なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

浮腫と冷感

2021年01月21日 | Weblog

 2週間前に、知的障害で施設入所中の74歳男性が浮腫で内科新患を受診した。

 受診の2週間前から四肢の浮腫が出現していた。両下肢の皮膚の掻痒感があり、一部掻把していた。足背から浸出液が出ている。四肢は冷感があり、色調は紫がかった蒼白だった。

 内科の若い先生が診察して、一通りの検査をしていた。浮腫の原因として、心・腎・肝・甲状腺は否定的だった。炎症反応が白血球5900・CRP1.9と軽度にある。有意な貧血・低蛋白血症はなかった。

 浮腫は手足だけではなく、前腕・下腿にもある。相談されて、RS3PEも思い浮かぶが違うようだ。リウマチ性多発筋痛症らしい症状もない。蜂窩織炎ではない。

 皮膚科紹介で診てもらったが、皮脂欠乏性湿疹の軟膏が処方されただけだった。利尿薬を処方するのはどうなのか。とにかく四肢の冷汗が目立つが、患者さんの訴えがよくわからない(気にしてない?)。

 どういう機序がわからず、治療も思い浮かばなかった。末梢循環不全としてリマプロストアルファデクス(オパルモン)を処方して経過をみることにした。

 その後、皮疹は皮膚科の軟膏(ヒルドイドにステロイドを混合)で軽快していた。両下肢は蒼白だったのが、赤みがさしたように見える。浮腫は少し軽減していた。

 処方を追加して、もう2週間経過をみることにした。これはどういう病態なのだろうか。患者さんはごく簡単な会話はできるが、症状をうまく表現できない(自分からはしゃべらない)。

 

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新型コロナウイルス感染症~1週間で悪化

2021年01月20日 | Weblog

 1月14日に入院した新型コロナウイルス感染症の88歳男性の経過。前日の1月13日に濃厚接触者(息子の妻が陽感染)としてコロナのPCR検査を受けて、翌14日に陽性と判明した。同日保健所の指示で入院となった。

 入院時には無症状だったが、白血球6200・CRP10.9と炎症反応の上昇が目立った。コロナとしてはCRP10はかなりの値だ。胸部CTで両側肺野にごく淡いすりガラス陰影が多発していた。

 無症状だとPCR検査を提出した日が発症日の扱いになる。陰影も初期の陰影であり、CRP値からみて経過中に悪化すると予想された。

 数日無症状で経過して、むしろ病室内で数回転倒したことの方が問題だった。先週末に37℃台の発熱が出てきた。酸素飽和度は95~99%(室内気)で推移して低下しなかった。

 1月19日に1週間目に血液検査を再検した。白血球6000・CRP11.5と漸増していた。その日に38℃の発熱があった。午後に胸部CTを再検すると、両側肺にすりガラス陰影が広がっていた。

 

 安静時の酸素飽和度は正常域だが、動くと息切れがある。倦怠感も出てきていて、入院時よりも受け答えが鈍い。8日目の今日からデキサメサゾンを開始することにした。

 

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アルコール性非代償性肝硬変

2021年01月19日 | Weblog

 病棟で外科医が消化器科医に相談していた。地域の基幹病院に回してはという声が聞こえた。

 患者さんはアルコール非代償性肝硬変の48歳男性だった。アルコール依存症専門病院に入院したこともあるが、アルコールがやめられなかった。内科医院に通院していて、腹水増量で地域の基幹病院消化器内科に紹介された。

 そちらの病院ともめたらしく、行きづらくなり、2年前の秋に当院の内科新患を直接(紹介状なしで)して通院を希望した。担当は大学病院から来ている先生で(バイト)、かかりつけ医から紹介状をもって受診するようにと伝えていた。

