愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

からだの初期化を試みよう20 アローン操体法 余話-1 背伸び(2)

2015-11-27 15:31:03 | 健康
まず、ぐっすりとやすんだ後、眠りから覚めた時点での‘からだ’がどういう状態にあるのか想像してみたい。一日の活動の始まる瞬間ですが、全身、超リラックスした状態にあるであろうことは想像に難くない。ただ、この超リラックスした状態が、運動であれ、仕事であれ、直ちに活動を開始してよい状態にあるか と問うことから論を始めたい。

この問いへの答えは、からだの‘初期化’とは? について考える上でのヒントを提供してくれると考えている。なお、“超リラックス”と“超”を付けたわけは、追々記していきたい。

PC周辺の諸機器、例えば、記録メデイアのDVDデイスクについて言えば、“物体”であるデイスクに、PCにつないで働かせるためのソフト、“ドライバー”(?)を組み込み入れて初めて働かせることができる。

クルマで言えば、“物体”である車体(エンジンを含めて)で、エンジンを起動して“アイドリング”の状態にして初めて、クラッチ、アクセル等々の操作で動かすことができる。かつて、特に、冬場では、クルマの運転は、アイドリングを充分に行い、エンジンを温めたのちに開始していたものである。

眠りから覚めて間もないヒトの‘からだ’の状態は、“ドライバー”の組み込まれていないPC周辺機器、あるいはアイドリング状態にない”クルマ“に譬えられるのではないか と考えられる。つまり、超リラックスした状態にあり、直ちに活動を行える状態にはない と言えるのではないか。

早朝に目覚めた際、大抵、寝床の中で横になったまゝで、両腕を頭上に伸ばして、“ウーン”と、身体を右に左に捻りながら、全身で“背伸び”をするのが筆者の一日の始まりである。これは無意識の行動である。

つらつら考えるに、この行動は、例えば、“ドライバー”を組み込む、あるいは“アイドリング”の状態にするなどのように、ヒトが一日の活動を開始するにあたって“からだを超リラックス状態から抜け出させる”ための必要最小限の本能的な行動であるように思われる。

イヌやネコでも、眠りから覚めて、行動を開始するとき、“背伸び”を思わせる行動をとることは、先に述べた通りである [からだの初期化を試みよう 2 イヌ・ネコに学ぶ(1)、2015.03.31 投稿]。鳥でも片足を伸ばして、同時に、同じ側の片翼を広げて伸ばす、また両脚を直にしながら、今にも飛び立つように両翼をバタバタと2,3回羽ばたくなどの所作をすることがあり、やはり“背伸び”を思わせる。“背伸び”は、生物(動物)に備わった本能的な行動の一つであろう。

以後、ヒトでの超リラックスした状態とは、具体的にどういう状態と考えられるのか、無意識的に行われる“背伸び”の際、身体に何が起こっているのか、また意識的に“背伸び”を行う意義など、順次想像を巡らしていきたい。
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からだの初期化を試みよう19 アローン操体法 余話-1 背伸び(1)

2015-11-15 16:29:24 | 健康
今年10月7日~12日の間、京都高島屋グランドホ-ルで、第62回日本伝統工芸展(京都展)が開かれ、いろいろな分野で入賞された伝統工芸品が展示された。中でも人形分野の桐塑作品の一つで、井上楊彩作の「目覚めの刻(とき)」と題した人形に魅せられ、惹かれて会場を訪ねた。

まず写真1をご覧頂きたい。可憐な乙女が、薄紫のタイツに身をつつんで、ウーンと、両手を挙げて“背伸び”をしている姿です。「目覚めの刻」と題されているところから、朝に目覚めた直後でしょう。

 写真1

しなやかな身体を、心地良さそうにのびのびと伸ばして、新鮮で、爽やかな朝の空気を胸いっぱいに吸っているようです。生の喜びが感じられます。

残念なのは、上の写真は、当日配られたポスターのコピーであるため、作品の良さが十分に伝えられているとは言えません。ただ姿・形を伝えるために、敢えて挙げたに過ぎません。

