なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

対側損傷contrecoup injury

2021年04月20日 | Weblog

 昨日の夕方に、駅で転倒して頭部を打撲した85歳女性が救急搬入された。救急当番だった内科の若い先生が対応した。

 自宅のある県庁所在地から電車で当市に来て、転倒して左後頭部を打撲した。めまい(浮遊感)がして、救急要請した。意識消失はなかった。

 搬入時、意識清明で神経学的所見はなかった。バイタルはむしろ血圧高値だった。ふだんは高血圧症・糖尿病・脊柱管狭窄症・骨粗鬆症で通院している。

 頭部CTで左後頭部にこぶができているが、その部位の脳所見はない。体側の右前頭部の濃度が粗雑になっているように見える。

 頭部MRIで確認していて、薄く硬膜下血種が形成されていた。さらに右前頭部に低濃度と高濃度のまだらな病変があり、脳挫傷が疑われる。

 当市にはたまたま来ただけなので、居住地にある医療センター脳外科へ搬送となった。診療情報提供書には保存的治療になると思われるが、脳外科で診ていただきたいと記載していた。

 直撃損傷coup injury(外力が直接加わった脳損傷)ではなく、対側損傷contrecoup injury(外力が加わった部位と反対の部位に生じる脳損傷)になる。

 

 今年度来られた内科の若い先生は自治医大の義務年限6年目なので、診療で訊かれることはまったくない。昨年度の3年目の先生だと、いったんは相談してから対応していた。

 放射線科の読影レポートは、単に硬膜下血種とだけあった(大学病院放射線科の遠隔診断)。この画像だと、脳挫傷があると思うが。

 

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新型コロナウイルス感染症で死亡

2021年04月19日 | Weblog

 新型コロナウイルス感染症で入院していた90歳代の女性2名は、先週金曜日の段階で酸素吸入10L/分(リザーバー付き)になっていた。

 県内の重症者が増えている。県のコロナ対策本部に連絡したが、90歳代では通常の肺炎で重症化しても大抵は人工呼吸まではしないことから、重症例を扱う病院への搬送は難しいと言われた。

 家族と相談して、酸素吸入とステロイド・抗菌薬・抗凝固薬などの投与で治療を継続して、心肺停止時はDNARの方針となった。

 もし家族が大学病院での集中治療を望まれたら、直接コロナ対策本部の先生につないで相談してもらうつもりだった。1名の家族(複数の息子と孫)は医療関係者なので、希望されるかもしれない思ったが、そこまでは言われなかった。(ECMOまで希望されたらとも思った)

 土日というか、金曜日の夜間にでも急変するだろうと予想されたが、何とか週明けまでもった。1名は下顎呼吸の状態で、昼過ぎに亡くなった。当院で新型コロナウイルス感染症の患者さんが亡くなったのは初めてになる。

 入院時にはすでに上昇していたDダイマー・血清フェリチン・LDHがさらに増加していった。まさに重症化マーカーは正しいと証明する経過となった。

 もう1名は少し軽快しているかもしれないが、まだまだ危ない状態は続いている。

 

 本来当院は軽症から中等症までの対応で、重症化した場合は対応できる病院へ搬送となっていた。年齢までは考慮しないで方針が決められていた。ここまで県内の病院が逼迫すると、年齢を考慮した対応になってしまっている。

 最近県内で新型コロナの90歳代の患者さんの死亡例が連日出ているが、どこまで治療していたのだろうか。

 

 新型コロナウイルス感染症の患者さんが亡くなった時は、非透過性納体袋に収容して、消毒を行う。非透過性納体袋を納棺して、葬祭業者に依頼して火葬場まで搬送してもらう。火葬後の納骨作業は家族が行ってもいいようだ。

 火葬の関係で明日葬祭業者が迎えにくることになった。一晩病院の感染病棟でお預かりする。家族はまだ濃厚接触者としての自宅待機期間になるので、別居の家族に対応してもらうことになる。

 

