四月十五日(金)曇り。
ロシアなどが、福島の原発事故において、放射性物質を含んだ水を海に流したことに対して文句を言っているらしいが、片腹痛いとはこのことだ。
1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故は、後に決められた国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7の参考事例として知られている。チェルノブイリの4号炉は炉心溶融(メルトダウン)ののち爆発し、放射性降下物がウクライナ・白ロシア(ベラルーシ)・ロシアなどを汚染した。事故後のソ連政府の対応の遅れも相まって被害が拡大・広範化し、史上最悪の原子力事故となった。
この規模の原発事故は発生時点では他に例がなく、当時は原子力開発の歴史上で最悪の事故と言われていた。しかし、この最悪な事故が起きた時、当時のソ連は一切の公表をしなかった。二日後になって、スウェーデンのフォルスマルク原子力発電所にてこの事故が原因の放射性物質が検出され、世界中がパニックとなって、ようやく、ソ連も事故の公表に踏み切った。当時のスウェーデンの科学者は核戦争が起きたと本気で考えたほどの事故だった。
また最近、映画にもなった有名な「カティンの森事件」。この事件は、第二次世界大戦初期に、ソ連のスモレンスクにほど近いカティンの森で、約25,000人ものポーランド人の戦争捕虜・インテリ・軍幹部などが、ソ連のNKVD(ソ連の内務省、秘密警察)によって、銃殺され埋められたのである。しかし、ソ連は、これをナチスドイツの仕業と言って、認めようとはしなかった。
2009年になって、ようやくロシアのプーチン首相はポーランドを訪問した際、事件を「犯罪」と呼び、翌年の4月7日、プーチン首相はポーランドのトゥスク首相と共にスモレンスク郊外の慰霊碑に揃って跪き、さらに事件を「正当化できない全体主義による残虐行為」とソ連の責任を認めた。ただし、ロシア国民に罪をかぶせるのは間違っていると主張し、謝罪はしていないのである。
こんな事は枚挙に暇がない。例えば、日本の原発事故をよそに、ロシア軍は、偵察機を度々日本の領空に接近させ情報収集を行なっている。こんな国から文句を言われる筋合いはない。