 昨年の6月に通院している内科医院からの紹介状を持って受診した。それ以来当院の内科外来(大学病院の肝グループから交代で来ている)に通院していた。

 腹水は利尿薬で軽快消失していた。食道静脈瘤があるが、F1・CB・RC(ー)で処置をするほどではなかった。アルコールは週3回焼酎を飲んでいた(本人の申告)。

 今回は日曜日の夜間に、以前からある筋肉の痙攣様の痛みが悪化したのと不安感で受診していた。当直だった外科医(夜間は全科当直)が診て、長くは入院しないだろうということで自分が主治医で入院にしていた。

 友人ともめて、暴力を振るわれて骨折する被害を受けていた。地域の基幹病院に10日ほど入院して手術(腹腔内血種)も受けていた。それ以来、不安が続いて物音がするとおびえるようになった。

 外来で施行された腹部CTを見ると、肝臓表面の凹凸が明らかで、まさしく肝硬変だった。今どきはアルコール性肝硬変の患者さんは少なくなっているので、逆に貴重な症例?になる。

 当院は専門的な治療はできないが、患者さんとしては当院の「ゆるい感じ」が気に入って、受診してくるのだろう。

 

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新型コロナウイルス感染症~やっと解熱

2021年01月18日 | Weblog

 1月12日に入院した新型コロナウイルス感染症の43歳男性は、入院後も高熱が続いた。

 1月5日に咽頭痛が出現した。1月7日から高熱が出て、4日間高熱が続いた。1月11日に当院の救急外来(発熱外来)を受診した。日直は内科の若い先生で、コロナの抗原検査を提出して陽性と出た。

 入院患者さんの急変で病院にいたので、抗原検査陽性者が出ましたと相談された。コロナの患者さんとの濃厚接触歴はないそうだ。保健所にその旨を報告して、その日にPCR検査を提出した。

 翌1月12日にPCR検査陽性と判明して、新型コロナウイルス感染症と確定された。高熱が続いていたので、その日の午後に入院した。

 発症から8日目だったので、有意な肺炎を併発しているだろうと予想された。胸部CTで両側肺野にすりガラス陰影が多発していた。いかにもコロナの陰影だった。白血球5000・CRP4.3と炎症反応はさほどでない。

 

 発症から8日目で、ちょっと時期的に早いかとも思ったが、デキサメサゾンを開始した。入院後も高熱が続き、酸素飽和度が92%(室内気)となったので酸素吸入(1L/分)を開始した。

 1月13日、14日、15日と高熱が続いた。1月15日に血液検査の再検と、ちょっと早すぎるが胸部CTを再検した(土日の前に評価したかった)。

 白血球12300(デキサメサゾン後)・CRP4.3と炎症反応は同程度だった。胸部CTではすりガラス陰影が広がっていた。

 呼吸器外来に来てもらっている大学病院感染症科の先生に相談した。確かに陰影は広がっているが、酸素吸入は1L/分で中等症Ⅱにぎりぎり入るくらいになる。そのままデキサメサゾンを継続するしかない、ということだった。

 線状の引きつれた陰影は初期像ではなく、少し経過している時の陰影で、収束しているのかもしれないと言われた。感染初期にすぐに悪化する場合はすりガラス陰影が全体に広がるそうだ。この患者さんのような陰影は後になって悪化する時の陰影だという。

 デキサメサゾンが過剰な炎症を抑えきれていないが、そのうちに効いてくる時期がくる(らしい)。解熱する時にはスーッと下がりますから、とも言われた。

 病棟の看護師さんたちは急変するのではないかと不安な気持ちで診ていた。大学病院の先生の話を伝えて、診療情報提供書とCT画像のCD取り込みを行って、搬送時の準備をした。(準備をしていると案外使わないですむのでは、という変な占い的な気持ちで準備した)

 幸いに15日の夕方から解熱して、そのまま解熱した状態で週明けまで経過した。ようやく炎症が治まってきたのだろう。

 

