きものを着始めた頃には、
いろんなきもの関係の本を読みました。
そのなかでも面白かったのは、
群ようこさんのきものの本、
「きものが欲しい!」(角川書店)と
「きもの365日」(集英社文庫)でした。
篠田桃紅さんとの対談・
どちらのきものも素晴らしい~。
「きものが欲しい!」より
きもの好きの方にはおなじみのこの二冊、
どちらも尋常ならざるきものへの愛!
を描いています。
「きものが欲しい!」は、
「三十分、五百万円お買い上げ」事件やら、
母親にねだられて(逆ではない!)、
稼ぎのほとんどをきものに費やしたことが描かれていて、
読むこちらもワクワクヒヤヒヤ.
そして「きもの365日」は、なぜか毎日きものを着て過ごそうと決心した群さんの奮闘記。
すごいなあ、と感心しながらも、
こちらは「何月何日何を着る?」と
迷ったときの参考にしております。
さて、あれから何年か経ち、
先日書店に立ち寄ったら、
群さんの「欲と収納」(角川文庫)という本が。
おお、「ものを捨てる」世の中の傾向に従って、
群さんも整理をし始めたのだな、
あの膨大なきものをどう整理するんだろうと,
早速購入。
まず、母親が購入した「伊兵衛工房」!やら
総刺繍の留袖やら、
「~買うものを選ぶというより、
買わないものを選ぶのである」
というくらい買った、買った、
買ったきものの数々。
そんな母親は脳溢血で入院、
弟から整理してほしいと送られてきたきものは、
「ドラム缶」ほどの大きさの段ボールが4個。
それらのきものはといえば、
「~多くがカビだらけ」という惨憺たる状態。
それを泣く泣く捨てていって、
それでも残るものはどうする??
そして「プロのおおよそ1・5倍」
くらいある自分のきものはどうする??
群さん、還暦を過ぎて整理の段階に入ったようですが、
「きものはなかなか捨てられない」
質、量とも雲泥の差とはいえ、
「わかるわあ、その気持ち」
「~~着物の整理は一歩も進まないまま、
夏は終わろうとしていた」
ダメでしょう、それじゃあと、
ツッコミを入れたくなりますが、
まあ、整理しようという気持ちだけは
がよ~くわかります。
本は、きものだけではなく、
洋服やら本やらの整理も載っていますが、
こちらはまあ流し読み~。
しかし、先日観た「ウルフ・オブ・ウオールストリート」の
キャッチ・フレーズは「欲・稼ぎ、欲・遊び」でしたが、
群さんも、「きものを買うために働こう」と
頑張った日々があったわけで、
いい「欲」は活動の原動力と言えるのかもしれません。
元気ないと、
「きものが欲しい!」なんて思えませんから。
そう考えればきものの残骸も、
すべてエネルギーに転嫁したあとの
燃えカスともいえるわけで、
わが身のバイタリティあった日々の形骸だと、
いきなり愛しく思えたりします。
欲にもお金にも限りがある我々一般人は、
「欲しいなあ」と憧れたり、
「でもやめよう」と我慢したり、
「えい、貯金を下ろして買っちゃえ」と
思いきったり。
そのときどきの揺れに
翻弄されながら日々を送っているんですねえ。
自分の枠に合った「欲と収納」のバランスを取りながら。
そう思ってみると、
このそっけないタイトルがとても奥深い(?)
ものに思えてきます。
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欲と収納 (角川文庫)
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