白雲去来

蜷川正大の日々是口実

今、野村先生の言葉を思い出す。

2012-03-18 15:42:31 | インポート

三月十七日(土)雨。

 朝から雨。暖かいのか寒いのか、全く分からん。自宅でお世話になった方たちにお礼の手紙や、機関誌の準備をしているうちに午後。三時に知人と約束をしていたので関内へ。仕事の相談を受けるが、とても私のような浪人風情には手のおえるような案件ではなく、何の役にも立たず、ただお話を聞くだけで終わってしまった。世間から「右翼」などというレッテルを貼られているせいもあってか、時々、今日のような仕事の相談を受けることがある。お世話になった方の紹介や、あるいは古い知人であったりするので、一応はお会いするが、到底、私などが口をはさむような話ではないことが多い。だから年中ピイピイしているが、まあ考えてみれば趣味で貧乏をしているのだから文句の言えた義理ではない。

 

 金などからきし無いが、財産と言えば友に恵まれていることだけか。現役でいられるのは後十年ほどだ。限られた時間の中で、気の合う人たちだけと会うのが精神衛生上最も良い。酒、米、肴と、社友や読者の皆さんがいなければ、とっくに飢え死にしているかもしれない。感謝しなければ。

 

 夜は、早めに風呂に入って、牛筋の煮込みを沢山作って酒の肴にした。それでも、今日は、ほんの少しだけ飲んで、DVDを二作品見た。「提督の戦艦」というロシアの戦争映画。と言うよりも、ロシア革命で翻弄される男と女のメロドラマ的な作品だったが、中々良かった。もう一本は、「マイ・ボーイ・ジャック」。これには「ハリポタ」の男の子が主演していた。第一次世界大戦の中の家族のドラマなのだが、これも良かった。

 

 いい映画、いい本。そして美味い肴に酒。さらに良い酒友がいれば、人生はバラ色である。今、日本人は有史以来の発展と繁栄の極みの中にいる。その繁栄や豊かさを維持するために、国は千兆もの借金をしてきて、さらに借金を重ねようとしている。原発がなくなると日本の工業界は打撃を受けると言うが、それならば、工業界に電気を優先すれば良い。夜中にやっている下らん通販のテレビや、番組をやめて、十二時以降にテレビを見たい人には有料とすれば良い。町もまだ明るすぎる。コンビニだって二十四時間営業している必要があるのか。パチンコ屋にも定休日を義務付けたら良い。私たちが享受している、この「豊かさ」は、きっと何かを犠牲にしているに違いあるまい。

 

 昨年の震災で、自宅に被害を受けた方々には、非常に申し訳ないが、「液状化現象」で傾いた建物をニュースで見たときに、頭に浮かんだのが、野村先生が、生前に常日頃口にしていた言葉だった。それは、「戦後の日本の繁栄とは、『砂上の楼閣の上に築かれた、魂無き繁栄である』」。野村先生がご健在であったならば、きっと原発に反対していたと確信している。「友よ山河を亡ぼすなかれ」と。


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