一月十三日(水)晴れ。
あれから二十九年か・・・。昭和六十二年の今日、横浜は昨夜からの大雪で銀一色の世界となっていた。いつか読んだ二二六事件を扱ったコミックに、栗原安秀少尉が立ち並ぶ兵を前にこう訓示する。「これよりご聖断を仰ぎ、妖雪を払い、昭和維新を断行する」。めったに降らない雪を見ると、いつもこの栗原少尉の言葉が浮かんでくる。
この雪のせいで道路が渋滞し、予定の時間より大幅に遅れて目的の家に到着した。「留守を知っていて行った」と直後に揶揄されたが、幾ら大雪が降ったとしても遅れたのには言い訳がつかない。「都心ではサラリーマンが一生かかっても一坪の土地さへ手に入れることが出来ない状況を招いた」として当時の、地上げ、マネーゲームに狂奔する世相を糾弾したが、若気の至り、だったのかもしれない。
その時に、何気なくテレビを点けたら、ニュースでヘリコプターからの映像が映り、「右翼が人質を取って立てこもっている」というテロップが流れていた。音声は上空のヘリコプターの騒音で全く聞こえず、そのテロップを見た時に「へぇー、同じことをやっている連中がいるんだなぁー」と感心していたら、何とそれは我々のことだった。自分たちのやっていることをリアルタイムで見る。何かとても不思議な感じがしたことを良く覚えている。きみまろではないが「あれから三十年」にもなろうとしている。
以来、自分の中で、何がどう変わったかは分からないが、恩師の何分の一かの追体験をすることにより、多少なりとも運動家としての基礎が確立されたと思っている。
事務所に行き、雑事を済ませて自宅に戻ると、盟友から思いがけない「お見舞い」の品が届いていた。以前から欲しかった「松竹映画シネマクラシック―戦争映画名作選・全十巻」である。「寝てばかりいては退屈だろう」との気遣いに感謝する。この人は、いつも思いがけずに嬉しいサプライズをしてくれる。私の健康についてもそうだ。感謝しても余りある。
「戦争映画名作選・全十巻」の中で一番見たかったのが、昭和十八年に公開された松竹初の航空映画『愛機南へ飛ぶ』である。その中で使われたのが名曲『索敵行』である。この歌は、中村武彦先生が『日本魂(やまとたましひ)の歌』として歌詞を変えて作詞なされたのが民族派内で愛唱されている。早く体調を回復させて、好きな酒と肴とを相手に映画を見ながら「索敵行」を歌いたいと思っている。
夜は、月に一度の「蜷川政経懇」を尼野保君が新しく弘明寺商店街に開店した炉端焼き「花笠」にて開催した。何と、十代からの友人である水原広雅氏が手伝いをしていた。様々なつまみを堪能してから有志らと関内に転戦。今年初めての酒である。酒の勢いを借りて体調を戻そうと努力した。
あれから二十九年か・・・。昭和六十二年の今日、横浜は昨夜からの大雪で銀一色の世界となっていた。いつか読んだ二二六事件を扱ったコミックに、栗原安秀少尉が立ち並ぶ兵を前にこう訓示する。「これよりご聖断を仰ぎ、妖雪を払い、昭和維新を断行する」。めったに降らない雪を見ると、いつもこの栗原少尉の言葉が浮かんでくる。
この雪のせいで道路が渋滞し、予定の時間より大幅に遅れて目的の家に到着した。「留守を知っていて行った」と直後に揶揄されたが、幾ら大雪が降ったとしても遅れたのには言い訳がつかない。「都心ではサラリーマンが一生かかっても一坪の土地さへ手に入れることが出来ない状況を招いた」として当時の、地上げ、マネーゲームに狂奔する世相を糾弾したが、若気の至り、だったのかもしれない。
その時に、何気なくテレビを点けたら、ニュースでヘリコプターからの映像が映り、「右翼が人質を取って立てこもっている」というテロップが流れていた。音声は上空のヘリコプターの騒音で全く聞こえず、そのテロップを見た時に「へぇー、同じことをやっている連中がいるんだなぁー」と感心していたら、何とそれは我々のことだった。自分たちのやっていることをリアルタイムで見る。何かとても不思議な感じがしたことを良く覚えている。きみまろではないが「あれから三十年」にもなろうとしている。
以来、自分の中で、何がどう変わったかは分からないが、恩師の何分の一かの追体験をすることにより、多少なりとも運動家としての基礎が確立されたと思っている。
事務所に行き、雑事を済ませて自宅に戻ると、盟友から思いがけない「お見舞い」の品が届いていた。以前から欲しかった「松竹映画シネマクラシック―戦争映画名作選・全十巻」である。「寝てばかりいては退屈だろう」との気遣いに感謝する。この人は、いつも思いがけずに嬉しいサプライズをしてくれる。私の健康についてもそうだ。感謝しても余りある。
「戦争映画名作選・全十巻」の中で一番見たかったのが、昭和十八年に公開された松竹初の航空映画『愛機南へ飛ぶ』である。その中で使われたのが名曲『索敵行』である。この歌は、中村武彦先生が『日本魂(やまとたましひ)の歌』として歌詞を変えて作詞なされたのが民族派内で愛唱されている。早く体調を回復させて、好きな酒と肴とを相手に映画を見ながら「索敵行」を歌いたいと思っている。
夜は、月に一度の「蜷川政経懇」を尼野保君が新しく弘明寺商店街に開店した炉端焼き「花笠」にて開催した。何と、十代からの友人である水原広雅氏が手伝いをしていた。様々なつまみを堪能してから有志らと関内に転戦。今年初めての酒である。酒の勢いを借りて体調を戻そうと努力した。