2016年4月3日(日)
(バカじゃないの?)
自分自身に呆れてしまう。
(私、何、不機嫌になってんの? バカじゃないの?)
小走りに駅に向かいながらも、さっき見た場面が、声が、耳から離れない。
『あ、ごめんっ。卓也くん!』
『あいかわらずだなあ、アサミ……』
甘ったるい女の声。笑っていた山崎さんの声……。
(だから何? 別に関係ないし)
そう思おうとすればするほど、深みにはまっていく。
知ってる。分かってる。これは嫉妬………だ。
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その4日前……
目黒樹理亜が母親と決別してから約10日後の、3月最終週の水曜日のことだった。
「戸田先生、次、新規の患者さんです」
看護師の柚希ちゃんにそう言われながら、カルテを渡され、
「えー……と、佐伯……。佐伯?」
その名にドキッとなる。樹理亜のストーカーも佐伯という名前。年齢も53歳。おそらく同じくらい。
そう思いながら固まっていたら、診療室の扉が開き、入ってきたのは……
「……失礼します」
「!」
一瞬立ち上がりかけたのを、何とか理性で押しとどめる。……本人だ。
「こんにちは。どうぞお座りください」
なんとか、医者の仮面をかぶって笑いかけると、佐伯氏は下を向いたままゆっくりと椅子に座り……こちらを見上げた。その表情を見て、心の中だけで軽く驚く。
(………あらま。相当弱ってるわ)
何度か見たことのあるこの男とは別人のよう……
私の知っている彼は、目力が強く、自信に満ち溢れたオーラを放っていた。それが今は……
佐伯氏は心臓のあたりを苦しそうに押さえながら、絞り出すように、言った。
「先生……俺、なんでこんなに、苦しいのかな」
「…………」
苦しそう。辛そう……
気持ちの持って行き場がない苦しさ……
それは……。それは、たぶん。
「それはたぶん……、恋、じゃないでしょうか?」
そんなありていなことを言うと、佐伯氏はボソッと「俺、バカみたいですね」と言った。自覚はある、らしい。
「いえ、バカみたいじゃないです」
言いきると、
「……そうかな」
恥ずかしそうな苦笑いを浮かべた佐伯氏。その表情は、まるで少年のようで……
(………かわいいじゃないの)
思わず、そんなことを思ってしまった。
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お読みくださりありがとうございました!
って、めちゃめちゃ短くて申し訳ないです……
話はもちろん決まっているので、後は書くだけなんですけど、どうしても今回、スマホで打つ気になれず……
でもパソコンだと時間をあまり取れなくて……ああ自分の筆の遅さが恨めしい……
とりあえず、書いたところまでで更新させていただきますーーー。
続きは明日…う……無理かな……明後日かも……
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こんな普通の話でいいのだろうか……と不安になるところを背中押していただいています。本当にありがとうございます!
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