遊哈爾濱 [下平声一先韻]
無山迢迢対江漣,
山無く迢迢(チョウチョウ)たり松花江の漣(サザナミ) に対し,
龍塔高樓衝碧天。
龍塔(リュウトウ) 高樓(コウロウ) 碧天(ヘキテン)を衝(ツ)く。
鐘響教堂群鴿舞,
鐘 響(ヒビ)く 教堂(キョウドウ) 群の鴿(ハト)舞う,
鶯啼公園太極拳。
鶯 啼(ナ)く公園に太極拳。
昭昭発展不知限,
昭昭(ショウショウ)として発展 限りを知らず,
翳翳苦渋過去緣。
翳翳(イイ)たる苦渋(クジュウ) 過去の緣(エン)。
向導有如真喜鵲,
向導(コウドウ)は真の喜鵲の如くにして,
相交使客感心円。
相交(アイマジワリ)て客をして心円(マドカ)なるを感ぜしめる。
註] 〇江漣:“江”は大河の松花江、流れがゆったりと漣を立てているさま; 〇龍塔:
高さ336m の黒竜江電視台の電波塔; 〇教堂:ロシア正教会の聖ソフィア大聖堂;
〇昭昭:明るく輝くさま; 〇翳翳:隠れていて暗く、物事を識ることが難しいさま;
〇向導:案内人; 〇喜鵲:カササギ、七夕の夜、天の川に鵲の群れが橋となり織姫を
渡して彦星と会わせたという伝説の鳥。
<現代語訳>
ハルピンに遊ぶ
遥かに見渡す限り山は無く、行きつくところ松花江に至り、龍塔が碧天を衝いて高く聳えている。遠く鐘を響かせる聖ソフィア大聖堂では 平和を運ぶハトの群れが舞っており、鶯が囀る公園では人々が太極拳を演じていた。街の発展は限りなく進んでおり、明るい気持ちにさせる、ただ過去を思い起こさせる史跡には胸の奥に苦渋を覚える。この旅を案内してくれた方々は真のカササギの様であり、この旅の交わりで心穏やかになるのを感じさせた。
<簡体字表記>
游哈尔滨
无山迢迢对江涟,龙塔高楼冲碧天。
钟响教堂群鸽舞,莺啼公园太极拳。
昭昭发展不知限,翳翳苦涩过去缘。
向导有如真喜鹊, 相交使客感心圆。
早朝の公園内の一画、健康体操を楽しむ人たち
<記>
2018年6月中旬中国北部のハルピン市を訪ねた。マイクロバスに揺られて、あるいは自らの脚で歩き回る、4泊5日のノンビリ旅であった。
北摂で中国語会話教室を主宰する先生のお里帰りに便乗した生徒たちの小集団で、いわば家族旅行のようなものである。現地での一切の行動は、現地在住の先生のお姉さんの案内に拠った。感謝申し上げたい。
以下、ハルピンの印象を点描する。まず、山らしき峰一つ見えず、まさに緑の“大地”で、遥かに松花江の土手が見え、360°周、高楼が並び建つ情景は驚きであった。
街の発展の象徴はハルピン大劇場か、オペラハウス(1,600人収容)や大・小劇場があり、大劇場はヤチダモの木で内装されていて、音響効果は素晴らしい と。
現在、歴史博物館となっている聖ソフィア大聖堂、黒竜江電視台の電波塔・龍塔(高さ336m)、太極拳や健康体操(上写真)など、市民の憩いの場である。