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世界はこうしてできている 美しい物理のしくみ (川村 康文)

2022-08-31 10:11:52 | 本と雑誌

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 私は高校時代「文系」だったので、「物理」についての素養は今から50年近く前の中学校理科のレベルです。そういう背景もあり、こういった“科学の入門書” には大いに興味をいだきます。

 本書は、
  PART1 美しい自然現象の物理のしくみ
  PART2 美しい人工物の物理のしくみ
に分かれていて、

  • 夕焼けはなぜ赤いのか
  • ナイアガラの滝のエネルギーはどれほど凄いのか
  • 美しい雪の結晶ができるしくみとは
  • クレーターができるほどの隕石の衝撃とは
  • 地球はなぜ回っているのか
  • 太陽からは、何が降り注いでいるのか
  • 気球はなぜ空に浮かぶ
  • ラップフィルムには「ファンデルワールス力」がはたらく
  • 「落ち続ける」宇宙ステーションのしくみ 等々

といった身近に感じられるような項目が取り上げられています。

 写真と図解が豊富で、説明もこれ以上は無理だろうというほど簡潔です。
 事象のエッセンスである物理現象の「単語」が紹介されているだけと言ってもいいような内容ですから、本書に何を求めるかをはっきりさせて手に取ることが肝要でしょう。

 その点でいえば、身の回りの事象を観察して、疑問を持ち、その原因を知りたくて “科学” に関心を抱いた「こどもたち」であれば、その“超入門書”としては手頃かもしれません。

 昔流にいえば、小学生中高学年のこどもが、夏休みの読書でちょっと読んでみるといったノリでしょうか。

 

 

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〔映画〕糸

2022-08-30 09:04:34 | 映画

 
 小松菜奈さんと菅田将暉さんが共演した映画です。
 
 中島みゆきさんの「糸」をモチーフにしたオリジナルシナリオとのことですが、正直、映像作品としてはイマイチでしたね。「平成」へのこだわりに納得感が得られず、テーマの一貫性を阻害していたように感じます。
 
 観る前の期待値が高かったことは否めないのですが、ともかく予定調和のラストに向かってあれこれとエピソードが盛り込まれ過ぎで、これでもかと右往左往させられた気分です。
 
 唯一の見どころといえば、やはり小松菜奈さんですかね。あのピュアな透明感溢れる演技は流石だと思います。

 

 

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〔映画〕ゼロの焦点

2022-08-29 11:36:11 | 映画

 
 松本清張さんの代表作を映画化した作品です。
 
 清張さんの作品は、以前そこそこ読んでいたのですが、この作品はこれだけ有名なのにもかかわらず、何故か手に取っていませんでした。
 
 なので、映画と原作でどの程度異なっているのかわからないのですが、映画は映画でサスペンス作品としてもしっかりとした出来栄えだったと思います。
 
 3人の女優さんはそれぞれ対照的な役柄をうまく演じていましたね
 久我美子さんはあのころから落ち着いた雰囲気で違和感はありませんでしたが、出色だったのは有馬稲子さん。健気な明るさをもつ役柄にはぴったりでした。
 
 あとは、西村晃さん、加藤嘉さん、壮年期の重鎮の登場シーンもなかなか興味深かったです。

 

 

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〔映画〕オリエント急行殺人事件~死の片道切符~

2022-08-28 11:14:04 | 映画

 
 原作であるアガサ・クリスティーの「オリエント急行の殺人」を読み終え、待ったましたとばかりに見た作品です。
 
 今まで、映画としては1974年版、2017年版ともに観ていますが、この作品は原作を現代風にアレンジしたという長編テレビドラマです。
 映画の方はかなり力を入れた作品だったので、その点こちらはストーリーもキャスティングもグレードダウンしているのは止むを得ないところですが、それでも結構予想外に楽しめました。

 変更した部分も、原作を損なうことなくうまく活かそうという気遣いが感じられて好感が持てますし、出演した役者さんたちも、それぞれの登場人物のキャラクタをうまく演じ分けていました。
 
 難しいチャレンジを試みた作品で、その “心意気や良し” ですね。

 

 

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日本のいちばん長い夏 (半藤 一利)

2022-08-27 16:22:32 | 本と雑誌

 