 高熱を除けば、程度としては中等症Ⅱのそれも軽度な方になってしまう。この程度でハラハラしていてもしょうがないのだろうが、当院(当方の)の実力ではこうなってしまう。

 当院と同規模の他の郡部の病院では、外科の院長がひとりで新型コロナの入院をみているそうだ。よくやっているものだと感心する。少なくとも度胸は当方よりはるかにある(大学の同級生)。

 

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膵腫瘍

2021年01月17日 | Weblog

 水曜日の午後に腹痛の63歳男性が内科外来を受診した。12月半ばから腹痛(訴えは下腹部)があり、内科クリニックを受診していた。血液検査で異常がなく、整腸剤のみ処方されていた。

 症状が続いて、来週当院の消化器科外来に紹介されていた。症状が続くので、その前に直接受診してきた、という経緯だった。病院の外来は午前中だけなので、内科の若い先生が呼ばれて診察した。

 腹部CTで膵臓に腫瘤があった。肺野にも小結節病変が散在している。どうしましょうかと相談された。単純CTだけだったので、型通り造影CTを追加して、腫瘍マーカーも提出してもらった。

 腫瘍マーカーはCEAが6.3、CA19-9が208と上昇していた。膵癌で矛盾はない。肺の結節影は転移となる。

 造影CTをみると、膵体部から尾部にかけて低濃度の腫瘤がある。一瞬これは膵管?と思ったが、違うだろう。膵癌でいいのかもしれいが、形態がなんだか変だ。

 放射線科医(非常勤)が来ていたので、読影してもらった。最初は膵癌と肺転移と読影されたが、その後連絡がきて、膵臓に関してはIgG4関連疾患やリンパ腫も疑われるという。

 診断・治療については当院の手に余るので、がんセンターに紹介してもらうことにした。

 腹痛の程度が軽度ならば、原因不明でも数日でそのまま治ることも多いので、経過観察でいいと思う。腹痛が1週間程度で良くならなければ、CT・内視鏡で検査するしかない。

 肺疾患は胸部CTがなくても胸部X線でかなりわかるが、腹部単純X線は腸閉塞や遊離ガス以外はほとんどわからない。クリニックでもできる腹部エコーを加えれば、肝胆道系・腎臓の疾患はわかるが、膵臓・消化管は難しい。長引く腹痛はCT・内視鏡ができる病院でないと診断はできない。

 

 

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新型コロナウイルス感染症~親子で入院

2021年01月16日 | Weblog

 木曜日に新型コロナウイルス感染症の88歳男性と64歳男性が入院した。親子だった。

 息子の妻が火曜日にPCR検査を受けて、新型コロナウイルス感染症と判明した。クラスターの発生した銀行に勤務していた。地域の基幹病院に入院したそうだ。

 この親子は濃厚接触者(同居者)として水曜日にPCR検査を受けて、木曜日に陽性と判明したという経緯だった。父親は自称無症状で(微熱はある)入院を拒否した。保健所で説得して、息子と一緒ならということで入院に同意した。

 息子さんの方は微熱はあるが、元気でホテル療法の予定だったが、そういう事情でいっしょに入院となった。たぶん東京や当県でも県庁所在地では、いっしょにホテル療養だろう。

 年齢は気になるが、ADL自立ということだったので、受けることにした。入院前の検査をすると、入院が好ましい状態だった。

 

 88歳男性は血液検査で白血球6200・CRP10.9と炎症反応が予想よりずいぶん高かった。胸部CTでは両側肺にごく淡いすりガラス陰影が散在、というより多発していた。

 ご本人はけろっとしているが、経過をみないとどう変化するかわからないと思った。

 

 64歳男性はその日の朝に37.2℃の微熱があったが、その後は下がったと言っていた。こちらも元気で、入院中にテレビが見れるかどうか、インターネットがつながるかどうかを気にしていた(どちらもできます)。

 白血球4800・CRP4.1と通常の肺炎のある新型コロナの患者さんと同程度の値だった。両側肺の特に背側にすりガラス陰影が目立った。浸潤影様の陰影と少量の胸水もある。

