白雲去来

蜷川正大の日々是口実

刑務所からの脱走は、刑務官への意趣返しかも。

2018-04-11 11:17:00 | 日記
四月十日(火)晴れ。

海外に出た時に、どんな本を持って行くかと聞かれたら、即答できる。野村先生の『銀河蒼茫』と『唐詩選』の二冊である。俳句や漢詩はいい。読んでいて、目の前にその景色が実感できるからである。といっても大陸に行ったのは上海だけだが、別離、望郷、左遷されて都落ちする嘆き…の凝縮された『唐詩選』を声を出して読んでいると、作者や対象人物の思いを実感できる。

町を歩いていると、すでに桜は散り、葉桜となった青が日に眩しい。野村先生の「葉桜の風の言葉は独り聴く」が好きだ。勝手な解釈だが、「一人」とせずに「独り」と書く所に、獄中の寂しさが感じられてならない。獄中では、ほとんどの場合「一人」ではなく「独り」なのだ。ゆえに一人の居房を「独房」と言う。

松山の刑務所施設である大井造船の作業所から脱走した受刑者が逃走を続けている。どんな理由で脱走したは分からないが、自由を求めたり、望郷の念にかられた、と言うのではないと思ってしまう。狭い日本に、そうそう逃げおおせる場所はない。多分、看守へのあてつけではないだろうか。脱獄王と言われ、吉村昭の『破獄』のモデルとなった白鳥由栄は、二十六年間もの服役中に四回の脱獄を決行、累計逃亡年数は三年にも及んだが、その脱獄のきっかけは看守との諍いにあり、その看守の当直の時をねらって決行したという。

松山刑務所から逃走した受刑者は、逃走用の車を拝借するときも「書置き」をするくらいだから、本気で逃げることよりも、看守に対する意趣返し、という意味合いが強いのではないだろうか。

久しぶりに禁酒。中々寝付けなかった。

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いわゆる「右翼」の本。

2018-04-11 10:39:06 | 日記
四月九日(月)晴れ。

「右翼・民族派」を解説、あるいは特集した本は数多ある。時代や誰をどう取り上げるのか、また単なる「事件史」を羅列したもの。「民族派学生運動-新右翼」を取り上げたもの。最近では、山平重樹氏の『ドキュメント新右翼』や鈴木邦男氏の『新右翼-民族派の歴史と現在』などである。いずれ、そう言ったものを、戦前・戦後に分類して紹介してみたいと思っている。

またほとんど、一般の人たちには知られていないが、民族派の活動家の諸先輩が上梓したものもかなりある。入手は困難だが、私の書棚にはかなり揃っているので、これも紹介してみたい。右翼・民族派の研究をしてみたいと言う奇特な人がいるのならば、きっと研究材料となるものと思っている。例えば、「竹橋事件」で有名な、名草杜夫 著の『右翼浪人登場・岡本柳之助の光と影』などは隠れた名著である。岡本は、紀州藩出身の国粋主義者、大陸浪人、陸軍少佐、朝鮮宮内府兼軍部顧問。竹橋事件に関与して官職剥奪。乙未事変を主導。辛亥革命が勃発すると上海に渡り、当地で客死した。(ウイキ)。筆者の名草杜夫とは、愛国青年同志会を主宰していた渡瀬修吉先生のペンネームである。 こういった先人の事績を紹介することも、大切なことであると思っている。

夕方から、東京行き。お世話になっている方に、今年の群青忌のスケジュールを報告。激励とアドバイスを頂く。終了後に、赤坂の「ざくろ」にて食事をご馳走になる。衷心より感謝する次第です。

コメント (2)
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