二月二十九日(水)雪。
淡雪の日と書き入れし獄日記。とは野村先生の句である。雪国の人や会社勤めの人たちには申し訳ないが、雨戸を開けると一面の雪景色・・・。これはもう飲むしかないと思うのは、浪人暮らしの詩特典である。金はもちん名誉も地位も、将来もない素浪人にとって、人生のうるおい、それは酒と友達と家族、これがあれば何も心配することはない。
家族が出払った後に、のんびりと朝湯にでも入って、温まってから雪見の酒でもやろうかと、つまみを考えながらメールを確認すると、そうか、今日が月末、原稿の締切日だ。雪見の酒をあきらめて、朝からパソコンに向かった。
三時に所用があったのだが、わが陋屋は高台にあるので、この雪では車がつかえない。後日と言うことにして、いそいそと原稿を書いた。めでたく五時には書き上げてから、風呂に入って、酒、酒、酒・・・。つまみは、昨日頂いた餃子に柳かれい。ふふふ芋焼酎をお湯割りでやった。下らんお笑いのアホ共が出ている番組などを見ずに、BSでイタリア紀行、ナポリとアマルフィーの景色に酔った。その昔、野村先生と訪ねたナポリの景色の中に、泊まったホテルや名所が写って嬉しくなった。そういえば、なぜかナポリに「かごしま」というバーがあった。何でも店の主人が、鹿児島にいたことがあって、その名前を付けたらしい。
「帰れソレント」の歌で有名なソレントの景色もあってますます嬉しくなった。観光馬車に乗ったことや、レモンの木が通りに沢山あったことを思い出した。また機会があれば行ってみたいなぁー。雪の日は、なぜか様々なことが脳裏に浮かぶ。