 大学病院の先生(呼吸器外来に来ている)に診てもらうと、少し時間が経ったような陰影ではないか、といわれた。

 こちらも経過をみないと順調に経過するかどうかわからない。入院してみると、どちらも入院での経過観察相当なのだった。

 

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糖尿病、糖尿病腎症、ネフローゼ症候群

2021年01月15日 | Weblog

 水曜日に63歳女性が全身浮腫で外来を受診した。昨年7月以降、糖尿病・高血圧症の治療を中断していた。

 何度も治療を中断している患者さんなので、外来の看護師さんが自宅に電話していたはずだが、それでも来ないと連絡もしなくなっていた。

 顔・上肢・下肢に浮腫がある。胸部X線・CTで両側胸水が貯留していた。中断前から尿蛋白が増加してネフローゼを呈していたので腎性の浮腫かと思われたが、無痛性心筋梗塞から心不全を呈することもある。外来で一通り検査した。

 白血球7100・CRP0.7と炎症反応の上昇はわずかだった。2007年に右膿胸で地域の基幹病院呼吸器内科に紹介しているが、今回は違うようだ。

 降圧薬を中断しているので、血圧227/111mmHgと著明に上昇していた。心電図に虚血性変化なかった。BNP528pg/mlと上昇していて、心エコーでは高血圧性と判断される障害がある。

 BUN11.9・血清クレアチニン0.79(eGNR 56)とそれほど問題がないが、血清蛋白5.1g/dl・血清アルブミン2.2g/dlで尿蛋白21.75g/g・Crとネフローゼ状態だった。

 ネフローゼによる低蛋白+高血圧性心疾患と判断された。循環器科医には、主に腎臓ですねと言われた。腎臓内科医(今年度は大学病院から4か月交代で来ていた)に相談した。

 ARBと利尿薬で治療すれば、何とかなるでしょうと言われた。降圧薬はARB(アジルバ40mg/日)・Ca拮抗薬(ニフェジピン80mg/日)で以前から内服していた処方から増量したものだった。

 利尿薬はループ利尿薬(アゾセミド60mg/日)とサイアザイド系(トリクロルメチアジド2mg/日)でサイアザイド併用がいいそうだ。

 

 慢性アルコール性(石灰化)膵炎があり、膵性糖尿病になる。Cぺプチドは以前測定して、インスリン依存状態にあった。今回も無治療できているので、相当上昇しているかと思われたが、HbA!c6.9%と以外にも高くなかった。(これまでは中断後はHbA1c10%くらい)

 入院後は血圧が140程度になり、浮腫は軽減してきた。

 

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ピロリ除菌の効果

2021年01月14日 | Weblog

 昨年1月にしばらく胃内視鏡検査を受けていなかったので、病院の健診センターの人間ドックとして受けた。

 これで進行胃癌が発見されるとまずいなあと思ったが、幸い胃癌はなかった。萎縮性胃炎があり、過形成性ポリープが散在していた。

 過形成性ポリープの表面に血管が毒々しく見える。通常は食物でこすれて出血するとしても、たらりと出る(oozing)くらいだ。しかし以前に過形成性ポリープ内の小動脈から出血して、吐血した患者さんもいた。気持ちよくない。

 その後に、尿素呼気テストを受けて、ピロリ菌陽性と証明された。ボノサップ(タケキャブ20mg+アモリン750mg+クラリス200mgを朝夕2回)で除菌チャレンジした。

 いったんピロリ菌が消失しても、再度陽性になることもある。再検をちょっと忘れていたのもあるが、半年以上経過して尿素呼気テストを受けた。結果は陰性となっていた。ピロリ除菌成功だった。

 今日、病院の人間ドックで胃内視鏡検査を受けた。消化器科医が途中で内視鏡を介助の看護師さんに持たせて何かやっていた。なくなっている、という声が聞こえた。

 内視鏡終了後に説明を受けた。昨年見られた過形成性ポリープがほとんど消失して、一番大きかったポリープも表面の発赤程度になっていた。昨年の内視鏡の記録にあるポリープが見られないので、消化器科医は検査の途中に昨年の画像を確認していたのだった。

