OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

〔映画〕騙し絵の牙

2023-06-16 09:48:38 | 映画

 
 2021年公開の映画です。
 
 出版業界を舞台にした “ミステリー” 作品ですが、ストーリー自体は今ひとつでした。
 
 構成しているエピソード群がどうも “作為的”過ぎてちょっとシラケた気分になります。せっかくの大泉洋さんも、ちょっと違うんですね、残念です。
 
 その他のキャスティングも食傷気味の方々が目立った印象ですが、その中では、松岡茉優さん、池田エライザさんのお二人は、(私の好きな女優さんだということも大きいのですが、)それぞれの魅力を十分に発揮していました。よかったですね。
 あと、出色だったのは塚本晋也さん。飄々とした演技は貴重でした。

 

 

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〔映画〕アラベスク

2023-06-15 08:53:25 | 映画

 
 1966年に公開されたアメリカ映画です。
 
 “サスペンス・コメディ” ですが、ストーリーもキャラクタ設定も滅茶苦茶なので「サスペンス」的な要素にリアリティが全く消え失せてしまっています。大人の “ドタバタ芝居” のようです。
 
 つまるところ、ソフィア・ローレンとグレゴリー・ペックが共演し、音楽はヘンリー・マンシーニが担当、ソフィア・ローレンの衣装デザインはクリスチャン・ディオール、ということに尽きると言いたくなるような作品です。
 とはいえ、確かにここまで並ぶと圧倒されますね。
 
 このころは、銀幕の大スターが君臨した映画の黄金期だったので、こういった出来の映画もそれなりの人気を博したのでしょう。

 

 

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おっさん社会が生きづらい (小島 慶子)

2023-06-14 11:20:17 | 本と雑誌

 

 いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に出演している小島慶子さんの著作です。

 小島さんは元TBSアナウンサー、今はフリーとして多方面で活動中ですが、その小島さんと5人の識者の方々(清田隆之さん・多賀太さん・熊谷晋一郎さん・平野啓一郎さん・上野千鶴子さん)との対談集です。

 テーマは、現世に蔓延る “おっさん性”。「男性社会の価値観」が生起させる不条理なことがらをはじめとした様々な “おっさん社会”の実態 を語り合います。
 対談中には、単なる「男性社会批判」に止まらない面白い論点やコメントも記されていたのですが、正直なところ、小島さんが提起している議論になかなかどっぷりとは没入できませんでした。ちょっと私には “速足” 過ぎたようです。
 とはいえ、その中でも比較的入りやすかったのが作家平野啓一郎さんとの対談のパートでした。

 平野さんの以前の話題作をとりあげた “カッコいい”or notの肌感覚は私でもかなりの納得感がありました。たとえば、こういったやり取りです。

(p184より引用) 平野 ・・・良い悪いは別として、今は一流企業のサラリーマンより、自分で起業するような、そのときどきの時代の変化に適応しながら生きていくようなスタイルのほうが、社会的には“カッコいい”とみなされている。正社員の安定が望まれつつも、かつてのサラリーマン のように、理不尽に耐え続けてずっとひとつの世界に居続けるようなことは、否定的に捉えている人が多いのではないでしょうか。
小島 そうですね。ただ、それが単にサラリーマンを頭から馬鹿にして、負け犬呼ばわりするような態度になってしまうと、それもまた「カッコ悪い」ですよね。傲慢な能力主義と、弱者切り捨ての自己責任論に陥りかねません。人を見下したような態度の起業家などを信奉している人たちもいますが、その信奉者の多くはむしろ切り捨てられる側かもしれないというのが、かつての小泉首相ブームにも通じる哀しいところです。

 実名を明らかにして積極的に意思表示する人は“カッコいい”、それを匿名で誹謗中傷する輩は最高に“カッコ悪い”、極論を言えばその主張内容に賛同するか否かはともかくとしてでも、私はそう思います。