 この時期(8月)には、できるだけ「戦争」を扱った本を読んでみようと思っています。

 少し前になりますが、半藤一利さん「日本人の宿題: 歴史探偵、平和を謳う」を読んでいて、“太平洋戦争” をテーマにした大座談会の話が登場していました。
 本書は、その座談会の様子を記した著作です。

 8月15日を挟んだ終戦前後、様々な立場、様々な場所で同じ時を迎えた30人の人々の証言は、心に留め置くべき真実の吐露でした。
 それは、読む人の心に、改めて戦争の悲惨さや理不尽さを刻み直すものもあれば、戦争に至らしめた人の無責任さへの怒りや虚しさを思わせるものもありました。

 たとえば、ポツダム宣言受諾をめぐる8月10日ごろの政権内の様子を振り返ってのやりとりです。

(p69より引用) 松本俊一(当時、外務次官) 終戦工作というのは、要するに、今になると実感としては、文字の解釈論争みたいなものでしたね。
迫水久常(当時、内閣書記官長) そうなんだな。前の「黙殺」もそうだが "subject to" なんかもその典型だった。回答の中に「天皇および日本国政府は、連合軍司令官に subject to する」とある。これを何と翻訳するか。陸軍はことさらに、字引きのなかの「隷属する」というのを引っぱり出して、日本を奴隷にするつもりだ、といきまく。外務省は苦しまぎれの訳で「制限の下におかれる」。私は下手に法律の言葉を知っていたから「但し何々することを妨げず、と いうときに subject to を使うのだ」と頑張った。こんなことで一日中議論しているのだからね。

 こういった当時の政権や軍部中枢にいた方たちの生々しい証言を耳にすると、何か他人事のような虚しさとともに強い憤りを抑えることができません。あなた方が “文学論争” をやっている最中にも、数多くの一般国民や前線の兵士たちがその尊い命を落としていったのだと。

 また、極限状態の戦場で敵と対峙していた兵士たちの本音を語る声。

(p103より引用) 大岡昇平 それで思うのだが、十五日の放送をきいて、くそっと思ったところは、大体において食糧があったのじゃないだろうか。
会田雄次 くそっなんて、少くとも思ったものは僕のまわりにはなかったですね。幽霊に意地なんかありませんよ。
池部良 もともと兵隊には敵愾心なんかありませんものね。条件反射としてはありましょうけど。
岡部冬彦 ありませんでしたね。
村上兵衛 ただ眼の前で仲間がやられると、敵愾心が起る、とある友人がいってましたが。
会田雄次 それは起ります。僕も経験しました。
有馬頼義 空襲だってアメリカがやっている気がしない、天災みたいな気がしてね。
扇谷正造 兵隊に敵愾心など、いつの戦争でもないのではないですかね。

 戦闘は誰の意思で行われていたのか、意思と肉体(生命)とは別々だったということです。理不尽な環境に置かれ、心にもないこと、理屈では理解できない行動をとらされ、その結果貴い命を亡くしていったのです。

 そして、座談会の最後のあたりでのやり取り。

(p121より引用) 上山春平 最大の愚行から最大の教訓を学びとること、これが生き残った特攻の世代に背負わされた課題なのかも知れません。
有馬頼義 同感です。とにかく終戦によって何万、何十万の人間の生命が救われたことは事実です。それが僕だったかも知れない。そう考えれば生き残ったわれわれが何をなすべきか。一人々々が真剣に考えるべき問題であることはたしかなのです。

 あまりにも大きな代償でした。「せめてもの」という真摯な気持ちの発露でしょう。

 この座談会が設けられたのは昭和38年ですから、終戦から18年後になります。司会を務めた半藤さんも33歳、多くの戦争体験者がまだ健在で記憶も確かなころでした。

 それから半世紀以上の歳月が過ぎ、こういった方々から直接体験談を聞く機会はほとんど無くなってしまいました。それだけに、この座談会の記録はとても貴重です。そしてその場で交わされた証言は、決して忘れてはならない記憶と教訓に満ちています。

 

 

 

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〔映画〕人間の証明

2022-08-26 11:29:47 | 映画

 
 1977年公開の角川作品ですから、もう45年も前の話題作です。
 原作は森村誠一さんの長編小説ですが、プロットやストーリーは、映画化にあたりかなり手が加えられたようです。
 
