本書は、既存の競争市場(レッド・オーシャン)から脱出し、ブルー・オーシャンに至るための具体的activityについても、それなりに具体的に提示しています。
たとえば、「4つのアクション」です。
(p50より引用) 買い手に提供する価値を見直して、新しい価値曲線を描くために、筆者たちは四つのアクション(the four actions framework)という手法を編み出した。・・・
- Q1:業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か
- Q2:業界標準と比べて思いきり減らすべき要素は何か
- Q3:業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か
- Q4:業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か
このアクションの根底は「差別化戦略」の具体化です。差別化を図る方法として、「バリューのメリハリ」という視点から実用レベルの思考のヒントを示しています。
ポイントは、減要素(「取り除く」と「減らす」)と増要素(「付け加える」と「増やす」)の二面的着眼です。今あるものをスタートに増減を考える方法は、いきなり全く新たなコンセプトを白地で考え出すよりもずっととっつき易い方法です。
こうやって既成サービスの特性にメリハリをつけエッジを効かせるのです。「訴求力の高いキャッチフレーズ」が浮ぶかどうかがエッジの効きの試薬となります。
なお、ここでのメリハリが後工程でも重要になります。
具体的戦略策定段階では、値付け(pricing)の検討があり、さらにそこから確保すべき利益を差し引くと「目標原価(コスト)」が出てきます。
当然、この目標水準は非常に厳しいものになりますが、この実現のためには、ブルー・オーシャン戦略のコンセプトである「取り除く」「減らす」というメリハリが物を言います。即ち、この競争要素の取捨選択により、従来のコスト高騰要因が少なくなっているということが前提となるのです。
さて、ブルー・オーシャン戦略は従来からの市場ではない市場をを目指します。
そこに至る道筋として提示されているのが「6つのパス」です。
(p72より引用) 市場の境界を引き直す方法には主として六種類のアプローチがあるとわかり、これらを六つのパス(the six paths)と呼ぶことにした。・・・
- パス1:代替産業に学ぶ
- パス2:業界内のほかの戦略グループから学ぶ
- パス3:買い手グループに目を向ける
- パス4:補完財や補完サービスを見渡す
- パス5:機能志向と感性志向を切り替える
- パス6:将来を見通す
これだけがアプローチ方法かといえばそうとは言い切れないでしょう。しかしながら、上記のそれぞれの切り口は確かに実用的だと思います。
もちろん、ここで提示された切り口は、従来のマーケティングの考え方でも指摘されていました。(たとえば、マクドナルドの競合は、最初はロッテリアでしたが、今ではコンビニ(おにぎり)になっているとか・・・)
だからといってこの切り口を否定すべきではありません。異なる視座や視点で広く事象を見渡すことの重要性は普遍だと思います。
このあたりの考え方については、このBlogでも以前、「2つの関係」・「「見る」- 考えるための「はじめの一歩」-」でも触れています。