OMOI-KOMI - 我流の作法 -

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暗約領域 新宿鮫XI (大沢 在昌)

2020-03-31 21:16:37 | 本と雑誌

 最近は「ハードボイルド」という単語は耳にしなくなりましたね。
 私もかなり以前になりますが、大藪春彦さん北方謙三さんらの作品を読み漁ったころもありました。
 その後、かなりの期間を経て手に取ったのが大沢在昌氏の「新宿鮫シリーズ」でした。本書は、そのシリーズとしては久しぶりの出版です。 

 実は、私はこのシリーズは結構気に入っていて、今までもすべて読んでいるのですが、正直なところ回を追うごとに(失礼な言い様ではありますが、)急激に魅力が失せていきますね。 

 この作品についていえば、ひとつの事件をあれこれと弄り回している描写が延々と続いて、読み続けるにもかなりの忍耐が必要でした。で、それをカバーする意味でも“何か光るキャラクタ”をもった人物が登場するのであれば、それがスパイスになるのですが、今回はそれもないので・・・。 

 以前は、個性的な脇役との絡みで、主人公の多面的な人物像が魅力的に描写されていましたし、ストーリーももっとスピード感があってダイナミックな印象だったと記憶しているので、今回の作品は、私にとってはとても残念なものになりました。 

 

 

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〔映画〕ブラックパンサー

2020-03-29 19:40:43 | 映画

 

 思ったよりはしっかりとした出来栄えだったと思います。

 スーパーヒーローのキャラクタもストーリー展開もかなりイマイチ感いっぱいでしたが、VFX映像はとてもきれいでした。
 それもそのはず、制作はマーベル・スタジオで、アカデミー賞でも美術賞・衣装デザイン賞等を受賞しているんですね。

 

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〔映画〕インデペンデンス・デイ:リサージェンス

2020-03-28 20:04:59 | 映画

 

 「続編」ですから、やはり予想どおりの“残念パターン”ですね。

 エイリアンも飛行船が巨大なだけで、戦闘能力はとても平凡。
 ラストもこの手の侵略物でお決まりの「弱点一点集中型」です。

 このままではちょっと納得できないので、改めて「第1作」を見直さなくては。

 

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〔映画〕否定と肯定

2020-03-24 23:14:28 | 映画

 

 テーマがテーマだけに、おおまかなエンディングの方向は明らかでしたから、関心は、どういう筋書きでラストにまで持っていくかというところにありました。

 その点では、ラスト近くの「どんでん返しの予感」も論理的かつ抑制の効いたもので、しっかりとした芯の通った作品だったと思います。
 登場人物のプロットやキャスティングも的確で、観終わっても “しっくり”した印象が残ります。

 

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〔映画〕クローサー

2020-03-23 20:42:57 | 映画

 

 出演している役者さんは素晴らしいのですが、こういった複雑にもつれた成り行きには頭の方がついていかなかったです。

 さらに言えば、落ち着いて振り返ってみると、ある意味「単純」なストーリーなのに気づいて、なおさら情けなくなりました。
 いずれにしても、私には合わない作品でした。

 

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Dyson V7 Car+Boat

2020-03-22 12:30:36 | 買い物

 車の社内を掃除しようとすると、庭に向かった窓寄りにギリギリまで車を移動させて、掃除機のコードを引っ張って、狭いスペース内で掃除機本体を取り回しながら・・・、ととても面倒でした。


 とういうことで、ハンディークリーナーを物色していたのですが、数千円クラスの充電タイプだと、吸引力はもとより、作動時間の短さ・充電時間の長さが気になって仕方がありません。


 で、たどり着いたのが Dyson V7 car + boat Handy Cleaner です。


 車内清掃に便利なパーツがセットになっているので、こちらのニーズにはピッタリで、あとは「価格」。
 正直なところ、限定的な使い方をする道具としては“ちょっと高め”なのですが、家の中の細々しいところの掃除にも使えるだろうということで思い切って購入しました。


 まだ、車の清掃で一度使っただけですが、第一印象はGoodです。やはり、ある程度の余裕をもったものの方が、結局はしっかりと仕事をこなしてくれるので、結果的には正解ということですね。

 

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〔映画〕エントラップメント

2020-03-21 21:35:11 | 映画

 

 大物スター二人が登場している「B級」作品です。
 こういう作品を見ると、とてももったいない気持ちになります。

 ただ、改めて考えてみるに、ショーン・コネリーの「007シリーズ」も、ストーリーや映像の出来栄えで言えば(別に悪い意味ではなく)典型的な「B級」作品ですよね。

 

 

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〔映画〕トラフィック

2020-03-20 20:29:18 | 映画

 

 ひと昔前のアメリカならではのテーマの映画です。

 3つのストーリーが並行して進んでいきます。特に交錯するわけでもないので、並行させている意図が「?」です。

 判事のスピーチでの言葉の意味は何だったのか?  
 それぞれのストーリーのラストも余韻を残さない安直な“尻切れトンボ ”で、私にはとても中途半端な印象だけが残りました。 

 

 

