.jpg)
下りは、背の高いヒノキの木立の下、緑に苔むした立派な石畳が目につく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/f3/0ea985b198266bc3ec8a944a1ad5338b.jpg)
再び猪垣が現れ、右手に石積みの棚田も見えてきた。橋間集落の民家の間を通過し、湊
川を越えて新鹿(あたしか)の海岸に出る。
緩やかな円弧を描く新鹿湾沿いに回り、今は静かな海水浴場の休憩施設前で記念撮影を
して昼食となる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/14/1d2f528833b0061cddbe9a5b9b62f919.jpg)
目の前180度に広がる緑の山並みと、真っ青な新鹿湾を眺めながらの昼食。ほかでは
あまり得られぬぜいたくな眺めだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/ef/4c0f6139288d5813995001fb058ea465.jpg)
国道311号線を少し進んで、JR紀勢本線の甫本トンネル入口付近からはトンネル上
の山道と国道とを行き戻りする。東波田須集落では、南向きの急傾斜地に並ぶ民家の前の
狭い道をトラバースして通過、わずかに残る鎌倉時代のものという苔むした石畳道を上る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/df/06225378084616d9d004de377644d01e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/b4/fe9bca6c2497c8999e38434870c0b3e5.jpg)
中波田須町から西波田須町にかけては、集落の上を走るカーブの多い国道を車に注意し
ながら通過し、休憩舎のあるところから大吹峠への山道に入った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/0e/37521087c09885c008333f95957c420a.jpg)
モウソウ竹の竹林の間を10分余りで大吹峠(おおぶきとうげ・205m)。あっけな
く上がったので休憩もせずに下りへ。峠の先にも立派なモウソウ竹の林がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/37/6aef0805d7dc32bef494929a2707b855.jpg)
やがてヒノキ林となり、石畳を下ると右側の谷間の展望が開けてくる。赤い前垂れをし
た常夜灯と地蔵さんの前を通過し、石を切り出して山塊が平らになった石切場付近で車道
に下りた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/b6/67360c2e534da25f1229ce4bb0ce73cd.jpg)
再び国道311号線に出て、海沿いの旧道を進んで大泊町を抜ける。宮川の橋を渡って
間もなく、右手の標識に従い今日最後の峠、松本峠へ向かう。
標高差はわずかだがかなりの傾斜、ビッシリ敷き詰められた石畳を上がって竹林の中の
松本峠(135m)に着いた。赤垂れをつけた地蔵や石塔が立っている。地蔵には鉄砲傷
があるようだが、確認はしなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/87/751fa81e8092219b7a91ea9837690e95.jpg)
林の中の遊歩道を南に進み、展望のよい休憩舎に上がる。西側、眼下の熊野市街から真
っ直ぐに延びる七里御浜の展望が素晴らしい。
その先、滝見の岡からは、大泊の湾の北側、山の中腹から落ちる清滝と呼ぶ大きな滝が
遠望できる。
遊歩道の尽きたところは鬼ヶ城跡、鬼の見晴台と呼ぶ展望台があり、大泊の町並みや広
々とした太平洋が一望である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/be/db6250a4245c45112df075527a8a74dc.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/97/e3815522f609ff9626be94b4e6d64be2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/91/5c210512f46572dda1c8f531b106b25b.jpg)
階段状の東側の遊歩道を一気に下って、観光バスの駐車場に出る。アーケードのある土
産物店の間を抜けると、海岸の巨大な岩盤が浸食された奇勝・鬼ヶ城(おにがじょう)で
ある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/e5/89edb69e0f9785485d6e2439a25a505b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/6b/0e89c3acabf58e6be96e50cb30ec1698.jpg)
岩をくりぬいたトンネルの先は、千畳敷といわれる広い岩盤。それに覆い被さるような
岩の間を、半島を一周する遊歩道が続いている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/72/67865d758ca519eded68a2f73c41025c.jpg)
海にそぎ落ちるような岩盤に付けられた細い遊歩道、鉄製の手すりにつかまりながら慎
重に上がり下りして半島の西側に出た。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/6e/2451ef46c628208678d6a4b94578d25b.jpg)
日暮れて涼しくなってきた。熊野市の中心、木本町(きのもとちょう)の市街地に入り、
17時近くに熊野市駅に着いた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/ac/605e094c0588fd868621dd3f727ed8f0.jpg)
迎えのマイクロバスで、市街地や熊野灘を見下ろす高台にある、かんぽの宿熊野に入る。
〈コースタイム〉三木里バス停7:33=曽根バス停7:55-甫母峠上り口(WC)8:10~16
-曽根一里塚跡8:40-甫母峠9:01~07-楯見ヶ丘9:17~33-猪垣記念碑10:15-新逢
川橋(二木島駅そば)10:42~53-二木島峠11:31~35-逢神坂峠11:54~12:00-湊川
橋12:36-新鹿海水浴場(昼食・WC)12:40~13:20-大吹峠上り口(WC)14:19~28
-大吹峠14:40-山道下った車道15:02~04-松本峠上り口15:16-松本峠15:28~34-
鬼の見晴台15:50~52-鬼ヶ城千畳敷16:18-周遊路終わり16:37-熊野市駅16:55
(天気 快晴後晴、距離 19㎞、地図(1/2.5万) 賀田、磯崎、木本、歩行地
三重県尾鷲市、熊野市)
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