 できあがった作品の方は、正直とても残念な出来栄えだったと思います。
 織り込まれているエピソードがことごとく表層的で唐突感に溢れ、サスペンスとしてもエンターテインメントとしても全く楽しめるレベルに至っていません。ところどころに登場するワザとらしい演出も逆効果でしたね。
 
 その反面、キャスティングは三船敏郎、鶴田浩二、長門裕之、ハナ肇、夏八木勲、伴淳三郎・・・等々錚々たる役者がそろい踏み。かえって作品の質とのギャップが際立ってしまいました。

 

 

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〔映画〕キング・オブ・シーヴズ

2022-08-25 10:51:10 | 映画

 
 2015年、ロンドンで実際に発生した窃盗事件を映画化したものとのことです
 
 観終わっての印象ですが、何とも “中途半端”な出来の作品でした。
 
 「実話」という面を重視すると “ドキュメンタリー” としてのリアリティや重厚さを期待するのですが、「老人たちの犯行」という点以外にインパクトはなく、かといって、実話をモチーフにした “映像作品” だとしてもストーリー展開が平凡で全く「エンターテインメント性」が感じられません。
 
 マイケル・ケインが主演ということで期待して観てみたのですが、正直なところ大いに残念な作品でした。

 

 

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〔映画〕マリアンヌ

2022-08-24 10:30:56 | 映画

 
 ロマンティック・サスペンス映画の王道を行くような出来栄えです。
 こういった過度にセンセーショナルな演出を施していない作品はいいですね。
 
 やはり軸となる役者さんがしっかりしていると違います。映像自体に惹き込まれますし、ストーリーの展開にも素直に入っていけます。
 
 本作品の場合はブラッド・ピットとマリオン・コティヤール、二人とも流石の存在感だったと思います。特にマリオン・コティヤールは役柄にぴったり、とても魅力的でした。

 

 

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ナイルに死す (アガサ・クリスティー)

2022-08-23 11:14:08 | 本と雑誌

 ちょっと前に映画「ナイル殺人事件(1978年版)」を観ました。最近もまた映画化されたようで、そうなってくると、やはりアガサ・クリスティーの「原作」を読んでみようという気になってくるのです。

 ということで、いつも行く近所の図書館から文庫本を借りてきました。

 ネタバレになるとまずいので、内容には触れませんが、読み終わっての印象は、彼女の代表作のひとつということもあり、流石にしっかりとした構成の密度の濃い作品だと感じますね。少々欲張り過ぎのような印象を与える枝葉のエピソードも、物語の展開の中できちんと丁寧に回収しています。

 映画の方も、結構、原作に忠実に作ってあるようです。
 最後、オリエント急行殺人事件と同様に、関係者が一堂に会した場でエルキュール・ポアロが謎解きを披露するのですが、これは映画ならではの演出でした。ちなみに、私は、わざとらしさを感じる映画のラストよりも、原作のエンディングの方が好みですね。

 さて、作中、レイス大佐とエルキュール・ポアロとの間で、こんな会話が交わされていました。

(p448より引用) 「・・・探偵の仕事というものはえてして間違った出発点を拭いとって、再出発することにあるからね」
「そうです。まさに真理です。それができない人がずいぶんいます。この人たちはまずある仮説を立てて、あらゆることをその仮説に当てはめようとするんです。それで何か小さな事実がその説に当てはまらないと、その事実を拗りだしてしまう。ところがその当てはまらない事実こそ、えてして意味深長なことが多いのです。・・・」

 なるほど、サスペンスの “謎解き” の王道ですね。

 

 

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〔映画〕アメイジング・スパイダーマン2

2022-08-22 10:01:53 | 映画

 
 ちょっと前に「アメイジング・スパイダーマン 」を観たので、その流れで続編にもトライしてみました。
 
 出来栄えはといえば、本作も2作目のジンクスに引っかかったようです。
 1作目との連続性が濃いプロットとストーリーで、その点はいいチャレンジで好感が持てるのですが、如何せん敵役のキャラクターに問題ありでした。登場背景もスパイダーマンに対峙する動機も説得力に欠けていて意味不明です。
 
 また、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズとしては、この二作で完結させるということだったらしく、ヒロインを悲劇的結末に至らしめたのは大いに残念でしたね。
 それだけに、本シリーズでのエマ・ストーンの存在感は抜きん出ていたということでしょう。

 

 

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〔映画〕ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ

2022-08-21 09:02:11 | 映画

 
 以前に観た「ヴェノム」の続編です。
 
 やはり、私は、この手の特にアメリカ映画でありがちな “造形” は好きではありません。主人公にも親しみや魅力は感じませんし・・・。
 
 それに加え、ストーリーにも何の物語性もないので、観終わっても全く気分が良くないのです。
 
 まあ、マーベル・コミックのキャラクタ映画なので話題にはなるでしょうから、今後も続編があれば観るだけは観ると思いますが・・・。そういう点では “興行的” には成功している作品といえるのかもしれません。

 

 

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〔映画〕監視者たち

2022-08-20 11:12:57 | 映画

 
 久しぶりの韓国映画です。
 
 追うものと追われるもの、シンプルな対立の構造のストーリーですが、シーンの切り替えがテンポよくスピーディーで観ていて心地よい緊迫感を感じました。
 
 また、新人刑事の成長物語でもあるので、その新人刑事役の役者さんのキャラクタも本作の印象を大きく左右するポイントだと思うのですが、この点は大正解だったと思います。
 演じたハン・ヒョジュさん、ひとつひとつの表情がキラキラしていました。とてもよかったですよ。
 
 全体的な作品の雰囲気は一昔前のノリでしたが、結構楽しめた作品でしたね。

 

 

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札幌殺人事件 (上・下) (内田 康夫)

2022-08-19 08:55:50 | 本と雑誌

 いつも利用している図書館で、この暑い日々の中、気楽に読めるサスペンスものはないかと探していて目に付いた本です。

 内田康夫さんの小説は、かなり前に結構集中して読んだのですが、この作品は抜けていました。今回の舞台が私の大好きな街「札幌」ということで、躊躇なく借りてきました。

 数年前、仕事の関係で、2年間にわたりほぼ毎週札幌出張をしていたので、札幌の街には特別の思い入れがあります。また、そういった経緯から、わずかですが土地勘もあるので、光彦が訪れる街並みや通りの姿をなんとなくイメージしながら楽しむことができました。

 ネタバレになるとまずいので、内容には触れませんが、この作品は、内田さんの「浅見光彦シリーズ」の中では、比較的オーソドックスで“硬派”な印象です。登場人物にまつわる伏線をしっかりと回収していく丁寧さがいいですね。ラストは珍しく “ハードボイルド”タッチです。

 時折、軟弱で読者に阿りを感じる作品や過度に作者の社会的関心を披見している作品がみられて、出来栄えに波のあるシリーズですが、この作品は私には合っていました。

 また久しぶりに「浅見光彦」を辿り直してみましょうか。

 

 

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〔映画〕アメイジング・スパイダーマン

2022-08-18 09:40:09 | 映画

 
 このところ改めて「マーベル・コミック」系の映画を観直しています。
 
 この作品も観るのは2・3回目だと思いますが、エンターテインメント作品としては、無難なハイレベルの出来ですね。
 
 ストーリーは比較的シンプルですが、節々のエピソードがとても効果的です。特に、伏線の回収でもある終盤の「クレーン」のシーンは、よく思いついたものだと思います。
 
 あとはキャスティング。白眉はマーティン・シーンとサリー・フィールドです。主人公の心のよりどころとしての “家族” をベテランの存在感で見事に描き出していました。
 
 そして、エマ・ストーン。ラストシーンの表情は最高でしょう。私の好きな女優さんのひとりです。

 

 

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〔映画〕恋におちたシェイクスピア

2022-08-17 10:29:07 | 映画

 
 久しぶりにDVDを借りてきました。観るのは3・4回目かもしれません。
 
 比較的評価は高い作品ですね。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をモチーフに、流石によく練られたストーリーだと思います。
 
 そして、この作品の華は、やはり何と言っても「グウィネス・パルトロー」ですね。
 少年っぽさも漂わせつつの自然な輝きは、彼女ならではでしょう。最近の作品でもそういったキャラクタが活きています。私が大いに気になっている女優さんのひとりです。
 
 あと、忘れてならないのが「ジュディ・デンチ」。彼女の “イギリスの女王” 役は、まさにはまり役ですね。

 

 

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