OMOI-KOMI - 我流の作法 -

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ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法 (ちきりん)

2021-02-28 10:41:11 | 本と雑誌

 ネットの世界では超有名な「ちきりん」さんの著作です。タイトルに惹かれて手に取ってみました。

 ちきりんさんのBlogで発信した記事に手を入れて再録したものとのこと、“ちきりんさん流の「生き方」” が生活のさまざまな場面を捉えて紹介されています。

 その「生き方」とはこういったものです。

(p8より引用) 今までの決まりごとに捕らわれず、自分の「好き」「楽しい」「ラク」を優先する ― それはつまり「自分基準」で生きるということです。

 この「ちきりんさん基準」の考え方のススメは、最初の項目でストレートに開陳されています。

(p18より引用) 
・目標は低く持ちましょう!
 ちきりんは高すぎる目標を持たないようにいつも気をつけています。今までの人生において、達成が不可能に思えるような高い目標を掲げたことはありません。それどころか「達成が困難そうなこと」や「多大な努力が必要と思えること」も目標にはしてきませんでした。そんな高いところを目指すより、少し手を伸ばせば届く範囲のことで人生を楽しめばいいと思っているからです。

(p23より引用) 
・人生は早めに諦めよう!
 私は、日本人は他の国の人より全体的に「諦めるのが遅いのではないか?」と感じています。そしてそれが不幸の元だと思っています。多くの人は、もっと早めにいろいろ諦めたほうが楽に生きられるはずです。

 この手のアドバイス、意外性のインパクトは強烈ですが、受け取る人のパーソナリティによって効き目は大きく違ってきますね。

 「高い目標を掲げて、それに向かって日々努力し、その目標を達成してよりHappyになる」人も間違いなく存在するでしょう。とはいえ、「結果的に努力が報われない人」が少なからずいることも厳然たる事実です。そして、それで「悔いなしと思う人」もいれば、「後悔する人」もいるでしょう。人それぞれ、結果がどちらになるか、これはやってみないと分かりません。

 分かるまでやり続けるのか、その前に考え直すのか、いずれにしても、大切なのは、「自分で考え、自分で判断する」ということです。

 

 

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〔映画〕相棒-劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断

2021-02-28 10:23:11 | 映画

 
 結局「 劇場版IV 」まで観てしまいました。そろそろ流石に終わりにしましょう。
 
 何が私に合わないのか、あれこれ考えてみたのですが、主人公のキャラクタ設定が好みではない(水谷豊さんに問題があるという意味ではありません)のが大きな要因なのは事実でしょう。また、警察機構やその内部の幹部職員の扱い方があまりにも現実離れしているというところもあると思います。
 
 が、決定的なのはプロットとストーリーですね。一瞬にして分かる犯人、無意味な和み的場面、さらには、物語としてけりがついたあとの蛇足的なメッセージシーン。もっと、素直なサプライズで終われないのでしょうか。

 

 

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〔映画〕コン・エアー

2021-02-27 10:22:08 | 映画

 
 観るのは2回目です。
 
 無理筋のプロットとストーリーですが、それでも最後は Happy End なので “よし” としましょう。
 
 今から25年ぐらい前の作品なので、ニコラス・ケイジもジョン・キューザックも若々しいですね。
 あと、驚きなのが、映像づくりにあまりCGが使われていないことです。本物の飛行機を使っての実写というのは、今では到底あり得ないですね。

 

 

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〔映画〕相棒-劇場版III- 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ

2021-02-26 08:51:10 | 映画

 

 少しはマシになるかと思いつつ、裏切られ続けているシリーズです。

 この作品もまたプロットからして入り込めないですね。
 特に、ラスト近くの “国防議論のやりとり” になると、それこそ興覚めです。もちろんテーマとして重要ではないとは言いませんが、映画で扱うのなら「台詞」ではなく「映像作品」としてメッセージを発して欲しいです。

 これで劇場版は3作観ましたが、まだこのシリーズの人気の秘密がわかりません・・・。

 

 

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日本問答 (田中 優子・松岡 正剛)

2021-02-25 13:53:37 | 本と雑誌

 変わったタイトルだったので目に付きました。
 松岡正剛さんも著者のひとりということで挑戦することにしました。対談の相方は社会学者(法政大学総長)田中優子さんです。

 まさにお二人ならではのとても面白そうなテーマの対談だったのですが、私にとっては荷が重すぎました。持っている基本的な知的素養の量と質があまりにも違い過ぎるので、予想どおりお二人の論理の道程や発想の跳躍には全くついていくことはできませんでした。が、それでも気になったところを覚えとして少々書き留めておきます。

