愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

からだの初期化を試みよう13 アローン操体法 第二部 弾性ストレッチング(2)

2015-09-18 17:36:27 | 体操法
IIB 指および手首

IIB-1)4本の手指屈筋群
両手を顔の前にして、左手の4本指を右手の手のひらに当てます(写真IIB-1)。肘を適当に曲げた状態(写真IIB-2)から、右手は、できるだけそのままの状態を保ち、左手の動きに対して抵抗するようにして、左手を急に前方に突き出します(写真IIB-3)。結果的に左手の手首が前方に突き出るようになります。

(写真IIB-1)
(写真IIB-2)(写真IIB-3)

この動作を8回(8点呼)繰り返します。

右手4本指についても、同じ要領で行います。

(注意)この弾性ストレッチング動作で注意すべき点は、4本指すべてに偏りなく、一様にストレッチングが掛かるようにすること、および左手の突き出す力と右手で抵抗する力を加減して、4本の指に対して“弱からず、強からず”の弾性ストレッチングとなるようにすることです。

IIB-2)親指の屈筋群
両手を顔の前にして、左手の親指を右手の手のひらに当てます(写真IIB-4)。肘を適当に曲げた状態(写真IIB-5)から、右手は、できるだけそのままの状態を保ち、左手の動きに対して抵抗するようにして、左手を急に前方に突き出します(写真IIB-6)。結果的に左手の他の4本指が前方に突き出るようになります。

(写真IIB-4)
(写真IIB-5)(写真IIB-6)

この動作を8回(8点呼)繰り返します。

右手親指についても、同じ要領で行います。

(注意)この弾性ストレッチング動作で注意すべき点は、左手の突き出す力と右手で抵抗する力を加減して、親指に対して“弱からず、強からず”の弾性ストレッチングとなるようにすることです。

IIB-3)手首の屈筋・伸筋群
屈筋群
両手を顔の前にして、左手の手のひらを前方に向け、その甲側を右手で掴み、左肘および左手首を曲げた状態にします(写真IIB-7)。この状態から、左手の力は抜き、右手で左手を急に前方に突き出し、左手の手首を反らす(伸展位となる)ようにします(写真IIB-8)。

(写真IIB-7)(写真IIB-8)

この動作を8回(8点呼)繰り返します。

右手首についても、同じ要領で行います。

(注意)この弾性ストレッチング動作で注意すべき点は、右手で左手を急に前方に突き出す強さは、手首への衝撃が“弱からず、強からず”となるよう注意して行います。

伸筋群
両手を顔の前にして、左手の手のひらを手前に向け、その手のひら側を右手で掴み、左肘を曲げ、左手首を反らした状態にします。この状態から、左手の力は抜き、右手で左手を急に前方に突き出し、左手の手首を曲げる(屈曲位となる)ようにします。

この動作を8回(8点呼)繰り返します。

右手の伸筋群についても同じ要領で行います。

(注意)注意する点は、屈筋群の場合と同様です。

[解説]
手、特に手指は、握る、掴む、物を取る、PCのキーボードを叩く、スマフォの画面を操作する、等々、あらゆる日常活動において重要な働きをしております。また休息時にあっても5本の指は常に屈曲した状態にあります。つまり常に屈曲した、偏った状態に置かれていることを意味しております。この状態が長期に及ぶと、手指が屈曲位で固まってしまい、手を開いたとき、手指が十分に伸びきれず、曲がった状態になってしまう可能性があります。

またある種のスポーツ、例えば、硬式テニスやゴルフなどでは、手首の伸筋群が酷使されていると考えられます。

このような状況にも関わらず、手指や手首の日常のケアについては関心が低いようで、世に知られている健康に関わる体操で手指や手首に関する項目を扱った例にはお目に掛かっておりません。意外なことです。

これらの日常的なケア不足の結果として、手指がよく伸びない、あるいはテニス肘に見られるように手首の伸筋群に傷害を起こすなど、好ましくない事象が起こる可能性があります。

本アローン操体法では、手指・手首それぞれの部分の屈曲・伸筋群に偏りなく調整することを目指して、重要な体操の一項目として組み入れてあります。すなわち、第一部では、静的ストレッチングにより手指・手首の屈筋・伸筋群ともに柔軟性を増すよう心がけ、またこの第二部では、弾性ストレッチングにより筋肉の瞬発性を高めることを目しております。

かねて運動に親しんでいない人も、またスポーツを楽しんでいる人も、これら手指・手首のケアに心がけて、傷害を未然に防ぎ、各自お好みの運動をより楽しいものにしてほしいと願っている次第です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

からだの初期化を試みよう12 アローン操体法 第二部 弾性ストレッチング(1)

2015-09-10 15:53:44 | 体操法

天高く馬肥ゆる季節となりました。適切にエネルギーを消耗して、度を過ぎて肥ゆることのないよう心がけ、体調を整えるようにしましょう。

リハビリの先駆者Rene Caillietは、”Exercise must be a way of life”(運動が生活リズムの一部となるように)と述べております。