 そして、もうひとつ、東京大学名誉教授上野千鶴子さんとの対談の中から。
 ちょっと以前に話題になった2019年4月東京大学学部入学式での上野さんの祝辞の一節です。

(p265より引用) 女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

(p257より引用) あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

 このメッセージはとても大切なことを伝えています。

 過去20年間にわたり歪められ続けた現在の日本社会の実相を振り返るにつけ、その大多数の人々の生活を少しでも生きやすいものにするには、ここに上野さんが示した考えや求めた若者の行動が大いなる力になるのだろうと思います。

 

 

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〔映画〕レインマン

2023-06-13 10:50:56 | 映画

 
 1988年に公開されたアメリカ映画です。
 
 “映画” らしいモチーフですね。
 いろいろと気遣うところがあって描き方は難しいと思いますが、必要以上にドラマティックなエピソードを挿入したり安易なHappy endにしたりすることなく、ロードムービーとしてうまく作り上げています。根っからの悪人キャラが登場しないのも、私の好みです。
 
 ダスティン・ホフマンとトム・クルーズという豪華キャスティングも、対照的なそれぞれの役柄にフィットしていてよかったです。

 

 

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〔映画〕スマイル、アゲイン

2023-06-12 11:54:17 | 映画

 
 2012年に公開されたアメリカ映画です。
 
 ジェラルド・バトラー主演の “ロマンティック・コメディ” という珍しい作品ですが、これは流石に誰が考えても “無理筋” でしょう。
 
 この手の作品なので、ある程度ご都合主義的なストーリーなのは致し方ないのですが、盛り込まれているエピソードがここまでバラバラだといかがなものでしょう。ラストの “唐突感” もあまりにも自己チューで意味不明ですね。
 
 正直、作品としてはラブコメの中でもかなり低ランクな出来だと思いますが、それでも、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは孤高のスマートさでしたね。

 

 

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〔映画〕リベンジャー 復讐のドレス

2023-06-11 12:00:25 | 映画

 
 2015年に制作されたオーストラリア映画です。
 
 “サスペンス・コメディ” とでもいうのでしょうか、なかなか一筋縄ではいかない作品でした。
 
 ストーリーは入り組んでいて、主人公に降りかかるエピソードは重層的ですし、登場人物も多彩なキャラクタで、かなりエッジが利いています。
 
 一度観ただけではスルーしてしまった伏線がかなりありそうで、何度か観直さないと十分に面白味を理解できないような気がする作品です。ラストの意図もわかりませんでした。
 
 それに加えて、主人公はケイト・ウィンスレット。つい観入ってしまいます。
 さすがに存在感は別格ですね。

 

 

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佐渡伝説殺人事件 (内田 康夫)

2023-06-10 11:55:44 | 本と雑誌

 かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。

 ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。

 この作品は「第5作目」です。舞台は “佐渡”
 出張では新潟市までは行ったことはありますが、佐渡島には渡ったことがありません。何らかの関わりがあるとしたら、30年以上前の職場の上司の方が佐渡のご出身だったことぐらいです。

 ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品、モチーフ自体月並みな上に、事件の解決シーンもちょっと浅見光彦らしくないですね。肝心のところを犯人に延々と語らせているのはどうにもいただけません。
 ほかにも、陽一郎の絡み方がスマートでなかったり、せっかく登場させたヒロインの存在がまったく活かされていなかったりと、シリーズとしての “お約束” が守られていないのはかなり残念です。

 極めつけは物語の舞台となった “佐渡” の扱いです。陰惨な雰囲気が先に立って島の良い印象は伝わってきません。地元の方々にとっては期待外れだったことでしょう。
 正直なところ、本作品の満足度はかなり低いと言わざるを得ませんね・・・。

 さて、取り掛かってみた“浅見光彦シリーズ制覇チャレンジ”、それほど強い意志をもって完遂しようとも思っていませんので、まあ、“どこまで続くことやら”です。

 次は「白鳥殺人事件」ですね。

 

 