 まず、第一章「折りたたむ日本」の中での田中さんが指摘する「鎖国時代」の位置づけについて。

(p13より引用) 徳川時代は鎖国で閉じていたというのはまちがいで、じつは内のなかに外を入れ込み、内を広げようとしていた時代です。浮世絵もまさにそういうなかで生まれた。だからこそ浮世絵の珍しさが西洋にまで広がった。グローバル化とは、江戸時代にあっては、世界をいったん呑み込んで自らの変化によって世界に対応することでした。

 これに関連して、第四章「日本の治め方」の中で、田中さんは江戸時代には「鎖国」という概念自体なかったと述べています。

(p151より引用) 田中 そもそも「鎖国」という言葉、つまり概念じたいが江戸時代にはなかったと考えています。法律用語としても存在していません。一六三三年に奉書船以外の日本船の渡航と帰国が禁じられますが、長崎にのみ発布された。しかもその年にはオランダ商館長の江戸参府がはじまり、幕府巡察使に対するアイヌのウイマム(御目見得)もはじまりますから、渡航禁止令は同時 に新しい外交の幕開けでもあったんです。

 この章ではもうひとつ。“日本らしい「治め方」”に関して、松岡さんとのやり取りの中で田中さんが面白い指摘をしています。

(p158より引用) 松岡 西郷隆盛などはそういうことがよくわかっていて、かなり大きな日本的混乱のリスクを呑み込んで治めたんじゃないかと思う。西南戦争に巻き込まれたときだって、大久保利通とのあいだで「オレはお前に討たれてやる。その代わりお前は日本に治まりをつけろ」といった気持ちがあったんじゃないか。敵どうしになっても、そういう超越的な「和」を互いに交わしていたんじゃないかと思います。
 それにしても、主語がはっきりしない、主体もはっきりしないのになぜそれで治まるのか、それで「和する」ことになるのか。権威も責任もはっきりしないと、ふつうならアナーキーで無秩序になってしまいそうなのに、なぜそうならずに済むのか。 
田中 アナーキーなほうが治まるんです。・・・『勧進帳』がそうですね。関守の富樫は弁慶が義経を隠していると知っていながら、追及するふりをして逃す。本当はこれ、まったく治まっていないのだけれど、誰もが納得しまう。秩序のなかに収拾するのではなく、その外にアナーキーに逃して治まるわけです。

 そしてもうひとつ、第三章「面影の手法」の中での「江戸時代の教育」に関する田中さんと松岡さんのやり取り。

(p106より引用) 田中 ・・・江戸時代の教育というのは、人間関係を成立させるための礼儀を身につけさせることだった。
 松岡 社会の礼儀や世すぎや身すぎがストレートに教育になっていた。でもそれを道徳とはとらえていなかった。

 寺子屋とか丁稚奉公とかの位置づけの説明ですが、ここでの教育内容は「道徳」のような精神教育ではなく、実用的な「コミュニケーション能力」だったというのです。これも私にとっては、新たな気づきでした。

 さて、本書を読み通しての感想ですが、特に私の興味を惹いたのは、第八章「日本の来し方・行く末」の中でお二方の生い立ちを語りあったくだりでした。
 お二人とも私よりひとつふたつ上の世代なのですが、その若かりし頃の世情感は何となく肌感覚で理解できて、お二人の問題意識の原点らしき一端にほんの僅かですが触れたような感じがしました。

 

 

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〔映画〕クレイジー・ハート

2021-02-25 13:42:11 | 映画

 
 いい作品だと思いますが、もう少し濃密な作りかなと思っていました。
 
 ストーリーは素直で結構あっさりしています。アルコール依存症の主人公というのもアメリカ映画ではよくあるプロットですし、ラストシーンも何だかかなり唐突感がありますね。
 
 登場人物も、思っていたより “クセ” がなく少々拍子抜けでした。 アカデミー賞受賞作としては正直物足りなさを感じますね。

 

 

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〔映画〕グッバイ・クリストファー・ロビン

2021-02-24 08:01:25 | 映画

 
 「くまのプーさん」誕生にまつわる物語です。

 プロットはなかなか面白いのですが、映画としては、残念ながら「私には」あまり響きませんでした。

 マーゴット・ロビーは役どころにマッチしていましたね、良かったです。ただ、クリストファー・ロビンの描き方がどうにも馴染めませんでした。年齢が上がって、見え方にギャップを感じた影響があるかもしれません。
 
