白雲去来

蜷川正大の日々是口実

浅田次郎先生と同じホテルに泊まった。

2012-04-05 18:14:45 | インポート

月三日(火)春の嵐。

 

 いやはや、この時期に台風のような嵐がやってきた。何か、地球がおかしくなっているのではないかと思ってしまう。その昔、中国の杞の国の人が、空が落ちてくるのではないかと、心配のあまり夜も眠れなかったそうだ。正に、杞憂であってほしいものだ。

 

 

 そんなわけで、どこにも出かけずに、夕方まで目一杯仕事をしていた。連載させて頂いている「実話時報」の、「回想は逆光の中にあり」の第三十四回をようやく脱稿した。今回のタイトルは、「マラケシュのホテルにて」と言うもの

 

 過日、沖縄に行く際に、羽田で手荷物をチェックしたら、飛行機の中や、旅先のホテルで読む本を持ってくるのを忘れてしまった。仕方がないので空港の書店で買い求めたのが、浅田次郎の「つばさよつばさ」(小学館文庫)。JALの機内誌の「SKyward」に掲載されている同名のエッセイをまとめたものだ。これ以上旅の供にふさわしい本はないと嬉しくなった。

 

 機中で、頁をめくってみると、「マラケシュのテラスにて」というタイトルが目に入った。読んでみると、モロッコのマラケシュのホテル、ラ・マモーイヤに泊まったことや、ヴェネツィアのホテル、ダニエリなどの事が書いてあった。その二つのホテルは、野村先生のお供をして、イタリアとモロッコに行った時に泊まったことのあるホテルだ。大好きな作家、浅田先生も、同じホテルに泊まったのかと思うと、嬉しくなった。だから、「時報」の連載にもそのことに触れて書かせて頂いた。

 

 ラ・マモーイヤは、ヒッチコックの映画「知りすぎた男」の舞台にもなった伝統的な宮殿ホテルで十二ヘクタールにおよぶ広大な森と庭園の中にある。世界中のセレブが憧れる屈指のこの超高級ホテルには、一九二五年の開業以来、多くの著名人を虜にした。かのチャーチルは政界引退後、特にこのホテルを愛し、彼が泊まっていた部屋は今でもチャーチルスイートと命名され、その名残を留めている。窓越しには、標高四千メートルのアトラス山系の山々や延々と続くオリーブ畑が一望できる。

 

34300033※ラ・マモーイヤのロビーにて。

 

 ヴェネツィアのダニエリは、アンジェリーナ・ジョリーの主演映画「ツーリスト」で、舞台になったホテルである。このホテルの屋上のテラスでサンセットの時にディナーをとる、と言うのがヴェネツィアの最高の贅沢なのである。今更ながら野村先生に感謝しなければ。

41850018※ダニエリの入口にて。

 

 

 


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人の一生は邂逅の一語に尽きる。

2012-04-05 07:44:59 | インポート

四月二日(月)曇り。

 最近は、フェイス・ブックを利用している。ミクシ―などと違って、書き込む人の顔と名前が分かるので安心である。ちなみに、私はハンドルネームとやらが大嫌いである。まあどこの馬の骨か分からない連中から、遠慮もなく入ってくるコメントに一喜一憂している奴もアホウだと思っている。

 

 大体、自分が安全圏にいて、正体もさらさずに、他人の批判をする連中の気持ちが分からない。私の、このブログも、どんなに良いコメントを頂いても、どこの誰だか分からない人からのものは、開かずに削除してしまう。そんなコメントをどれほど頂いても嬉しくもなんともない。迷惑なだけである。

 

 フェイスブックの方でも、顔写真や、プロフィールを隠しているような人とは、「友達」にならないようにしている。人に知られたくないならば、第三者に向かってアピールなどするなよ。と思って無視している。もう私も六十一歳だ。現役でいられるのは、あと十年ほどだ。そのわずかな時間の中で、つとめて嫌な奴(パソコンの中も含めて)とは、付き合わないようにしている。最近は、人を選んで、考えてお付き合いをするように心がけている。若い頃にどれほど仲よくしていても、今が悪ければ、自然にフェイド・アウト。(ヤバイ。歳と共に因業になる)

 

 今日は、珍しくフェイス・ブックで知り合った方と、初めてお会いした。いつも勉強になることを書いている人で、会社も横浜と言うこともあって、会社を訪ねた。会った瞬間から、オッ、この人とは美味い酒が飲めそうだと実感し、そのまま関内の居酒屋に流れた。人生の醍醐は、人との出会いに尽きる。正に人の一生は、邂逅の一語に尽きる。

 

 私の馴染みの「うさぎ屋」で「いいちこ」を一本空けてから、サリーの店に転戦。「黒霧島」を空けた時には、天下無敵の状態。

 

 初対面の方に、余り醜態を見せてはいけないので、ここで解散して、再会を約した。一人になって・・・。後はご想像に任せます。

 

 自宅に戻れば、上の娘が起きていて、「とーたん。また飲んでるの」と言うから、「ばぁーか。股で酒が飲めるかよ」と、いつものセリフをはいて、こそこそと自室に入った。久しぶりの大破・轟沈の夜でした。


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「永遠のゼロ」で泣いた。

2012-04-05 07:22:13 | インポート

四月一日(日)曇り。

 

 連日春の嵐のような日が続いている。春分の日を過ぎると、「春一番」とは言わないそうだ。それでも我が陋屋は風の音で眠れない日が続く。

 

 先日、古い読者で、千葉に住んでおられる中村さんから、「是非読んでください」と、「永遠のゼロ」(百田尚樹著・講談社文庫)をご恵送された。題名を見ると、何やらミステリーのようだが、この「ゼロ」とは零戦の事である。

 

 終戦から六十年目の夏のこと。特攻で戦死した祖父の生涯を姉と弟が調べることから物語は始まるのだが、読んでいるうちに、どんどんとのめりこんでしまった。最近、こんなにすごい小説を読んだことはない。空戦の場面や、戦記についても史実に基づき、非常に勉強になる。そして、クライマックスでは、泣けて仕方がなかった。本を読んで泣いたことなど、山崎豊子の「大地の子」以来の事である。最近読んだ本の中で、間違いなく最高の一冊だと思う。是非、是非とも読んで頂きたいと思っている。解説を入れると、六百頁もの本だが、初刷りが2007年の一月で、私が頂いた本は、22010年の5月のもので、五刷も版を重ねている。こういった本が多くの人たちに読まれていることを知ると、まだまだ日本は大丈夫だと思ってしまう。本当に、良い本でした。九百円で感動を得られることなど、最近はまずない。

 

 いい本と巡り合ったときは、何か、本当に幸せな気持ちになる。夜は、原稿に向かった。久しぶりに休肝日とした。

Scan0006※是非読んでみて下さい。


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