久しぶりに竹内薫氏の本を手に取りました。
よくありそうな「宇宙論の入門書」ですが、竹内流の語り口に期待が高まります。
宇宙論といえば、古代より人間を取り巻く環境の構造の探究ということで、古代から興味深い変遷を経てきました。そして、近現代においてようやく、アリストテレスの自然哲学体系を脱し、コペルニクス、ガリレオ、ニュートンと続き、20世紀になってアインシュタインの一般相対性理論によるモデルに至りました。
昨今の宇宙論は、「理論」と「観測」の両輪で発展していきました。
一般相対性理論と遠方の銀河が遠ざかっているという観測事実から「宇宙は膨張している」という結論が得られるのですが、この膨張のスタート地点が「宇宙の誕生」の瞬間になります。全ての物質とエネルギーが一カ所に集まる高温度・高密度状態が原初にあり、その状態からの爆発的膨張が「ビッグバン」です。
宇宙創生の理論としては、この「ビッグバン理論」が大変有名ですが、竹内氏によると、この分野は1990年代の終わりから21世紀初めにかけて、ハッブル宇宙望遠鏡に代表される望遠鏡技術の大発展とWMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe)等の宇宙探査機から得られた膨大な観測データにより、劇的な理論面での進歩がみられたとのことです。
ちなみに、現代の「宇宙論」で分かっていることは大体こんなことのようです。
(p68より引用) 現在の宇宙はだいたい137億歳であることがわかっています。
それから、・・・宇宙が加速膨張をしていることもわかった。さらに、・・・宇宙をつくっている全エネルギーのうち、じつは96%が未知のエネルギーであることもわかりました。・・・96%の内訳をいうと、73%は「暗黒エネルギー」・・・宇宙を加速膨張させている犯人で、真空に充ちている謎のエネルギーなのです。・・・残りの23%を「暗黒物質」といいます。
わずか4%しか解明できていない・・・。
未知の「暗黒○○」はその名のとおり目で見ることはできません。重力の分布状況から推測されるのだそうです。エネルギーというだけでその実体はよく分からなくなるのですが、それに「暗黒」が付くとそれこそイメージを浮かべることすらできません。
誰しも知りたいと思う「宇宙の始まり」についても、最近の定説はこんな感じです。
(p82より引用) ビッグバンは宇宙の始まりではなく、ビッグバンの前が量子宇宙で、インフレーションの後にビッグバンがあった、というのが現在の最先端の定説なのです。
となると今度は「量子宇宙」はどうやって生まれたのかということになりますが、それは、「量子宇宙」には「時間が実在しない」、すなわち「前」という概念すらないというのです・・・。そろそろ私の頭の中でも「ビッグバン」が起こりそうです・・・。
(p186より引用) 時空というコト的な舞台の上で、超ひもとDブレーンの相互関係が素粒子というモノとして解釈される。
・・・???、この本書の最後のフレーズで止めを刺された感じがしますね。だめです、全く理解できません。もっともっと初心者向けのテキストから勉強し直します。
ざっくりわかる宇宙論 (ちくま新書) 価格:¥ 756(税込) 発売日:2012-03-05 |