 ニュートラルな評価では、作品の出来は上位の水準でしょう。たまたま私の好みとは少々ズレがあったということですね。

 

 

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〔映画〕相棒-劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜

2021-02-23 10:56:19 | 映画

 
 先日、劇場版第一作目を観て、今ひとつピンとこなかったので、さて次作は?という興味からトライしました。
 
 人気シリーズということで、興行的には大ヒットだったようですが、やはりこの作品も私には全然合いませんでした。
 
 あまりにも荒唐無稽なプロットとストーリーですね。
 別にリアリティのある作品を求めているわけではありませんが、警察や検察を舞台にするのなら、ここまで外してしまうのはどうでしょう? ひとかけらの現実感もないと、私は作品の世界に入ることができません。

 

 

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上を向いて歩こう (佐藤 剛)

2021-02-22 13:29:40 | 本と雑誌

 いつも聞いているpodcastの番組に著者の佐藤剛さんが登場したとき話題になった本なので、気になって手に取ってみました。
 坂本九さんの代表曲「上を向いて歩こう」をテーマにしたノンフィクションです。

 確かにとても興味深いエピソードが盛りだくさんの内容ですが、その中から私の印象に残ったものをいくつか書き留めておきます。

 まずは、「上を向いて歩こう」を大ヒットさせた坂本九さんについて。
 著者は、この全世界的ヒットにおける坂本九さんの功績が正当な評価を得ていないと考えていました。

(p136より引用) 日本語という決定的なハンデがありながらも、「SUKIYAKI」がアメリカで熱狂的に受け入れられたのは、歌っている坂本九の歌声を、アメリカの若者たちが「キュート」だと感じたからだった。・・・
 そうした歌声の持つ、俗に言う「つかみ」があって、その次に、中村八大のメロディーも「キュート」だと認められたのである。
 そこからさらに、楽曲そのものに込められた人種や国境を越えて訴える何ものか、サムシング・エルスまでもが伝わったのだ。そうでなかったら、英語以外の楽曲が、全くのノン・プロモーションで、全米ナンバーワンの大ヒットを記録するなどということは、起こり得るはずがない。

 そして、海外の高評価に対する日本での低評価の要因を、怒りにも似た気持ちでこう指摘しています。

(p141より引用) 日本ではわかったような物言いの、実際は何ひとつわかっていなかった良識派の大人たちが、事実とも真実ともかけ離れた、間違いだらけの解説を披瀝して、社会的な空気をミスリードしていった。・・・芸能に対する蔑みや妬みに根ざした優越意識が頭をもたげて、素直に真実に触れることができなかったのだ。もちろん文化人だけではなく、大手マスコミも、経済人も、学者も、誰もがその価値に理解を示すことはなかった。
 こうして、ひとつの楽曲と一人の歌手の為した音楽史に残る偉業は、当時は全くといっていいほど、正確には伝えられなかった。そのことが尾を引いて、現在に至っているのであった。

 もうひとつ、中村八大さんの「作曲家としての自由で伸びやかな思考」を紹介しているくだり。

(p240より引用) 「今生きている証としての今のメロディ、今のリズム、今のサウンド」を、常に追い求め続けた。・・・
 このような考え方の作曲家が、ひとりの歌手のために歌を書き下ろすにあたっては、表現者としての歌手から、「歌う力」をいかに引き出すかにボイントを置くのは当然であった。中村八大は歌の巧拙や技術の優劣よりも、歌手の持っている「歌う力」と、新しい時代の息吹を吹き込む感性に期待をしたのだ。

 さらに、作詞家永六輔さんとの関わりのシーン。

(p246より引用) 十九歳の坂本九は鎮魂の歌を、こともあろうに満面の笑みを浮かべ、ロックンロールのビートで歌ったのだ。さらには、持ち前のキャラクターである九ちゃんスマイルと、あの革命的な歌唱法によって、哀歌(エレジー)を見事なまでに希望の歌へと昇華させてしまった。・・・リサイタルで初めて歌われた後で、永六輔は驚きと怒りを心の中に秘めながら、めったに露わにしたことのない異議申し立てを中村八大に対して行っている。
「もっと歌のうまい人に歌ってほしい」と。
「日本語を大切に歌ってほしい」と。
 だが中村八大は「あれでいいんだ」、「あれがいいんだ」と、永六輔の意見には全く取り合わなかったという。