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〔映画〕コーヒーが冷めないうちに

2020-03-19 20:50:20 | 映画

 
 プロットの巧妙さで 9割方成功が約束されたように感じる作品です。
 キャストは、「NHK朝の連続テレビ小説」<wbr />の同窓会のような面々で、それはそれで楽しめるかもしれません。

 オムニバス的な構成で、<wbr />そのエピソードごとにキャスティングが吟味されたのでしょうが、<wbr />私としては、<wbr />吉田羊さんのキャラクタがとても効いていたように思いました。

 

 

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〔映画〕オール・ザ・キングスメン

2020-03-18 20:54:51 | 映画

 

 リメイク作品とのことですが、いかにもアメリカ映画然としていて見ごたえのある作品でした。

 主役のショーン・ペンの演技も素晴らしかったですね。演説のシーンはパワーが爆裂していました。

 あと、印象に残ったのは、秘書役のパトリシア・クラークソンです。
 Wikipediaによると、当初はメリル・ストリープが演じる予定だったとのこと。そちらも見てみたかったですが、ちょっと“大物過ぎる”かもしれませんね。

 

 

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〔映画〕蜘蛛巣城

2020-03-17 20:55:55 | 映画

 

 黒澤明監督作品です。

 監督の演出手腕によるところも大きいのだとは思いますが、確かに「三船敏郎」さんの迫力・存在感は大変なものがあります。

 蜘蛛巣城のセットをはじめとして、撮影にあたってはエピソード満載だったようですね。
 ラストの鷲津武時(三船敏郎)が無数の矢を射かけられる緊迫シーンは圧巻です。

 

 

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〔映画〕阿弥陀堂だより

2020-03-16 21:22:01 | 映画

 

 とてもいい映画でした。
 寺尾聰さんは、問題なく「はまり役」ですが、やはりこの作品の重心として秀逸だったのは、北林谷栄さんですね。素晴らしい。
 樋口可南子さんも素晴らしいかったですが、この役はいろいろな女優さんで見比べてみたい気がしました。

 

 

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人間の経済 (宇沢 弘文)

2020-03-15 13:30:12 | 本と雑誌

 学生時代からずっと気にはなりつつも、恥ずかしながら、宇沢弘文教授の著作を読むのはこの歳になって初めてだと思います。 

 テーマは「社会的共通資本」。 

 読んでみての印象ですが、理論や論考で塗り固められているような内容を予想していたのですが、大いに(いい意味で)裏切られました。宇沢教授の自伝的なテイストも漂う内容で、それを辿っていくだけでもとても興味深いものでした。 

 そういった宇沢教授の人柄が偲ばれるようなくだりをいくつか書き留めておきます。 

 まずは、宇沢教授がシカゴ大学時代、ヴェトナム戦争反対の学生運動収拾に関わったときのエピソードです。
 宇沢教授が学生に提示した調停案を前に、大学当局の代表リーヴィ教授と相対した場面です。 

(p44より引用) 「学生の成績をつけることは、シカゴ大学教授としての雇用契約の重要な法的拘束力をもつ要件である。あなたは今、それを破ろうとしている」 
  つまり、お前はクビになる、ということです。私は打ちのめされて、しばらく何も発 言できませんでした。・・・満場水を打ったような静寂を破ってリーヴィ教授が続けました。 
「だが、あなたの良心にかけての行動は、教授雇用契約の法的拘束力に優先する」 
  私はリーヴィ教授の言葉に感動し、大学教授は社会的共通資本としての大学を守るという重い責務を背負っているのだと強く感じました。 

 こういう大学の姿勢・リーダの存在は見事であり、とても頼もしく感じますね。 

 また、宇沢教授は“リベラル・アーツ”としての「教育」にも大きな関心を抱き、自らの信条としても“リベラリズム” を重視されていました。教授は、この“リベラリズム”を体現した先人として「福沢諭吉」をあげ、そこから「アダム・スミス」に思いをはせています。 

(p92より引用)「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という人間に対する考え方、はじめての異郷の地でもまったくゆるがない信念を思うにつけても、私は、人間性の社会的本質を明らかにしようとしたアダム・スミスの『道徳感情論』を思い起こし、そこに経済学の原点をみる思いがします。『道徳感情論』をもとにして書かれた『国富論』のなかで、アダム・スミスは論理的整合性のみを基準として設計された経済制度は、必然的に、多様で個性的な人間のもつ基本的性向と矛盾することを、繰りかえし強調していました。 

 アダム・スミスといえば、“人々が利己的に行動することこそが、市場を通じて公益の増大にもつながる”という「レッセフェール(自由放任主義)」説いた人物だと短絡的に理解していた私にとって、この宇沢教授の指摘は“目から鱗”のショックがありました。 