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〔映画〕劇場版 ラジエーションハウス

2023-06-09 10:21:31 | 映画

 
 2022年に公開された映画です。
 
 久しぶりの「コミック」が原作の作品、プロットからキャラクタ、何から何まで典型的な “コミック” ベースの作りです。こういった “無邪気な” ストーリーは、私は大好きです。
 
 キャスティングも個性的な面々が揃っていてよかったですね。
 
 遠藤憲一さんと高橋克実さんの絡みや髙嶋政宏さんのミエミエの役どころも印象に残っていますが、とりわけ、本作の中で余人をもって代えがたい存在感を示したのが広瀬アリスさん。彼女は、こういった “天然キャラ” を演じさせると絶品です。

 

 

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〔映画〕ターミネーター3

2023-06-08 09:37:17 | 映画

 
 2003年に公開されたアメリカ映画です。
 
 アーノルド・シュワルツェネッガーの代表作のひとつですね。
 シリーズものなので、先行作品を観ている方が物語に入って行きやすいのですが、単独作品としても十分楽しめると思います。
 
 ともかく今から20年も前の制作だとは思えないほど、映像の品質は高いですね。さらには、CGに頼るのではなく、実写やスタントのシーンも結構あるようで、そのあたりの迫力もかなりのものです。
 
 ストーリーとしての深みや演出のきめ細かさは今ひとつですが、そういったところを売りにしているものではありません。ともかく豪快に迫力ある映像を満喫するのでしょう。
 
 その点では、安心して楽しめる “一級のエンターテイメント作品” だと思います。 

 

 

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〔映画〕里見八犬伝

2023-06-07 10:13:03 | 映画

 
 1983年に公開された映画です。
 
 一連の “薬師丸ひろ子” さんシリーズの中の一作です。もう40年も前の作品なんですね。
 
 モチーフの「南総里見八犬伝」は、古くはNHK人形劇「新八犬伝」でお馴染みですが、この作品の公開は、人形劇番組を幼いころ観ていた年代がちょうど高校・大学生になったぐらいのタイミングで、そういった連中にとっては結構親近感を感じたのではないでしょうか。
 
 映画としての出来については、ファンタジーという面では特撮映像は情けないぐらいに貧弱でしたが、アクションシーンは千葉真一さんを筆頭にジャパンアクションクラブのメンバが多く出演していたこともあり、結構しっかりしていました。
 
 キャスティングも、真田広之さん、寺田農さん、志穂美悦子さん、京本政樹さん、 夏木マリさん、目黒祐樹さん、萩原流行さん、岡田奈々さんと豪華でバラエティに富んでいて、今でも十分に楽しめるラインアップでしたね。

 

 

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テロリストのパラソル (藤原 伊織)

2023-06-06 10:39:47 | 本と雑誌

 

 このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、読破にチャレンジしている内田康夫さんの “浅見光彦シリーズ”に偏っているので、ちょっと息抜きとして、今まであまり読んだことのない作家の方々の作品にトライしてみようと思っています。

 手始めに、これまた今まで意識的に避けていた「有名な文学賞」を受賞した作品からあたろうと考えて本作を選んでみました。
 第114回直木賞、第41回江戸川乱歩賞をダブルで受賞した作品です。

 さて、ミステリー小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、確かによく練り込まれたストーリーという印象ですね。ただ、背景となっている “時代感” を踏まえると、それなりの年代の読者でないとしっくりこないかもしれません。

 ラスト近くの数10ページで、それまで明らかになっていなかった事柄や、超人的な推理の結果が怒涛の如くなだれ込んで大団円を迎えるのですが、このあたりの構成は好き嫌いが分かれるように思います。

 私はちょっと強引な印象を受けましたが、とはいえ、確かに有名な賞の受賞作品らしく重厚な力作でした。

 

 