 “独特の世界観”を持つ作曲家・作詞家と歌手としては“未知の可能性”をもっていた坂本九さんとの出会いは、日本歌謡史上における僥倖のひとつでしょう。

 その後「上を向いて歩こう」は、奇跡ともいうべき人のつながりにより、フランス、イギリスでのレコード発売を経てアメリカでの全米ヒットチャートで1位、空前絶後の大ヒット達成という道を辿ることとなりました。

 その一部始終を描き出したこの著作、戦後の日本音楽界黎明期のドキュメンタリーとしてもとても意義深いものだと思います。

 

 

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〔映画〕サラマンダー

2021-02-22 11:43:29 | 映画

 
 プロットやストーリーの出来か言えば、完全に「B級SF映画」の部類だと思います。
 
 とはいえ、キャスティングを眺めると、クリスチャン・ベール、マシュー・マコノヒー、ジェラルド・バトラーと結構ビッグネームが並んでいます。さらにヒロインのイザベラ・スコルプコも元ボンドガールとのことなのでちょっと驚きです。

 サラマンダー(龍)の造型や映像はしっかりしていましたから、B級の中では上位クラスの出来だと思います。単純なエンターテインメントとして楽しむことはできましたから。

 

 

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〔映画〕相棒-劇場版- 絶対絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン

2021-02-21 12:47:56 | 映画

 
 テレビの人気シリーズの映画化ですが、映画になっても「劇場版」として何本も作られているんですね。

 この作品が第一作目ですが、ストーリーは何といえばいいか、こんな感じなんでしょうかねぇ・・・。
 無駄な枝葉が多すぎて、つくりもかなり“乱暴”ですし、キャスティングも新鮮さがなく重苦しい印象です。大物俳優のみなさんも、せっかくの存在感が活きていません。

 とはいえ絶大な人気を博しているシリーズなので、次作もどんな出来なのか、ちょっと観てみましょう。

 

 

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〔映画〕崖っぷちの男

2021-02-20 11:11:50 | 映画

 
 タイトルも酷いですね、いわゆる「B級サスペンス映画」です。
 それだけにエンターテインメントに徹した面白い作品だと思います
 
 ストーリーもプロットもハチャメチャですが、無意味な過激なシーンもなく、素直に楽しめました。エリザベス・バンクスがいいキャラクタを演じていましたし、ラストの軽めの “サプライズ” も良かったですね。
 
 この手の作品には珍しく、完全なHappy End です。

 

 

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Panasonic 1斤タイプ ホームベーカリー SD-BH103

2021-02-20 10:54:25 | 買い物

 何年も使っていなかった「ホームベーカリー」を久しぶりに出してきました。

 Panasonic 1斤タイプ ホームベーカリー SD-BH103

 使用履歴は、数年前2回ほど “ケーキ”を焼いただけです。

 今回は、オーソドックスに「食パン」にトライ。
 「普通の粉」「全粒粉」と2種類焼いてみましたが、十分美味しく頂ける出来栄えで正直なところ驚きました。これならリピートはありですね。

 (当たり前ですが)タイマー予約でも時間どおりに出来上がりましたし、時計記憶用のボタン電池は機能していなくても、電源コードを入れてその都度時刻合わせをすれば問題ありませんでした。(長期間使用していなかったので、ボタン電池はもう消耗し切っていました)

 また、最初は、粉やドライイーストの分量を0.1g単位で正確にレシピどおりに測って焼いてみたのですが、2回目はそこまで神経質に準備しませんでした。それでも、焼き上がりは私のような素人には全く区別できない出来でした。

 このあたり、もちろん「分量」は大事なのでしょうが、その時の気温とかミルクの種類とか選んだコースとかによるブレもあるのだと思いました。細かな気遣いが不要だとすると “気軽に” 使ってみようという気分になりますね。

 ホームベーカリー自体(Panasonic SD-BH103)はすでに生産終了機種ですが、我が家の用途には十分の機能です。
 これからもそこそこ出番はありそうです。

 

 

 

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陰謀の日本中世史 (呉座 勇一)

2021-02-19 10:47:00 | 本と雑誌

 以前読んだ出口治明さんの本で紹介されていたので手に取ってみました。

 なかなか“刺激的なタイトル”ですが、単に「陰謀論」を紹介しているのではなく、実しやかに語られる陰謀論を論理立てて論破していく内容です。

 論破の対象は“史実(と主張されるもの)”ですから、論破の根拠は現存している「文献史料」が主になります。その記述の正否も含めどう解釈するかがひとつのポイントになります。
 たとえばの例です。

