団塊の世代の世間話

60年を生きてきた思いを綴った「ゼロマイナス1 団塊の世代の世間話」を上梓し、その延長でブログを発信。

半沢直樹はなぜ出向になったか

2013-09-24 09:16:01 | Weblog
 TBSドラマのお化け番組『半沢直樹』が最終回になり、番組を終えた。すでに一度感想を書いているが、どうしてああいう結末になったかを考えてみたい。
 ああいう、とは、半沢直樹は出向になってしまった。大和田常務は平取に降格、という人事で幕になった。半沢直樹は銀行を助け不正を暴いた功績で、きっと出世をするのだろう、と想像したが、見事に肩透かしだった。
 ちょっとカタルシスが足りない結末ではあったが、半沢が銀行に入行した理由は、大和田常務へのリベンジだった。だから、大和田常務を土下座したことで、個人的な恨みを晴らすことができた。つまり、ここで目的を達することができたわけだ。
 ドラマの結末としては、これでハッピーなのだが、そこに人事が絡み、ドラマとしての奥行きを与えたかったのだろう。
 北大路欣也演じる頭取が、もっとも要領よく立ち回ったことになるが、銀行の組織としてはさほど意外な出向人事ではないだろう。なぜなら、あのまま半沢を出世させれば、下克上を縦割り組織の中で認めることになってしまう。
 同じような案件が出て、みんなが半沢のような行動に出れば、組織が壊れかねない。その前例を作りたくなかった、というのはどの会社でも同じ考えだろう。不正な事実が発覚した場合は、社内で中立な監査室でも作り、そこで問題を処理するというのが普通の発想であろう。
 また、ドラマであるから、単なる次長が取締役会で、あそこまで常務を追い詰めることができたわけだ。オーバーな演技が、クライマックスを盛り上げたことは確かだった。
 半沢の個人的な恨みであったが、あの長台詞の中に銀行の在り方も弾劾しているシーンもあった。原作の池井戸潤の経験から来た良心の叫びであろうか。また裏切った近藤に対する態度も、作者のやさしさが滲んでいるようだ。
 とはいえ、出向人事はまずノーマルなのだが、大和田常務の平取降格は、一般的な感覚でもちょっと甘すぎたろう。たぶん、続編でまた大和田さんが暗躍するストーリーを想定しているのだろう。
 というわけで、続編の期待が高まる終わり方だった。たぶん頭取が病気で倒れ、大和田が返り咲きを狙って画策し、銀行の内部が混乱している時に、頭取からの特命で、半沢が銀行に戻り、また大和田と対決するストーリーなどが想像できよう。
 以上が、私が最終回で感じたことだが、見事に勧善懲悪で、しかも金融や銀行の現状をしっかりと描き、登場人物にリアリティがあることで、単純なドラマではなくなった。続編を期待したい。

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