実際の像は、ほぼ二十数cm高の桐塑彩色作品ですが、肌や衣装の色使い、からだの線、顔の表情…..非常に印象に残る作品です。なおこの作品は、2015年第62回日本伝統工芸展の“会長賞”に輝いています。実物は一見の価値ありと言えます。

偶々、今10月のさる日、NHK TVニュースで該展覧会開催の件が、人形「目覚めの刻」の写真とともに報じられたのが目に入った。筆者は、常々“背伸び”の効用を考えていた矢先で、人形「目覚めの刻」の姿態が目に焼き付き、居たたまれず、実物を見るために急遽会場を訪れた次第である。

向後、“背伸び”について考えていきます。
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からだの初期化を試みよう18アローン操体法第三部 静的ストレッチング (2)

2015-11-08 17:28:05 | 体操法
III 腰・骨盤周囲:柔軟性の増進

IIIB-1 骨盤と股関節 -左側骨盤の左斜め前突き出し
両足を肩幅に開いて立ち、左手を骨盤左後方の正中線寄りに当てます。左足に体重を乗せ、左手で骨盤をゆっくりと左外側斜め前方に突き出すように押し込んでいき、上体を後方に反らします(写真IIIB-1)。この状態で深呼吸を3,4回行います。左手を当てた骨盤部が体を反らせる支点となります。

写真IIIB-1

IIIB-2 骨盤と股関節 -左股関節での左斜め前屈
左足を左前方に踏み出し、左脚はまっすぐ伸ばしたまま、腰を左外側斜め前方向に屈めていきます。と同時に左手を、親指を下にネジを回すように内回りにして、前に押出していきます。右手でかぶさるようにして、左手首を掴みます。

左手を、右手の助けを借りながら左斜め前方向に突き出し、同時にお尻を右斜め方向に突き出すようにして、お尻と手とが引っ張り合うようにします(写真IIIB-2)。この状態で深呼吸を3,4回行います。左股関節部が体を折る支点となります。

写真IIIB-2

反対側の右骨盤側・股関節部についても、IIIB-1、IIIB-2に続けて同じ要領で行います。

IIIB-3 骨盤と股関節 -左側骨盤の右斜め前突き出し
左足に体重を乗せ、IIIB-1と同様に、左手を骨盤の左後方に当てます。本項では、左手で骨盤を、ゆっくりと右斜め方向に突き出すように押し込んでいき、上体を後方に反らします(写真IIIB-3)。この状態で深呼吸を3,4回行います。左手を当てた骨盤部が体を反らせる支点となります。

写真IIIB-3

IIIB-4 骨盤と股関節 -左股関節での右斜め前屈
体重は左足に乗せたまま、左脚をまっすぐにのばして、右斜め前方向に腰を屈めていきます。と同時に左手を、手のひらが上側に向くよう左手を外回しにしながら右斜め前方向に突き出し、右手で左手首を下側から掴みます。左手を、右手の力を借りて、右斜め前方向に突き出しながら、一方、お尻を左斜め後ろに突き出していき、お尻と手が引っ張り合うようにします(写真IIIB-4)。この状態で深呼吸を3,4回行います。左股関節部が体を折る支点となります。

写真IIIB-4

反対側の右骨盤側についても、IIIB-3、IIIB-4に続けて同じ要領で行います。

IIIB-5 上体の回旋
両足を大きく開いて、左回りに2回、続けて右回りに2回、ゆっくりと上体を回旋させます。これまでの運動で強いられてきたからだの緊張をほぐすように、ゆっくりと行います。[操体法 完]

[解説]
本項については2,3解説が要る。

§ 仙腸関節の可動性について:
本項の主な狙いは、仙腸関節の可動性を高めることにある。ヒトの青年期にあっては、仙腸関節の可動性がなお在ることから、その狙いはそれとして正しい。しかし中年を過ぎる頃には、その可動性はほとんどなくなるようである。可動性の有無あるいはその程度は、年齢により、また各人の日常活動状況によって個人差があると言えよう。