(p81より引用) 鎌倉後期に成立した歴史書『吾妻鏡』は、北条氏による政権掌握を正当化する側面を持つ。よって傲慢な義経を非難するだけでなく、勲功ある弟を死に追いやった酷薄な頼朝に対しても批判的であり、この兄弟の確執が後の源氏将軍断絶につながった(頼朝の子孫が絶えたのは頼朝の自業自得)という理解をとっている。こうした『吾妻鏡』の主張を支えるため、「頼朝による義経謀殺未遂事件」という頼朝の冷酷さを強調する挿話が生み出されたと考えられる。

 「吾妻鏡」のような半ば公権的な文献を扱うにあたっては、史書編纂者の解釈や記述にもバイアスがかかりうることを留意すべきと著者は指摘しています。古くは「日本書紀」に始まるように、まさに「歴史は“勝者の歴史”」ということですね。

 また、歴史研究においては、こういった傾向もあるようです。

(p41より引用) 私は常々「歴史研究者は、研究対象に似てくる」と感じている。中世の公家を研究する者は、彼らの価値観、思考様式を深く理解しなくてはならない。そうやって長年彼らに寄り添っていると、ものの考え方が知らず知らずのうちに彼らと似てきてしまう。当時の公家が「非常識であり得ない」と思うことは、その研究者にとっても「非常識であり得ない」ことになってしまうのである。

 その他にも、陰謀論を掲げる研究者にみられる立論の傾向としては、「結果から逆算した陰謀論」「加害者と被害者の立場の逆転(主体と客体の逆転)」等、著者は様々なバイアスの存在を指摘しています。

 さて、本書では中世以降の戦乱に纏わる様々な「陰謀論」を議論の俎上に載せていますが、その中で印象に残ったもののひとつが「日野富子、応仁の乱元凶説」の真偽です。

(p198より引用) 「応仁記」は義視と仲が良かった日野富子と山名宗全に濡れ衣を着せた。富子と宗全は義視を排除するための謀議を行っていたことにされたのだ。・・・ 富子は明応の政変で足利義植を将軍から追い落とし、畠山政長が戦死するきっかけを作ったため、義稙と尚順の恨みを買っていた。しかも富子は明応五年(一四九六)に亡くなっており、親族も既にこの世にいなかった。富子は、義視排除を企てた悪女として応仁の乱の全責任を押しつけるにはうってつけの存在だったのである。足利義植―畠山尚順と細川高国は、富子をスケープゴートにすることで、和解を実現したのである。

 事程左様に、実際の「史実の真偽」は、まだまだ解明し切れていないものが多々あるようです。
 司馬遼太郎の作品群のように世間大衆に流布しているものであっても、そこで描かれている歴史上のエピソードは、いくつもある諸説のひとつに準拠して書かれているに過ぎません。

(p304より引用) 景勝が徳川家康の上洛要請に応じなかったのは、家康を挑発して奥羽に誘い出し、その隙に石田三成らが上方で挙兵するという計画があったから、という説がある。司馬遼太郎の『関ヶ原』もこの見解を採っている。・・・
 しかしながら、六月二十日付け兼続宛て三成書状は軍記類にしか見えず、偽文書と考えられる。・・・
 直江兼続が意図的に徳川家康を挑発し、家康を奥羽におびき出す。その隙に石田三成が挙兵する。だが、それこそが家康の思う壺であり、三成・兼続は家康の掌で踊らされた――こういう虚々実々の謀略戦はフィクションとしては面白いが、現実の歴史とは異なる。

 小説は小説。著名な歴史小説に書かれているからといって、その説が「真」であるか否かは全く別物です。
 書かれている目的が「学術的な研究成果の開陳」ではないわけですから当然ではありますが、小説の読み手からすると、そのあたりの受け止め方が悩ましくなります。そういった背景を踏まえつつ物語を楽しむ姿勢が肝要でしょう。

 

 

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〔映画〕ある女流作家の罪と罰

2021-02-19 09:51:16 | 映画

 
 映画らしい映画かもしれません。原作の勝利でしょう。
 
 私としては好みのテイストではありませんが、ニュートラルにみて “よくできた作品” だと思います。
 
 主役のメリッサ・マッカーシーは、主人公の人柄をとてもうまく表現していましたし、相手役のリチャード・E・グラントも絶妙の演技でした。
 ラストシーンは余計かなと感じましたが、彼女の性格を思うとああいった後日譚もありですね。

 

 

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