三月十九日(月曇り。
今日の産経の「正論」は出色だった。先崎彰容(せんざきあきなか・日大教授)氏の「この荒野で君はまだ戦えるのか」というもので、西南戦戦争の考証である。(詳しくは、ウェブサイトで読んで頂きたい)平成七年三月に、西南戦争の激戦地田原坂を訪れた江藤淳は、思いがけなく、田原坂公園にひっそりとたたずむ蓮田善明の歌碑に江藤は衝撃を受けたそうだ。
ふるさとの 驛におりたち 眺めたる かの薄紅葉 忘らえなくに
「若年の三島由紀夫を見いだし、『花ざかりの森』の文芸誌掲載を実現した蓮田の歌碑は、はからずも西郷隆盛ー蓮田善明ー三島由紀夫という近代日本の歴史を考える一つの水脈の存在をはっきりと告げ知らせていた。西郷は西南戦争で官軍に敗れ、蓮田は敗戦の報を聞いて、ジョホールバルの地で自殺を遂げた。そして三島は、明治以来の近代化を全否定すべく、自衛隊に決起をうながし鬼籍に入った…。
江藤は西郷隆盛のなかに、普遍的価値への抵抗の精神を見いだした。確かに世界は帝国主義の時代、植民地獲得のための膨張主義の時代に入ている。しかしだからといって、日本人自身がやすやすとこれまでの価値観を投げ捨て、喜々として文明の輸入に明け暮れる必要はないではないか。たとえ文明の導入が必然だとしても、最後尾からついていく精神の構えをとるべきではなかったか。
そう思う江藤にとって、西郷に比類される人物こそ、蓮田であり三島であった。では彼らが不在の現在、いったいこの国はどんな風景になっているだろうか。荒涼とした精神風景があるだけではないのか。この荒野で私たちは、何をなすことができるだろう」。
根っからのアホなので、これを読んだ時の感激を上手く表現できない。とにかく全文を読んで頂くことに尽きるが、先崎氏が上梓した『未完の西郷隆盛』(新潮選書)を早速購入したいと思っている。
一日事務所で仕事。夕方、長女とファーストキッチンでお茶。晩酌の肴を買って帰宅。安物の「カツオのタタキ」で独酌。お供は「農林二号」。美味しすぎて、四合瓶を空けそうになった。
今日の産経の「正論」は出色だった。先崎彰容(せんざきあきなか・日大教授)氏の「この荒野で君はまだ戦えるのか」というもので、西南戦戦争の考証である。(詳しくは、ウェブサイトで読んで頂きたい)平成七年三月に、西南戦争の激戦地田原坂を訪れた江藤淳は、思いがけなく、田原坂公園にひっそりとたたずむ蓮田善明の歌碑に江藤は衝撃を受けたそうだ。
ふるさとの 驛におりたち 眺めたる かの薄紅葉 忘らえなくに
「若年の三島由紀夫を見いだし、『花ざかりの森』の文芸誌掲載を実現した蓮田の歌碑は、はからずも西郷隆盛ー蓮田善明ー三島由紀夫という近代日本の歴史を考える一つの水脈の存在をはっきりと告げ知らせていた。西郷は西南戦争で官軍に敗れ、蓮田は敗戦の報を聞いて、ジョホールバルの地で自殺を遂げた。そして三島は、明治以来の近代化を全否定すべく、自衛隊に決起をうながし鬼籍に入った…。
江藤は西郷隆盛のなかに、普遍的価値への抵抗の精神を見いだした。確かに世界は帝国主義の時代、植民地獲得のための膨張主義の時代に入ている。しかしだからといって、日本人自身がやすやすとこれまでの価値観を投げ捨て、喜々として文明の輸入に明け暮れる必要はないではないか。たとえ文明の導入が必然だとしても、最後尾からついていく精神の構えをとるべきではなかったか。
そう思う江藤にとって、西郷に比類される人物こそ、蓮田であり三島であった。では彼らが不在の現在、いったいこの国はどんな風景になっているだろうか。荒涼とした精神風景があるだけではないのか。この荒野で私たちは、何をなすことができるだろう」。
根っからのアホなので、これを読んだ時の感激を上手く表現できない。とにかく全文を読んで頂くことに尽きるが、先崎氏が上梓した『未完の西郷隆盛』(新潮選書)を早速購入したいと思っている。
一日事務所で仕事。夕方、長女とファーストキッチンでお茶。晩酌の肴を買って帰宅。安物の「カツオのタタキ」で独酌。お供は「農林二号」。美味しすぎて、四合瓶を空けそうになった。