アローン操体法第2部、反動をつけた運動を進めていきます。

目的 
第二部の目的は、全身各部の筋肉の弾性ストレッチングにより、各部関節を含めて、全身を温めることである。

IIA 体幹
IIA-1. 前屈と後屈
両足を揃えて立ちます。両手を床に突き当てる要領で、反動をつけて前屈を4点呼繰り返します(写真IIA-1)。

注)前屈のときに、膝を曲げないように注意しましょう。

IIA-1

続いて身体を起こして、両手を頭上に挙げ、反動をつけて上体を後方にそらせる動作を4点呼繰り返します(写真IIA-2)。

前屈・後屈を4点呼ずつ2回繰り返します。

注)両手の4本指を交互に組み合わせて、手のひらを、前屈のときは下に、後屈のときは上に向けて行うとより効果的です。

IIA-2

IIA-2. 側屈
左側への側屈:両足を肩幅に開いて立ち、頭上で、左手で右手の手首をつかみ、右手の4指を軽く左手手刀部に掛けます。左手で右手を左側下方に引っ張るようにして、4点呼、反動をつけて身体を左に曲げます(写真IIA-3)。

右側への側屈:左側への側屈と同じ要領で、反動をつけて身体を右側へ曲げます。

左右へそれぞれ4点呼ずつ2回繰り返します。

注)顔は正面を向き、上体を前または後ろに倒すことなく、真横に屈曲するようにしましょう。
注)両手の4本指を交互に組み合わせて行っても同様に効果的です。その際も、やはり屈曲側の手で対側の手を引っ張るようにします。また手のひらを上に向けるようにするとより効果的でしょう。

IIA-3

IIA-3. 回旋 
左側への回旋:両足を肩幅に開いて立ち、両手を前に挙げます。左手で右手の手首をつかみ、右手指は左手手刀部にひっかけます。反動をつけて左手で右手を左後方に引くようにして、反動をつけて身体を左に回旋させます(写真IIA-4)。

右側への回旋:反対方向についても同様に行い、左右4点呼ずつ2回繰り返します。

注)顔も上体同様、しっかりと回旋する側に向けるようにします。
注)両手の4本指を交互に組み合わせて行ってもよい。その際、やはり回旋する側の手で対側の手を引っ張るようにします。また手のひらは自然に下向きにします。

IIA-4

[解説]
反動をつけて身体を曲げる運動(弾性ストレッチング)では、本質的に、曲げる反対側、つまり、引き伸ばされる側では、そこの筋肉両端の腱には、筋肉を受動的に伸ばすために生ずる力と、反射的に筋肉自身が収縮しようとするために生ずる力が同時に加重的に働くことになります。その結果、筋肉両端の腱には異常な力が掛かることになり、ときに腱に傷害をもたらす可能性すらあります。

具体的には、予備運動なしに急に走り出したなど、ふくらはぎの筋肉に急に負担がかかったとき、アキレス腱に断裂を起こすことはよく聞くことです。

これから述べる身体各部の弾性ストレッチング運動では、第一部 静的ストレッチング運動を行い、十分に体の緊張をほぐしたのちに行うことが肝要と言えます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

閑話休題(13) 漢詩を読む 賀知章「年とってふるさとに帰る」(2)

2015-09-04 10:53:47 | 漢詩を読む
回郷偶書 二首    郷に回(カエ)りて偶(タマ)たま書す

其二
離別家郷歳月多   家郷に離別して歳月多し
近来人事半銷磨   近来 人事半ば銷磨(ショウマ)す
唯有門前鏡湖水   唯だ門前 鏡湖(キョウコ)の水有るのみ
春風不改旧時波   春風に改めず 旧時の波

現代訳
故郷を離れて長い年月がたち、
近ごろは世の中のこともほとんどが移り変わってしまった。
ただ、門の前の鏡湖の水だけが、
春風に吹かれて昔のままの波を立てている。
   [石川 忠久 監修 『NHK新漢詩紀行ガイド』 5、2010 (p.94)から]

<私感>
賀知章は、唐の建国後約40年、唐が最盛期に向かうころ、現在の浙江省紹興で生まれている(659-744)。則天武后の治世時に進士に合格、続く玄宗皇帝の代には高官につき、官界で非常な影響力を持っていたようである。李白の詩文を見て、即座に「謫仙人也」と評して、李白を皇帝に紹介したという逸話がある。
  注)謫仙人(タクセンニン)=仙人の世界から追いやられれて、人間界に来た人

賀知章は、性格は豪放磊落、破天荒なところがあったようである。紹興の生まれであることとは関係ないと思われますが、大の酒好きのようであった。杜甫の詩「飲中八仙歌」の中で 当時の酒飲み八人衆(酔八仙)のトップに挙げられているくらいである。

80歳のころ体調がすぐれず、辞職を願い出て、皇帝に惜しまれながら、許されて帰郷することになった と。その際、50年近くに及ぶ長年のお勤めに対する褒美として、皇帝から「何がほしいか」と問われ、そこで所望して賜ったのが、故郷の湖“鏡湖”であった。
故郷に帰っても、子供たちからは、よそ者と見られたが、“鏡湖”のみは、昔のままで迎えてくれた、とその感慨が伝わってくるようです。しかしその“鏡湖”は、今日埋め立てられて姿を消しているようである。やはり時、所を選ばず、自然環境の変化は避けられそうにない。

翻って、今日、本邦の内情を見るに、旧時の賀知章のごとく、久しぶりに故郷に帰って感慨に浸るという状況にはない。地方にあっては、大雨、地震、津波、台風等々の自然の力に、さらに人為も加わり、生活の基盤がもろくも破壊されつつある。土地の荒廃、人口の都市集中に拍車が掛かる大きな要因であると考えられる。

そうでなくとも狭い日本列島、山地が約70%も占めており、土地の有効活用は最も重要であろう。一朝一夕に解決できる課題であるとは思えないが、個々人の力は勿論必要であるにしても、政治の役割こそ大事かと思われる。地方のみならず、国全体にとっての“地方創生!”、一筋でも光が見えるよう大きく期待しているのである。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする