眠れない夜が続いていた。
なぜだろう、こんなことは今までになかった。
理由を考えてみた。
妻が子供を連れて実家に帰ってしまったせいだろうか?
わからない。
わからないといえば、妻がなぜ実家に戻ったのか、それも見当がつかなかった。
確かに私たちの間に最近会話は減っていたが、それでも私は私なりに彼女に対して気を使っていたつもりだ。
休みの日には疲れた体に鞭を打って外出に付き合い、彼女の誕生日には少ない小遣いの中からブランド品のバッグを買って、彼女が高校の時の同窓会に行きたいと言えば、笑って送り出してやった。
それなのになぜだ、なぜ書き置きの一つも残さず出て行くのだ。
彼女の実家に電話をすれば、娘は電話に出る気はないそうよと義母のつれない対応。
何だよ、何のために取引先の連中に毎日頭をぺこぺこ下げてると思うんだ!?
家族を養わなくちゃいけないから、少しでもいい生活をさせてやりたいから、そのために下げたくもない頭を下げてるんだぞ、こっちは!
そうだ、下げたくもない頭といえば思い出した、課長の奴、人に自分のミスを押し付けやがって!
納入期日を勘違いしていたのはアンタの方だろうが!?
こっちはこつこつとマーケティングをして、資料を徹夜で作って、プレゼンをして、ようやく契約書にサインという段階になってのこのことしゃしゃり出てきやがったくせに、契約がご破算になった途端、いけしゃあしゃあと、困るなぁ君、どうして詰めが甘いんだね、だと?あの野郎!!
くそっ、思わず汚い言葉が私の口をついて出る。
道行く人たちが私の顔をじろじろと見ている。
何だよ、そんなにおかしいか、この私の顔が。
確かに今朝私は髭を剃っちゃいないさ、でも今日は本当なら休みのはずだったんだ、そうさ、一ヶ月ぶりの休みだったんだ、髭を剃ってなくたっておかしくはないだろう?
あれ、そういえば私は休みの日だっていうのに何で駅に向かってるんだ?
電車に乗ってどこに向かうというんだ?
会社か?いや、それとも妻の実家?
どっちに行けばいいっていうんだ?
それともどちらでもないのか?
わからない、わからない、わからない。
そもそも私は何でバットを持ってるんだ?
それにパジャマでいるのはなぜだ?
前から来たOLたちが私の姿を見てヒィッと短く悲鳴を上げて去っていく。
失礼な奴らだ、私の顔に何かついてるというのか?
気がつくと駅の構内で私の周りには誰もいなくなっていた。
どうしたっていうんだ、世界から誰も彼も消えてしまったっていうのか?
かくれんぼでもしようっていうのか。
いいだろう、鬼になってやるよ。
だけど見つけたときは覚悟しとけよ、ただじゃ済まないからな。
妻はどこだ、それに課長はどこだ。
私は一人、パジャマ姿でバットを握り締めながら無人の構内を歩いている。
どこかに隠れている、二人の姿を求めて。
という夢をみた。
おかげでしばらく眠れそうにない。
なぜだろう、こんなことは今までになかった。
理由を考えてみた。
妻が子供を連れて実家に帰ってしまったせいだろうか?
わからない。
わからないといえば、妻がなぜ実家に戻ったのか、それも見当がつかなかった。
確かに私たちの間に最近会話は減っていたが、それでも私は私なりに彼女に対して気を使っていたつもりだ。
休みの日には疲れた体に鞭を打って外出に付き合い、彼女の誕生日には少ない小遣いの中からブランド品のバッグを買って、彼女が高校の時の同窓会に行きたいと言えば、笑って送り出してやった。
それなのになぜだ、なぜ書き置きの一つも残さず出て行くのだ。
彼女の実家に電話をすれば、娘は電話に出る気はないそうよと義母のつれない対応。
何だよ、何のために取引先の連中に毎日頭をぺこぺこ下げてると思うんだ!?
家族を養わなくちゃいけないから、少しでもいい生活をさせてやりたいから、そのために下げたくもない頭を下げてるんだぞ、こっちは!
そうだ、下げたくもない頭といえば思い出した、課長の奴、人に自分のミスを押し付けやがって!
納入期日を勘違いしていたのはアンタの方だろうが!?
こっちはこつこつとマーケティングをして、資料を徹夜で作って、プレゼンをして、ようやく契約書にサインという段階になってのこのことしゃしゃり出てきやがったくせに、契約がご破算になった途端、いけしゃあしゃあと、困るなぁ君、どうして詰めが甘いんだね、だと?あの野郎!!
くそっ、思わず汚い言葉が私の口をついて出る。
道行く人たちが私の顔をじろじろと見ている。
何だよ、そんなにおかしいか、この私の顔が。
確かに今朝私は髭を剃っちゃいないさ、でも今日は本当なら休みのはずだったんだ、そうさ、一ヶ月ぶりの休みだったんだ、髭を剃ってなくたっておかしくはないだろう?
あれ、そういえば私は休みの日だっていうのに何で駅に向かってるんだ?
電車に乗ってどこに向かうというんだ?
会社か?いや、それとも妻の実家?
どっちに行けばいいっていうんだ?
それともどちらでもないのか?
わからない、わからない、わからない。
そもそも私は何でバットを持ってるんだ?
それにパジャマでいるのはなぜだ?
前から来たOLたちが私の姿を見てヒィッと短く悲鳴を上げて去っていく。
失礼な奴らだ、私の顔に何かついてるというのか?
気がつくと駅の構内で私の周りには誰もいなくなっていた。
どうしたっていうんだ、世界から誰も彼も消えてしまったっていうのか?
かくれんぼでもしようっていうのか。
いいだろう、鬼になってやるよ。
だけど見つけたときは覚悟しとけよ、ただじゃ済まないからな。
妻はどこだ、それに課長はどこだ。
私は一人、パジャマ姿でバットを握り締めながら無人の構内を歩いている。
どこかに隠れている、二人の姿を求めて。
という夢をみた。
おかげでしばらく眠れそうにない。