 もうひとつ、「大学の変容」について。 
 1980年代、宇沢教授が東京大学経済学部長だったころ、官主導による大学改革の動きが東大にも及んで来ました。 

(p112より引用) とりわけ無念だったのは、アメリカにはじまる市場原理主義の流れが押し寄せてからの変わりようです。学生たちは人間が本来持つべき理性、知性、そして感性まで失い、人生最大の目的はひたすら儲けることだという、まさに餓鬼道に堕ちてしまったのです。その頃から、工学部の学生たちが競って金融機関に就職を希望しはじめたのを見て、向坊さんは心底突いてこう言われました。 
 「工学はもともと、すべての人々が豊かな文化的香りの高い生活を営むことができるように、自然も社会も安定的に持続的に維持できるような社会的インフラストラクチャーをつくるのが目的ではないか。その工学を勉強した学生たちが、ただひたすら金儲けを求めて自分の人生を送ろうとすることほど悲しいことはない……」 

 この向坊学長の感慨に対し、さらに追い打ちをかけるように、こうエピソードは続きます。 

(p112より引用) しかし、経済学部の同僚の教授は私にこういったのです。 
「私のゼミの学生はその多くが大銀行に就職する。それは大銀行に入れば定年になってからも二次的な就職が可能で、生涯所得を最大にすることができるからだ。経済学の基本をちゃんと理解している彼らは、じつに賢明だ」 

 大学の変容に抗すべき「教師」までもがこういった考え方に染まっている・・・。学生が、というのも“むべなるかな”です。 
 しかし、まさに今振り返ってみると、その学生たちは本当に“賢明だった”といえるでしょうか・・・?

 

 

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バビロン行きの夜行列車 (レイ・ブラッドベリ)

2020-03-14 19:49:40 | 本と雑誌

 短編集としては高い評価を得ているとのことだったので、かなり以前から気になっていた本です。

 収録されている作品数は21。著者の得意なジャンルは「SF」のようなのですが、そういわれると、多彩なプロットでバラエティに富んでいるどの作品もちょっと“ファンタジック(幻想的)”な香りがします。 

 さて、読み終わって、私が気に入った作品はというと、「覚えてるかい? おれのこと」ですかね。二人の男がそれぞれに抱いた“気持ちの澱みや揺れ”に、リアリティを感じました。こういう感覚ってありそうだね、という共感です。 

 その他は・・・、短編ならではのエンディングの工夫は感じるものの、ベースになる気質が違うのでしょうかどうも波長がまったく合わなかったですね。 

 

 

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永続敗戦論 戦後日本の核心 (白井 聡)

2020-03-13 21:13:15 | 本と雑誌

 時々聞いている茂木健一郎さんがホスト役のポッドキャストの番組に著者の白井さんが出演されていて、その論旨がちょっと気になったので手に取ってみた本です。 

 まず書き留めておくのは、本書で白井氏が中心概念として取り上げている「永続敗戦」の説明部分です。 

(p48より引用) 敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる。かかる状況を私は、「永続敗戦」と呼ぶ。(中略) 
 彼らは、国内およびアジアに対しては敗戦を否認してみせることによって自らの「信念」を満足させながら、自分たちの勢力を容認し支えてくれる米国に対しては卑屈な臣従を続ける、といういじましいマスターベーターと堕し、かつそのような自らの姿に満足を覚えてきた。敗戦を否認するがゆえに敗北が無期限に続く―それが「永続敗戦」という概念が指し示す状況である。 

 ここでいう「彼ら」とは、戦後長きにわたり権力を独占している 

(p48より引用)事あるごとに「戦後民主主義」に対する不平を言い立て戦前的価値観への共感を隠さない政治勢力 

を指しています。 

 また、「戦後」の意味付けとして、著者はこうも記しています。 

(p115より引用) そもそも「戦後」とは要するに、敗戦後の日本が敗戦の事実を無意識の彼方へと隠蔽しつつ、戦前の権力構造を相当程度温存したまま、近隣諸国との友好関係を上辺で取り繕いながら―言い換えれば、それをカネで買いながら―、「平和と繁栄」を享受してきた時代であった。 

 こちらの指摘も首肯できるところがあります。“戦後”ではありつつも、戦前からの継続性を温存している「戦争を終わらせていない状況の継続」です。 

 そして、著者は、「永続敗戦は『戦後の国体』そのものになった」と語ります。「天皇にとっての安保体制」がまさにそれだと説いています。 

(p170より引用) 『英霊の聲』を書くことによって昭和天皇の戦争責任を真正面からとらえ、「平和と繁栄」に酔い痴れる高度成長下の戦後日本社会の精神的退廃 (それは本書が「永続敗戦」と呼ぶものだ) の元凶をそこに求めた三島由紀夫は、まさに慧眼であった。三島は、日米安保体制が昭和天皇によって手引きされた可能性など知る由もなかったであろうが、直感的に事の本質を見抜いていたと言える。・・・真の問題は、「国体」と呼ばれる一個のシステムの意味と機能を考えることにほかならない。それは、アメリカを引き込むことによって、敗戦を乗り越え、恒久的に自己を維持することに成功した。安保体制の確立を経て、ポッダム宣言受諾の条件であった「国体の護持」の究極的な意味合いとは、米国によってそれを支えてもらう、ということにほかならなくなった。 

 とても興味深い論考だと思います。 

 

 

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