 いやあピロリ除菌は効きますねえ、という話になった。ただし萎縮性胃炎はあるので、毎年内視鏡健診を受けるようにとも言われた。

 

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脳幹梗塞

2021年01月13日 | Weblog

 昨日、前日からのふらつき・嘔吐・複視で85歳男性が内科新患を受診した。内科の若い先生が担当していた。複視は両眼性複視だった。

 頭部MRIの拡散強調画像で橋背側に高信号(ADC低信号)を認めて、脳梗塞を発症していた。意識は清明で麻痺はない。神経内科医に相談して、そのまま若い先生が担当して入院となった。

 急性期は抗血小板薬とエダラボンを投与して経過をみることにした。軽度の糖尿病(Hb6.8%)があるが、内科には通院していない。感冒で内科医院を受診することくらいだったので、血糖は検査していないのだろう(無投薬で経過観察もある値)。血圧は160前後で、急性期は降圧薬を処方しないで経過をみる。

 症状が軽減してくれるといいが、再発予防が目的になるだけかもしれない。

 

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転送した新型コロナウイルス感染症

2021年01月12日 | Weblog

 先週の水曜日に入院した新型コロナウイルス感染症の50歳男性は、入院後も39℃の高熱が続いていた。

 1月4日に発熱・鼻汁・咽頭痛で近くの内科医院を受診した。新型コロナのPCR検査を受けて、翌5日に陽性と判明した。感染経路は不明ということになっている。

 高熱が続くということで、6日当院の感染病棟に入院した。白血球5000・CRP1.1と炎症反応は軽度だった。胸部CTで両側肺野にごくごく淡いすりガラス陰影が散在していた。(淡すぎて放射線科の読影レポートでは指摘されていないが、当方と放射線科の技師さんはあると判断。)

 入院したのが発症4日目で39℃の高熱だった。酸素飽和度は正常域だったが、入院時からいやな感じはしていた。

 入院後も39℃の発熱が続き、1月9日(発症6日目)に画像を血液検査を再検することにした。白血球4300・CRP6.3と悪化はしていたが、これまで肺炎でデキサメサゾンを使用した患者さんたちよりは軽度だった。

 胸部CTは両側肺野にすりガラス陰影が顕在化して多発していた(入院時から多発はしていたが)。重症相当ではない。

 酸素飽和度が93%(室内気)で、食事を片付けるのに病室内を歩くと90%をきった。酸素吸入1L/分で開始したが、その日のうちに2L/分、3L/分と増加していった。

 県のウイルス感染症の本部に連絡した。その時点では中等症相当ではあるが、軽快するようすがまったくないことから、重症化した場合に対応できる病院に転送したい、と相談した。

 重症でないと搬送できないことになっていますと言われた。確かにそれはそうだった。それでも高次医療機関に連絡して、最終的には大学病院で診てもらえることになった。

 その日は無理で、翌10日に搬送と決まった。その日の夜も39℃の発熱が続いた。アセトアミノフェンも効かなくなっていた。高熱が継続して、精神的にも耐えられないという訴えがあった(大学へ搬送といわれたのもショックだろう)。夜間でもあり、デパス0.5mgを内服してもらった。少し寝られたそうだ。

 10日の搬送日は発症7日目にあたる。発熱39℃。酸素3L/分で酸素飽和度は保っているので中等症Ⅱ相当ではあるが、病状はまさに現在進行形(右肩上がり)だった。

 中等症相当で高次医療機関に搬送したのは、県内で初めてかもしれない。弱気な判断として非難されても仕方ないが、いよいよ重症化してから搬送の手配をするよりは、患者さんにとってはいいと思う。(感染病棟の看護師さんたちも、急変するのではないかと、かなり怖い思いで診ていた)

 

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