愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

閑話休題 223 飛蓬-130 コロナ下の五輪・パラ輪 東京2020

2021-08-04 09:57:26 | 漢詩を読む
コロナ感染者の増加が止まらない。我が国では“第5波”の到来である。今波の感染者増加速度は、特に急勾配で、感染者数の最高値も高く、いずれも日々記録更新の勢いである。感染力が強いとされるδ-変異株の関与が大きく影響しているようである。

そんな中、五輪・パラ輪 “東京2020”が7月23日開幕した。折しもコロナ感染・第5波の爆発的増加の局面に遭遇、余儀なく「第4次 緊急事態宣言」が発令された(8/2~30)。対象都府県:東京(延長)、埼玉、千葉、神奈川、大阪(新規)。

全国的に早期収束の見通しは全く立っていない。最も期待されるワクチン接種は順調に進んでいるようには見えない。折にふれ、“withコロナ”下の市民生活の一断面を漢詩の形で追ってきて今回8作目となる。コロナ収束を綴る“打ち止め稿”を心待ちにしつつ。

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<漢詩原文および読み下し文> 
 冠状下東京2020 冠状(コロナ)下の東京2020   [上平声十一真韻]  
選手活躍感動頻, 選手の活躍 感動頻(シキリ)なり,
金牌擁擠悦更新。 金牌(キンパイ)の擁擠(ヨウサイ) 悦(ヨロコ)び更(サラ)に新なり。
但胸芥蒂君莫責, 但だ 胸に芥蒂(カイタイ)あるを 君責めること莫(ナカ)れ,
無蟠歓呼有幾人。 蟠(ワダカマリ)のない歓呼(カンコ) 幾人か有る。 
 註] 
  冠状:冠状病毒(コロナ ヴィルス)の略。 
  金牌:金メダル。          擁擠:ラッシュ、混雑。 
  芥蒂: (胸の)閊(ツカ)え、わだかまり。 蟠:石や枯葉の下で群生する虫ワラジムシ、 
   わだかまり。 

<現代語訳> 
 コロナ下での東京2020   
選手たちの活躍には、感動する場面がしきりであり、 
金メダル ラッシュには さらに喜びが新たに湧いてくる。
ただ、胸の片隅の閊えを拭い去ることができないでいるが、責めないでくれ、
何の蟠(ワダカマリ)もなく無邪気に歓呼している人は何人いるであろうか。 

<簡体字およびピンイン> 
 冠状下东京2020 Guānzhuàng xià Dōngjīng 2020  
选手活跃感动频、 Xuǎnshǒu huóyuè gǎndòng pín
金牌拥挤悦更新。 jīnpái yōngjǐ yuè gèng xīn.  
但胸芥蒂君莫责、 Dàn xiōng jièdì jūn mò zé, 
无蟠欢呼有几人。 wú pán huānhū yǒu jǐ rén.  
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’19年末から’20年初頭にかけて中国武漢市で初めて報告された新型コロナ感染症の世界的な広がりを受けて、東京2020は一年延期された、現在予定通り進行中である。但し競技は、ほとんどの会場で無観客下に進められている。

第5波の“爆発的”感染者増加が進む、その真ただ中で東京2020は進行している。この異常な状況なればこそと言うか、逆説的であるが、関係者の人間性丸出しの「五輪・パラ輪の真実の姿」が肌で感じられる形で露顕されたように思える。“真実の姿”とは:

(1)  五輪・パラ輪の理念と大会スローガン -ご都合主義-
大会を運営する団体の内部で 五輪・パラ輪の理念に反する事象が一度ならず明らかになり、その度ごとに弥縫されてきた。まだまだ一層の体質改善の努力を期待してやまない。

東京2020のスローガンは、・東日本震災復興五輪、・コロナに打ち勝った証し、・未来を生きる子供たちに夢と希望を与える、・安全安心の大会 と変幻自在。但しいずれのスローガンも重要であり、“嘘から出た真”で結構、微小なりとも成果を期待すること大である。

(2)  五輪・パラ輪と政治の関り -国または個人による政治的利用-
大会の準備~開催は、まさに“政治的配慮、活動”が要求される事業であろう。ましてや“大会のスローガン”は、まさしく“政治的主張”と言える。すなわち政治との関りを否定するものではありません。

但し五輪・パラ輪の国威発揚または個人的な政治的利用は厳に戒めるべきと考える、庶民の生活基盤の疲弊をものともせず、虚報とは思うが、例えばノーベル賞を……とか、政治的な地位を……等、巷間時折耳にした。忌まわしいことである。

(3)  集金と浪費の機構・IOC -過度の商業主義、拝金主義- 
世上、東京2020招致運動のころから、想像も着かない額のお金(オカネ、銭)が動いている風評があったが……。開催の可否、場所、時期、時間等々、あらゆる面において“お金”を判断の根底としたIOCの胸三寸で決定されている風である。実働機関の、今一歩、自主的判断があってもよいのではなかったか。

さて、漢詩の結びに“蟠(ワダカマリ)”に登場してもらった。“蟠”とは、[名詞]で、虫の一種ワラジムシ; 石や枯葉の下で群生するその生活環境から転じて、心の中にたまった不安、不満、しこり等を表す、また[動詞]で、わだかまる、とぐろをまく。

漢詩は、競技者の活躍、競技の進行に感動や喜びを覚えながらも、心の片隅で、コロナに対する不安を払拭することができないことやIOCの醜態への抗議を詠ったつもりです。なお“蟠りの種”は、各人各様、種々あると思われる。

この機会に、今後、五輪・パラ輪を 何の蟠りもなく、心の奥底からの喝采を送ることができるような姿に変革されることを 関係機関に切に望みます。
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1 コメント

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Unknown (M)
2021-08-25 07:47:43
なぜかログインできず、👍を押しても反映されない❗
パラも始まりました、一昨日?のブルーインパルスの飛行は見逃しましたが、とにかく何事もなく終わることを願います。
身近で感染者が出始めていて、オリパラよりも感染拡大が気になるのが現状ですね、、、
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