先に読んだ「後宮の世界」がとても面白く、
なかでもフランスのロココ時代を築いたといわれる
ポンパドール夫人。
「後宮の世界ー美への執念」→彼女のことを知る前と後では、感想違うね。
もっと詳しく知りたいと本を探し、読んでみました。
「かの名はポンパドール」(佐藤賢一著・世界文化社)
いや、もう、これも面白くて。
「ポンパドール風」というヘアスタイルが
あまりに知られているため、
逆にちゃんと知ろうとしなかった。スマン、スマン。
彼女はルイ15世の寵姫、つまり愛人なんですが、
この時代のフランスって、
女性は結婚して初めて恋愛が許されたんですね。
映画などで、よく貴族の奥方と若い男性との
逢瀬が描かれているけど、
「不倫」というより、結婚しないと
恋愛できなかったわけです。
「不倫は文化」なんて言葉がでるはずだよね。
ガッテン!ガッテン!
で、このポンパ、平民から王の愛人になり、
フランスの政治を動かすまでになった~というから
ドンダケやり手の女かと思っていたら、まあ、
この本ではあくまでルイ15世を愛し続けた可愛い女。
仮装舞踏会では、こんな「狩猟の女神ディアナ」の扮装で
王の心を射止めたとか。
まっ、平民出で、フランス王に愛され続け、
政治まで支配したとなれば、
いろいろ言われて当然ですよね。
何もしなけば、何も言われない。
それにしても、当時のフランスの不潔なこと。
窓から糞尿を投げ捨てていたのは知っていたけど、
これとロココの美を合わせて想像すると、…、です。
彼女の半生、それだけで興味深いのですが、
ここでは、色のお話。
いや、あっちの色ではなく。
でもあっちの色もスゴイというか、彼女、冷感症、だったんだって。
それで?いろいろ技巧を~~。
彼女は、自分の家(もう、結婚していたのよ)の近くに
王が狩猟に来ると知ると、
ピンクと青の馬車を用意して、
ピンクの馬車のときには青のドレス、
青の馬車にはピンクのドレスを着て、
王の前を疾走、王の列にぶつかったと言います。
まさに体当たり。
これで、王に覚えられないはずはない~~。
日本だとお手打ち、切り捨てごめんだな。
色がどんな効果を及ぼすかを
知っていたのですね。
この時代にスゴイね。
というのは、この時代、まだ
反対色の使い方は一般的ではなく、
ゴッホさえ、色の勉強、反対色の概念を
取り入れたのはおおよそ百年後です。
美だけではなく、いかに知識と教養と行動力が
あったかがわかります。
ピンクとブルーは、彼女のPCなのね。
青のドレスにピンクのバラを散らし、
ピンクのシューズ。
ちょっと想像してみてください。
緑の森を背景に、青やピンクの馬車。
いずれにしても、
ピンクをくっきりと目立たせるように演出しています。
演劇の才能もあったとかで、
王のために女優として、様々なお芝居を演じたとか。
ロココというと、派手で悪趣味との偏見を持っていたけど、
この方のことを知って、その美は、
科学、文学、音楽、演劇などなどの知識に
裏付けされたものだったと納得。ガッテン!ガッテン!
フランス革命を導いたとか、いろいろ言われているけど、
平民の出だった彼女こそ、それを望んでいたのかもしれません。
1764年、42歳の若さで死亡。
王の子どもは一人は流産、一人は産んですぐに死亡、
前の夫の女の子は10歳でやはり死亡。
当時のフランス、けっして清潔とは
言いがいたから死亡率高い。
夫人も下半身の感染症で苦しんだとか。
フランス革命が起きるまで、あと25年~~。
そのとき、歴史は動いた
うーん、佐藤氏のほかの作品も読んでみたい。
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