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〔映画〕ターゲット

2023-06-05 11:28:38 | 映画

 
 2010年に公開されたイギリス映画です。
 
 こういった洒落た“クライム・コメディ” は、ストーリーと同じぐらいキャスティングが決め手になります。
 
 その点では、ビル・ナイとエミリー・ブラントのアサインは見事でしたね。
 ふたりともこういった小粋な役柄はとてもお似合いです。特に、エミリー・ブラントの軽快で奔放な振る舞いはとても魅力的でした。
 
 作品のジャンルとしては決して “大作” ではありませんが、こういった “小品” もエンターテイメントとしての映画の魅力ですね。

 

 

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〔映画〕ダブル -完全犯罪-

2023-06-04 09:25:42 | 映画

 
 2013年に公開されたアメリカ映画です。
 
 内容からみると “クライム・コメディ” といった感じです。
 
 最初から偽装××というのはミエミエですし、共犯者もわかりやすい典型的な “B級作品” ですね。
 
 となると、せめてキャスティングということになりますが、この点では主役のキューバ・グッディング・ジュニア、表情が豊かで、私は結構好きな俳優さんなので、まあまあ楽しめましたね。
 
 

 

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〔映画〕モーリタニアン 黒塗りの記録

2023-06-03 08:49:54 | 映画

 
 2021年に公開されたイギリス・アメリカ合作映画です。
 
 「9.11」をモチーフにした実話がベースになっています。それゆえ、扱っているテーマや事実はとても重いもので、メッセージ性を伴った映像作品としても十分に見応えがありました
 
 キャスティング面でも、主人公を演じたタハール・ラヒムをはじめとして、ジョディ・フォスター、ベネディクト・カンバーバッチらも丁寧かつ濃密な演技で見事だったと思います。
 
 “事実”の部分でいえば、ここで明らかにされた非道な扱いの存在は全く許されるものではありませんが、そういった国の犯罪を明らかにできる “法的手続き” が何とか担保されているのは大きな救いですね。
 “司法の矜持”、日本との大きな違いです。

 

 

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名画の中で働く人々 ─「仕事」で学ぶ西洋史 (中野 京子)

2023-06-02 09:17:21 | 本と雑誌

 いつも聴いているピーター・バラカンさんのpodcastの番組に著者の中野京子さんがゲスト出演していて紹介された著作です。

 内容は、中世から現代にかけての西洋絵画を材料に、そこに描かれている人物からその人の職業や当時の社会の姿を解説したものです。
 取り上げられた職業にまつわるエピソードはどれもとても興味深いものでしたが、それらの中から特に印象に残ったものをひとつ書き留めておきましょう。

 世界最古の男の仕事といわれる「傭兵」です。
 なかでも「スイス人傭兵」はその勇猛さで有名だったと言います。そういった傭兵の活躍が、今のスイスの国情を形作ったとの説です。

(p183より引用) 報酬もさることながら、当時の戦争では勝利者は敗者から 略奪し放題で、そちらのほうが実入りは大きかった。傭兵が憎まれる所以である。
 一仕事終えた傭兵がポケットを膨らませて帰郷する。さまざまな国のさまざまな貨幣を持ち帰ったはいいが、そのままでは故郷で使えない。両替商で替えてもらう。そこからスイスでは銀行業が盛んになり、今の金融国家につながったというのだから面白い。
 極貧国→傭兵→各国貨幣→銀行→先進国化→永世中立国という流れである。

 ちなみに、現在のスイスでは、外国軍への参加自体禁止されているとのことですが。

 さて、本書を読んでの感想です。

 取り上げられた “職業” は、当時ならではもの、現代にも連なるもの等々様々です。
 前述したとおり、主として中世から近世ヨーロッパを舞台に、それら多様な職業に携わる人々を、彼ら彼女らが登場する “絵画” を示しつつ解説を加えていく試みはとてもユニークでした。その人物や事物の描かれ方を歴史的背景も踏まえて細かく見ていくと、当時の時勢や生活が具体的な説得力をもって明らかになっていきます。

 こういった絵画の読み解きスタイルは著者の得意とするところのようですね。そのほかの著作もちょっと気になります。

 

 

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