マックス・ブルックス著、『WORLD WAR Z』、読了。
本書は人類を滅亡寸前にまで追い込んだ世界ゾンビ戦争終結から十年後、一人の調査官が生き残った様々な人々に対して行ったインタビューを元にした記録(という設定の擬似ドキュメンタリー)です。
長かった!!
一時は読み終わらんかと思いました。
といっても決して面白くなかった、ってわけではないのです。
ありとあらゆる階層、階級、地域、職業の人が語る、一つ一つのエピソードはよく書けてると思うし、なかなか読ませるものがありました。
ただ、皆が皆、一様に「あの戦争に勝者はいない、いるのは敗者ばかりだ」みたいな感想を述べるのは読んでいてひどく疲れました。
一人ぐらいは『ゾンビランド』のタラハシーのごとく、「きやがれ、ゾンビども!!」みたいなぶっ飛んだキャラがいてもよかったんじゃないかと思います(その役目を担っていたのがもしかしたら日本人の師弟コンビなのかもしれないけど、二人とも生真面目すぎる)。
しかし、本書に対する一番の不満はそこじゃないんです。
どこまでも暗く、息苦しい世界観が本書の持ち味なのだ、といわれたら納得するしかないですからね。
ゾンビ映画における一番の恐怖は、無数のゾンビに囲まれることでもなければ、高速で走るゾンビに追いかけられることでもなく、自分は恋人や家族、その他近しい人がゾンビになる、ってことじゃないかって思います。
ゾンビになってしまった愛する人を自らの手で屠れるのか?
それが究極の選択ではないでしょうか。
しかし本書ではそういった究極の選択を強いられる人間が一人も出てこないんですよ。
これだけ多くの人がインタビューに答えているというのに、家族にゾンビになったものがいないというのは片手落ちだし、不自然です。
本書はゾンビという空想の産物をモチーフにして、戦争の虚しさを描くことに成功しているといっていいでしょう。
が、戦争による悲劇は描けてないように思えました。
本書は人類を滅亡寸前にまで追い込んだ世界ゾンビ戦争終結から十年後、一人の調査官が生き残った様々な人々に対して行ったインタビューを元にした記録(という設定の擬似ドキュメンタリー)です。
長かった!!
一時は読み終わらんかと思いました。
といっても決して面白くなかった、ってわけではないのです。
ありとあらゆる階層、階級、地域、職業の人が語る、一つ一つのエピソードはよく書けてると思うし、なかなか読ませるものがありました。
ただ、皆が皆、一様に「あの戦争に勝者はいない、いるのは敗者ばかりだ」みたいな感想を述べるのは読んでいてひどく疲れました。
一人ぐらいは『ゾンビランド』のタラハシーのごとく、「きやがれ、ゾンビども!!」みたいなぶっ飛んだキャラがいてもよかったんじゃないかと思います(その役目を担っていたのがもしかしたら日本人の師弟コンビなのかもしれないけど、二人とも生真面目すぎる)。
しかし、本書に対する一番の不満はそこじゃないんです。
どこまでも暗く、息苦しい世界観が本書の持ち味なのだ、といわれたら納得するしかないですからね。
ゾンビ映画における一番の恐怖は、無数のゾンビに囲まれることでもなければ、高速で走るゾンビに追いかけられることでもなく、自分は恋人や家族、その他近しい人がゾンビになる、ってことじゃないかって思います。
ゾンビになってしまった愛する人を自らの手で屠れるのか?
それが究極の選択ではないでしょうか。
しかし本書ではそういった究極の選択を強いられる人間が一人も出てこないんですよ。
これだけ多くの人がインタビューに答えているというのに、家族にゾンビになったものがいないというのは片手落ちだし、不自然です。
本書はゾンビという空想の産物をモチーフにして、戦争の虚しさを描くことに成功しているといっていいでしょう。
が、戦争による悲劇は描けてないように思えました。