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ポータブル腰部X線

2021年04月18日 | Weblog

 今週は「本当は教わりたかった ポータブル胸部X線写真の読み方」(MEDSI)を読み返していた。

 この本にも記載されているが、重症度の高い酸素吸入や持続点滴をしている患者さんでは、ポータブル胸部X線で評価する。それでわからないと、安易にベットでCT室に下ろして胸部CTで確認してしまう(重症過ぎる時は移動自体が危険でできない)。それはポータブルX線写真を読み込めていないから。

 この本はポータブル胸部X線の読影について、コツが詳しくわかりやすく記載されている。

 放射線科で撮影する胸部X線は基本的に立位だが、ポータブル胸部X線は臥位になる。臥位での胸水貯留すなわち水の貯留と、気胸すなわち空気の貯留が詳しく記載されている(この本のウリ)。

 臥位では、水は一番低い位置である肺底部から貯留して、肺の周りを這うようにして頭側および腹側に楔状に進展する。胸水は、傍脊椎線の消失下行大動脈の不明瞭化肋骨横隔膜角の鈍化心辺縁の不鮮明化Apical capping大動脈弓の不明瞭化、の所見になる。

 臥位では、胸腔内に漏れ出した空気は胸腔の中で一番高い位置である尾側の腹側に溜まり始める。気胸は、肺底部の透過性亢進(basilar hyperlucency)肋骨横隔膜の深淵化(deep sulcus sign)で認識する。臥位の撮影で、立位胸部X線で見るような肺尖部のvisceral pleural lineが観察される時は相当気胸が進行している。

 この本の内容は呼吸器内科医でもあまり知らないんじゃないだろうか。臥位での胸部X線読影の話は聞いたことがない。

本当は教わりたかった ポータブル胸部X線写真の読み方  サクッと読めて、ガツンとわかる7日間特別講義

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学会のWeb配信

2021年04月17日 | Weblog

 昨年は1回も学会出張に行かなかった。学会開催自体が、会場参加とWeb参加にしていたり、完全にWeb参加だけになっていた。遠方で行かない予定だった学会を視聴できたので、かえって良かったという面もある。

 学会場に参加している時に、病院から連絡が入ったりすることはある。しかし、基本的には学会出張で病院には不在になっているので、学会に集中できる。

 Web参加だと、病院で視聴するので日常の業務をしながらになってしまう。その結果、思ったように視聴できない。「学会参加中」と、札を掲げておく?。

 内科学会はほとんど視聴できず、消化器病学会は1/3くらいしか視聴できなかった。昼のランチョンセミナーは案外医局にいるので見ることができた。

 学会に行ってもただ聴いてくるだけなので、実際はWebで充分だ。on demanndで見られるとさらにいい。

 ランチョンセミナーは50分くらいでその道の専門医がコンパクトにまとめて話すので、一般の医師としては学会のシンポジウムよりも役に立つ。ランチョンセミナーを時系列で縦に並べて、全部見られればいいと、以前から思っていた。

 

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誤嚥性肺炎

2021年04月16日 | Weblog

 誤嚥性肺炎のほとんど初めての本が出たので購入した。「誤嚥性肺炎ただいま回診中!」(中外医学社)。

 「入院直後であって、呼吸状態が改善傾向で意識レベルがいつも通りであるのであれば、絶食は可能な限り避けて少なくともゼリーだけでもよいので開始しておくべき」とある。

 そうはしていない。酸素吸入していなくても、1日は内服薬の様子をみたりしてから食事を出すか決めている。酸素吸入を要して、誤嚥性肺炎で入院した既往がある(つまり2回目以上)の時は、さらに慎重に2~3日後の検査まで経過をみていた。

 1日様子をみるのはいいかと思うが、翌日からは条件が良ければ嚥下訓練を開始すべきなのだろう。

 酸素10L/分リザーバー付きで治療開始した90歳代女性が、入院直後から空腹を訴えていたこともあった。例外的に酸素が7~8L/分からゼリーを開始して、5~6L/分くらいで食事開始となった。みるみる回復して元気に退院したが、さすがにこういうのは例外中の例外。

 聴覚言語療法士(ST)まかせはダメということで、多職種で取り組みましょうという内容。

誤嚥性肺炎 ただいま回診中!

