「未成年」を読んだ。
高等法院の女性裁判官は、法廷でさまざまな問題にとりくむ一方家庭では夫との関係に悩まされている。
仕事と家庭、公務と私生活等よくある話ではある。
だが立場が裁判官となれば・・・・。
「未成年」イアン・マキューアン(著) 村松 潔(訳)2015.11新潮社(刊)
職業的野心に燃えて高等法院の裁判官という地位にまで上った主人公フィオーナは、法廷での冷静で理性的な判断を下すことで同僚の信頼も厚いが、一方では私生活を犠牲にしてきたツケが60歳を間近に控え老いを意識する今明らかになってくる。
彼女が携わった数々の事件とその判決、同時に進行する彼女の私生活、そんな中で宗教上の理由から輸血を拒否する18歳に少し満たない少年に対する審理が病院側から持ち込まれ、患者の思想と病院側の医療行為という信仰と生命の問題に正面から取り組んでいく様が描かれる。
裁判官は研ぎ澄まされ賢すぎるほどの少年の思想と感性に触れ合いながら、保護者としての両親に判決を下す。
判決後のさまざまな出来事が丹念に描かれ、彼女の過去や現在の私生活、彼女の心の有り様が事件を別な方向に展開させ、むしろこの本のメインはそこにあることが分かってくる。
「未成年」は少年の物語ではなく、「大人とは」を問いかけてくる。
私にとって、何ともやるせない気持ちにさせられた一冊である。
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高等法院の女性裁判官は、法廷でさまざまな問題にとりくむ一方家庭では夫との関係に悩まされている。
仕事と家庭、公務と私生活等よくある話ではある。
だが立場が裁判官となれば・・・・。
「未成年」イアン・マキューアン(著) 村松 潔(訳)2015.11新潮社(刊)
職業的野心に燃えて高等法院の裁判官という地位にまで上った主人公フィオーナは、法廷での冷静で理性的な判断を下すことで同僚の信頼も厚いが、一方では私生活を犠牲にしてきたツケが60歳を間近に控え老いを意識する今明らかになってくる。
彼女が携わった数々の事件とその判決、同時に進行する彼女の私生活、そんな中で宗教上の理由から輸血を拒否する18歳に少し満たない少年に対する審理が病院側から持ち込まれ、患者の思想と病院側の医療行為という信仰と生命の問題に正面から取り組んでいく様が描かれる。
裁判官は研ぎ澄まされ賢すぎるほどの少年の思想と感性に触れ合いながら、保護者としての両親に判決を下す。
判決後のさまざまな出来事が丹念に描かれ、彼女の過去や現在の私生活、彼女の心の有り様が事件を別な方向に展開させ、むしろこの本のメインはそこにあることが分かってくる。
「未成年」は少年の物語ではなく、「大人とは」を問いかけてくる。
私にとって、何ともやるせない気持ちにさせられた一冊である。
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