白雲去来

蜷川正大の日々是口実

「凄いホテルばかり」と、思わず添乗員がつぶやいた。

2023-03-10 18:46:30 | 日記

3月8日(水)晴れ。

朝食は、サンマの干物、焼きのり、豆腐とワカメの味噌汁。昼は抜いた。夜は、ミスジ肉、鶏肉と大根の煮物、キャベツのコールスローサラダ。お供は「黒霧島」。酔狂亭にて独酌。

古い話で恐縮だが、ダイアナさんが最後に泊まっていたのがパリのオテル・リッツ。映画「真昼の情事」の舞台になったり、ココ・シャネルが愛したホテルとしても有名である。野村先生のお供をして、ローマ、シチリア、パリへの旅をしたのは平成4(1992)年の9月4日から18日のこと。この時の宿となるホテルの一覧を見たジャルパックの添乗員さんが、「こんなに凄いホテルに泊まれるなんて感激です」と思わずつぶやいた。それまで、ほとんど海外旅行などに行ったことのなかった私には、添乗員さんの云う「凄いホテル」という言葉に全く反応しなかった。それらのホテルの高級さを知ったのは、恥ずかしながら随分と後年の事である。

ローマは、スペイン階段の上にある「ハスラー」、ナポリでは「卵城」の目の前の「エクセルシオール」、ヴェニスは、アンジェリーナジョリーの主演映画「ツーリスト」に出てきた「ダニエリ」、シチリア島のタオルミーナでは、やはり映画「グランブルー」に使われた「サン・ドミニコ・パレス」、パリは、前述の「オテル・リッツ」である。当時、カメラはまだフィルムで、ビデオも8ミリカセットだった。今のようにデジタルで好きなだけ撮って、あとで処理できるなんて言う贅沢なことは出来なかった。しかし、撮った枚数が少ないからこそ、心の中に思い出としてしっかりと焼き付いている。恐らく、もう二度と訪れることはないだろうから、余計に、強烈に残っている。※夕暮れのローマ、ホテル・ハスラーの前で。私は42歳だった。


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マラケシュのホテル、ラ・マモーニア。

2023-03-10 18:06:26 | 日記

3月7日(火)晴れ。

朝食は、近くの中華材料屋さんの餃子、青さの味噌汁。昼は抜いた。夜は、上海焼きそば、蒸し鶏、とーふのバター焼き。お供は「黒霧島」。酔狂亭にて独酌。

随分前に読んだ浅田次郎氏の『つばさよつばさ』の中に、平成五年の夏に野村先生のお供をして旅したモロッコは、マラケシュで泊ったホテルのことが書いてあり、感慨深かった。少し引用してみる。「ただいまマラケシュのラ・マモーニアでこの原稿を書いている。かつてウインストン・チャーチルが、『君を世界一美しい所に連れて行ってやる』と言ってルーズ・ベルトを伴ったホテルだそうだ。その逸話を読んでからというもの、『マラケシュのラ・マモーニア」』は永らく私の憧れだった。なるほど聞きしにたがわぬホテルである。優雅で精緻で、そのくせ過剰なものが何ひとつとしてない。人類が何千年にわたって試行錯誤をくり返してきた。『美しく住まう場所』が、一九二〇年代に至ってついに完成したといわんばかりの、矜り高きアール・デコである。地平線まで続くオリーブ畑のただなかに、あたかも蜃気楼のごとくにこのホテルは佇んでいる。チャーチルの強弁癖は先刻承知の上だが、世界一であるかどうかはさておき、ルーズベルトもここに誘われて損はなかったであろう。」

浅田氏が長い間憧れていたマラケシュのラ・マモーニアに泊まったのは、平成五年の八月十四日と十五日の二日間であった。マラケシュとはモロッコの中央部にある都市で、東西二㎞、南北三㎞の城壁に囲まれた旧市街(メディナ)と、旧市街の西に広がる新市街からなる街である。新市街の西端にマラケシュ駅が位置する。旧市街は北アフリカでも最大の規模であり、王宮のほか、バイア宮殿、エルバディ宮殿、サアド朝の墳墓群、ベルアベ陵、アグダル庭園などを含む。マラケシュ駅はターミナル駅であり、北に向かってカサブランカ、東へ折れてラバト、フェズへ延びる。町の北十㎞の位置に国際空港が広がる。ジャマ・エル・フナ広場の喧騒が忘れられない。


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