団塊の世代の世間話

60年を生きてきた思いを綴った「ゼロマイナス1 団塊の世代の世間話」を上梓し、その延長でブログを発信。

「半沢直樹」から考える

2013-09-02 13:16:59 | Weblog
 あまりこのブログではテレビの話題は書かないが、TBSの『半沢直樹』については触れておきたい。直近で30%の視聴率を獲得しており、「倍返し」など一種の社会現象になりつつある。
 どうして書こうと思ったかは、やはりテレビドラマの在り方に一石を投じている状況だろう。『半沢直樹』のストーリーはきわめて単純で、勧善懲悪の世界である。主人公を取り巻く環境が、最前線の銀行業界であり現在の金融状況で、リアリティーが高く、本物っぽく進行していくので、ハラハラドキドキさせられる。池井戸潤の原作に負うところも大きいだろう。
 池井戸潤は最近ではNHKの『七つの会議』があり、ちょっと前ではWOWOWの『空飛ぶタイヤ』があった。いずれも企業もので、後者はほとんど『半沢直樹』に似た展開で作られていて、上質な人間ドラマになっていた。
 とはいえ、これほどの視聴率が『半沢直樹』で予想されたとは思えない。だから、反対にこうした勧善懲悪ドラマを視聴者は望んでいた、と言える。最近は、時代性を考慮して、無理な設定を作って、これでもかの破局の連続で引っ張っていくドラマが多いが、そうした作り方に一定の反省を促すことになるのではないか。例えば同時期に放映がはじまった『名もなき毒』などは、その例であろう。
 つまり端的にいえば『半沢直樹』は、時代劇の現代版であるのだろう。では、どうしてテレビで時代劇は衰退していったのか。やはりあまりにも『水戸黄門』のようにワンパータンになり過ぎたこと、時代劇役者が高齢化したこと、制作費のコストがかかり過ぎる、などの理由であろう。
 その余った人材が、京都で推理ドラマを作っているから、京都で死体がごろごろしている理由であるのだが、それとは別に、時代劇の面白さ、精神を受け継いだ現代劇が作られるようになったことは歓迎すべきことだろう。
 これだけ当たれば、また似たようなドラマが作られることになるのだろうが、そうした中からテレビドラマの本来の面白さを発見していってほしい。
 時代劇で注文をいえば、やっぱりチャンバラの面白さに尽きるのではないか。悪党がわっとかかってきて、バッタバッタと斬りまくるのではなく、勝負を見せ場にして、剣士がどう勝つか、どうやったら勝てるか、といった息を飲むようなリアリティで作ってほしいものである。
 かつてはそういう時代劇があった。勝負という意味で、『十三人の刺客』のリメイクなどがあったが、どうして最近では映画になると時代劇はああもつまらなくなってしまうのだろうか。武士道の不条理をいくら描いても、面白くなるわけがない。
 時代劇も現代劇も結局は同じなのだろう。どう人をワクワクドキドキさせるか。活動写真の原点に戻りたいものである。
 
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