白雲去来

蜷川正大の日々是口実

『ハマのドン』を観た。

2023-05-18 17:44:23 | 日記

5月10日(水)晴れ。

朝食は、「ちまき」、アサリの味噌汁。昼は抜いた。夜は、鶏手羽の蒸し物、から揚げ、トマトと新玉ねぎのサラダ。お供は「黒霧島」。酔狂亭にて独酌。

午後から、伊勢佐木町にある「シネマリン」と言う映画館に『ハマのドン』を見に行く。平日の午後二時からと言うことでゆっくり観ることが出来ると思っていたら、とんでもなかった。120席ばかりの小劇場だったが満員で、もう少し遅かったら席が無くなる所だった。お客さんの殆どが私と同じシニア世代。入場券を買うときに、何も言わないのに「シニア料金ですね」。1200円なり。一目でジジイと見られたことに、まあ当たり前なのだが、ちょっと複雑な気持ちになった。60代の初めの頃は、「シニア料金で」と言うと、「証明するものはありますか」などと聞かれることもあったが、今では、こちらが何にも言わなくても、黙ってシニア料金にしてくれる。

映画は、2019年8月、"ハマのドン”こと藤木幸夫が横浜港をめぐるカジノ阻止に向けて立ち上がった。御年91歳。地元政財界に顔が効き、歴代総理経験者や自民党幹部との人脈、田岡一雄・山口組三代目組長ともつながりがあり、隠然たる政治力をもつとされる保守の重鎮だ。その藤木が、カジノを推し進める政権中枢に対して、真っ向から反旗を翻した。今の時代が、戦前の「ものを言えない空気」に似てきたと警鐘を鳴らし、時の最高権力者、菅総理と全面対決した。決戦の場となったのは横浜市長選。藤木が賭けたのは、住民投票を求める署名を法定数の3倍をも集めた市民の力だった。裏の権力者とされる藤木が、市民とカジノ反対の一点で手を結び、時の総理と官房長官が推し進めた「カジノ誘致」の国策阻止を成し遂げた。(解説より)

映画は、藤木先生の人となりを良く描いたものであり、とても見ごたえがあった。驚いたのは、映画が終了した時に、多くの観客から拍手が起こったことだ。映画で拍手が起こるなんて本当に久しぶりの事だ。覚えている限りでは「健さん」の任侠映画以来だ。パンフを買ったが、中華街の「清風楼」の社長さんの「港が愛したシウマイ」という文章がとても良かった。監督が松原文枝さんというテレビ朝日の「ニュースステーション」「報道特集」のプロデューサーという才媛ゆえか、コメントを寄せている人の多くが、前川喜平、望月衣塑子、金平茂紀といった札付き、いや筋金入りのリベラルばかりなのは、むべなるかな。それでも藤木先生の何物にも動じない反骨、反権力の姿に、リベラルの人達も魅了されたのに違いない。いい映画だった。


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