以前読んだ「スティーブ・ジョブズⅠ」に続くジョブズ伝の後半です。
1997年1月、ジョブズがアップルに戻ってきました。
非公式・非常勤のアドバイザーという立場です。スカリー、スピンドラーに続き、当時のCEOはギル・アメリオ。彼はジョブズのファンではありませんでした。
ジョブズはアメリオを退散させます。その際にも、例のジョブズの人間性が顔を出します。
(p50より引用) 「彼はそれが自分の利益になるからうそをつくのではなく、そういう人間だからうそをつくのだ」という、ヘルムート・ゾンネンフェルトがヘンリー・キッシンジャーについて語った有名な言葉がある。ジョブズの場合も、そういう人間だから、そのほうがいいと思えば、思い違いをするようにしむけたりいろいろ隠したりする。だが、逆に残酷なほど正直になり、ふつうならオブラートにくるんだり言わずにおいたりする真実を突きつける。うそをつくのも真実を語るのも、通常のルールは自分に適用されないというニーチェ的な姿勢から派生しているものなのだ。
ジョブズのアップル建て直しのポイントは「製品」でした。そしてまた、アップルという「ブランド」の再構築でもありました。
「シンク・ディファレント」。新たなプロモーションのキャッチコピーです。その心は、こういった印象的なメッセージとともに拡散されました。
(p75より引用) クレージーな人たちがいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。四角い穴に丸い杭を打ち込むように、物事をまるで違う目で見る人たち。彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。・・・しかし、彼らを無視することは誰にもできない。なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。彼らはクレージーだと言われるが、私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから。
アップルのブランド力は強烈です。私自身の経験でもありますが、10数年前、PCがwindows版に塗り込められているころ、やはりMacユーザには強いこだわりと独特のポリシーを感じましたね。
(p79より引用) ジョブズは、「どのコンピュータを選ぶか」という行為だけで、ユーザーが自らを反企業的でクリエイティブ、イノベーティブな反逆者だとみなし、主張できるようなブランドを作ったのだ。
まさにこれは「ライフスタイルブランド」とも言うべきものです。
このブランドは「製品」のデザインという媒体で顧客に具現化されます。ジョブズはデザインにこだわり抜きました。このデザインに関するジョブズのパートナーはジョニー・アイブ。彼のデザインスタジオは、ジョブズにとっては、デザイン作り以上の意味がありました。
ジョニーの言葉です。
(p99より引用) ここなら・・・アップルが検討中の製品すべてが見わたせます。そうやってスティーブは、会社がどこにエネルギーを集中しているのか、また、どことどこがどうつながっているのかを把握するのです。そして、「あっちが伸びている状態でこっちをやる意味はあるのかい?」などと聞くわけです。彼はいろいろなものを関係性で把握するのですが、会社が大きくなるとそうするのはとても難しくなります。ここのテーブルにモデルを並べて一覧することで、スティーブは3年先の未来を見るのです。
「集中」「知り捨て」「シンプル」・・・、ジョブズは、俯瞰的な視点から極めて明確な方向性を示していきました。
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