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新型コロナ搬送

2021年04月15日 | Weblog

 月曜日に入院した新型コロナウイルス感染症の81歳女性は、入院後すぐから酸素飽和度が低下した。

 地域の基幹病院消化器内科に自己免疫性肝炎で通院していた。右肩の痛みがあり、可動域制限があった。同院の整形外科で肩関節の手術をすることになり、4月9日に術前検査としての新型コロナPCR検査を受けた。

 その日38℃の発熱が出現していた。予約なしで同院は受診できないので、内科医院を受診して、経口抗菌薬(レボフロキサシン)を処方されていた。

 PCR検査は陽性だった。結果的には発熱があって、PCR検査を受けて陽性となったことになる。

 4月12日に保健所からの依頼で当院に入院してきた。肺炎だろうと予想していたが、胸部CTで両側肺野にすりガラス陰影が多発していた。

 入院時も38℃の発熱があり、酸素飽和度は94%(室内気)だった。保健所の発症日判定は4月9日だったが、その数日前から発症して、高熱になったのがその日ではないかと思われた。

 デキサメサゾンの投与は、発症1週間経過した後に使用することが推奨されている。翌日まで1日経過をみることにした。

 しかし入院日の夜間から酸素飽和度が低下して、酸素吸入が開始されて、翌13日には4L/分になった。デキサメサゾンと抗菌薬(セフトリアキソン)の投与を開始した。

 ステロイド投与で解熱はして、食事摂取にも問題なかったが、14日に酸素飽和度が低下して、酸素吸入が5L/分、6L/分となり、それでも酸素飽和度90%で、7L/分リザーバー付きになった。それだと94~96%になる。

 酸素吸入増量とともに心電図モニターが装着された。最初は正常洞調律だったが、すぐに頻脈性心房細動になった。抗凝固薬とβブロッカーを開始した。

 すでに新型コロナの重症度としては重症扱いになる。保健所に連絡した。直接、県の新型コロナ本部に連絡するよう指示されて、電話した。(事務の方から)病状を聴取されて、指示待ちとなった。

 しばらくして、重症患者のコーディネートをしている先生(大学病院救急科の教授)から連絡が入り、直接病状を聴取された。

 追って連絡が入ることになった。その後、地域の基幹病院に搬送するよう指示された。救急隊への搬送の依頼は保健所が行うそうだ。保健所が連絡した段階で受け入れは難しいという話だったが、県からの依頼で受けてくれたようだ。(中等症Ⅱ相当で、気管挿管・人工呼吸になりそうな患者さんがいるためという)

 県内に新型コロナウイルス感染症を受け入れる病院では、病床が逼迫していて、本来は重症化した患者さんを受け入れる病院ではベットがなくなってきている。今回は搬送できて、患者さんにとっても病院にとってもラッキーだった。

 

 時間外になった時点で、やっと搬送となった。救急隊が準備に時間がかかり(救急車のビニール張りや防護服着用)、先方の病院から催促の電話がきた。ちょうど救急隊が到着した時で、「申し訳ありません、たった今来ました」と報告した。

 その後また連絡が入り、診療情報提供書と画像を入れたCDが来ていないと言われた。診療情報提供書をまずFAXで送った。

 対応した看護師さんたちに確認したが、確かに救急隊に渡したという。結局、救急隊が先方の病院に渡さずに、救急車内に置いたまま帰ったことが判明した。救急隊の方で届けるそうだ。(まああの宇宙服みたいなもこもこの防護服をきているし)

 他の90歳代の新型コロナの患者さん2名はそれぞれ、酸素吸入8L/分・6L/分で重症相当だが、人工呼吸器装着の適応ではないということで、最後まで当院で対応することになっている。

 

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難治性CDIの経過

2021年04月14日 | Weblog

 消化器科医が外科医に、骨盤内腫瘍で腸閉塞をきたした74歳女性の相談をしていた。

 そもそもは昨年下痢が続いて、クロストリディウム・ディフィシル感染症(CDI)の診断で入院した。眼科で白内障手術の際に、抗菌薬(経口第3世代セフェム)が処方されていた。両眼の手術なので、2回の入院で抗菌薬は2回投与されて、それが原因になった可能性がある。