一方、骨組織では、骨に対して圧縮力またはストレッチの負荷が掛かったときに、骨生成細胞が活性化され、新しい骨組織が生成されることが判っている。すなわち、骨に負荷を掛けることにより“骨密度”あるいは骨の“しなやかさ”は増すと考えられる。重力の負荷が掛からない状態が続くと、骨が弱くなることは、宇宙飛行士についての知見から容易に納得できることである。

仙腸関節に負荷をかける運動項目を設定した理由はそこにあります。ヒトの活動で中心的な役割を担う骨盤部で、その関節の可動性が失われていたにしても、骨の“強靭さ”また“しなやかさ”を増すことに繋がるであろうことを期待しているからである。

§ 腕を“ひねる”(回内・回外)動作について:
ヒトの肩関節は、あらゆる方向に動くことのできる特徴的な関節です。いずれかの方向の可動性に制限があると、日常生活を送るに当たって支障を来すことになります。

IIIB-2およびIIIB-4では、親指を下に(回内)あるいは手のひらを上に(回外)になるようにして腕を“ひねり伸ばす”動作があります。この動作では、回内・回外に関わる肩・腕部の筋群に静的ストレッチングを掛けることを狙いにしています。骨盤部位のみに注意するのでなく、その点も十分に注意を払って実践して頂きたい。

§ アローン操体法の狙い:
本項をもって“アローン操体法”についての体操法の記述は完了することになります。振り返って、健康のために運動・体操をする狙いは、筋力、持久力、瞬発力および柔軟性の向上、さらに平衡感覚を養うことであること、また“アローン操体法”は、その目的を達成するのにバランスのとれた体操法であると述べた(2015-06-11投稿)。これまで連載してきた体操法を実践・経験された方には、“からだの初期化”の意味も含めて、実感して頂いたものと確信いたします。

§ Exercise must be a way of life. (運動が生活リズムの一部となるように):
今日、一般的に語られるようになったリハビリテーション(リハビリ)の考え、さらにその実践を世に広めた先達の一人にルネ・カリエ(Rene Callier)という方がおられる。彼は、リハビリのバイブルとされる書物をいくつか著している。本節の英文標題は、彼の書物に挙げられた“標語”である。

直訳すると、「エクササイズは生き方の一つにすべきである」ということでしょうか。筆者は、上記のように意訳しています。その趣旨は、‘健康の維持・増進のためには、一日3度の食事と同じように、運動が、生涯にわたる日常生活のリズムの一部となるようにしなさい’ということかと理解しています。

§ 健康体操教室「アローン操体クラブ」について:
筆者は現在、健康体操教室「アローン操体クラブ」を主宰している。NPO法人「ライフ スキル研究所」(http://lifeskill-npo.org/index.html)のご協力を得て、活動開始後13年目を迎えています。同教室では、アローン操体法を中心に据えて、からだを整えた後、気功体操である「八段錦」(長岡帰山著 『気功『八段錦』をよむ』、エンタプライズ社刊;楊名時・渋谷麻紗著『「気」の太極拳 美心健康法』講談社刊 準拠)および簡化24式太極拳(李天驥著 『太極拳の真髄』 BABジャパン出版局刊;李徳印著 『太極拳基礎講座 基本功と簡化24式太極拳』 ベースボ-ル マガジン社刊;李徳芳・呉増楽著『簡化24式太極拳入門』 BABジャパン出版局刊 準拠)を毎週1回、1時間みっちりと実施している。定例会の曜日には、年末、年始およびお盆の連休日を除いて、祝祭日に関係なく毎週実施することにしている。この会合が、‘生活リズムの一部となるように’との趣旨に沿ったものである。

本教室とは離れて、外部公共機関の要望により、一般市民を対象にした、半日体操教室を開催した経験がある。‘アローン操体法’の実践と、健康についての理解を深めるための基礎的な‘運動生理学‘の話も合わせて行った。

男女ともに、一般市民の健康体操に対する関心は非常に高いと感じた。如何せん、半日教室では、充分に内容を伝えるには難がある。健康あるいは健康体操についての理解を深めるのに役立つ何かを提供したい と考えて、まず‘アローン操体法’の実践法を紹介することにした。お役に立つことになれば幸甚である。
[アローン操体法 完]。



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