 メトロニダゾール、次いでバンコマイシンが投与されたが、なかなか改善しなかった。当院で初めて使用するフィダキソマイシン(ダフクリア)を取り寄せて使用した。いったんは軽快したが、再燃していた。

 これは一般病院では難しいので、専門医がいないかもしれないが高次医療機関に紹介してみては、と言った覚えがある。消化器科医が文献を調べて、保険適応外の治療を行って何とかCDIは軽快した。(よくぞ治したものだ)

 それで一件落着とはいかず、逆に便通障害が生じてきた。大腸内視鏡は直腸で屈曲狭窄があり、口側は見えるものの内視鏡の挿入は困難だった。

 CDIが続いたために、二次的に大腸の狭窄を来したかと思われたが、腹部CTで骨盤内に腫瘤を認めた。腫瘍マーカーはCEA・CA19-9が正常域で、CA125が397(<35)と上昇していた。卵巣癌が疑われた。

 消化器と婦人科の癌が扱えるがんセンターに紹介して、転院となった。大腸内視鏡や婦人科診察での生検・組織診は難しいのかもしれない。外科手術で人工肛門造設術を行って、その際に外科的に生検組織を提出するしかないか。

 

 当院では外科医1名となって、外科手術はできなくなった。昨年末で3名の外科医が他院に移動している。残った外科医は、毎日外科外来に出て、入院は主に他院の整形外科で手術をした患者さんのリハビリ担当になっている。

 当直は月に3回入り、複数の委員会の委員長もしている。俺もいつまでいるかなあ、と言っていた。お疲れ様です。

 

 

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コロナらしいすりガラス陰影

2021年04月13日 | Weblog

 昨日新型コロナウイルス感染症の80歳女性が入院した。地域の基幹病院整形外科で右肩の手術を受ける予定だったそうだ。

 先週末に38℃の発熱で内科医院を受診して、新型コロナの唾液PCR検査で陽性と判明した。発熱が続いているというので、肺炎があると予想された。

 両側肺野にすりガラス陰影が広がっていた。左下葉の陰影が若干浸潤影?の感じがあるが、それ以外は特徴的な陰影だった。

 ここ最近はすりガラス陰影もあるが、浸潤影もあって判断に迷っていた。コロナとしての浸潤影様の陰影なのか、細菌性肺炎なのか、難しかった。

 この患者さんコロナ自体の陰影と判断できる。入院時に酸素飽和度が94%だったが、その後90%未満となって酸素吸入を開始した。明らかな発熱の前に発症していたものと思われた。

 白血球4300(リンパ球13.5%)・CRP8.4とCRPが高めだった。Dダイマー1.4・血清フェリチン193とあまり上昇していないが、LDH354と上昇していた。抗菌薬とデキサメサゾンの投与を開始した。

 

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93歳で精査?

2021年04月12日 | Weblog

 高血圧症・慢性腎臓病(CKD)で内科に通院している93歳男性の家族が来院した。前回予約日に受診していなかったので、薬だけ取りに来たのかと思ったが、相談があるという。

 ずっと歯科にも通院していたが、歯肉?から発生した腫瘍があり、歯科医院から大学病院の口腔外科に紹介されたそうだ。今どきの入院なので、外来で新型コロナウイルスのPCR検査を受けて、陰性を確認した後に入院になる。

 93歳でCKDもある超高齢者にどこまで腫瘍の精査をするのだろうか。生検とCTなどの画像検査を行って、診断と方針を決定するところまで行うのだろうか。

 家族は、緩和ケアですよね、と言っていた。奥さんが施設に入所して、現在一人暮らしになっている。奥さんに続いて、いずれ施設入所になるとは思っていたが、口腔内腫瘍があるとは難しくなってくる。

 大学病院から自宅退院にできない時は、当院に転院してもらうことにした。内科外来で口腔内の症状を訴えたことはなかった、と思うが。

 

 この方の奥さんは、異常ヘモグロビン血症で、HbA1cは低値になってしまう。血糖の平均値はグリコアルブミンで検査をしていた(HbA1cに換算すると7%くらい)。

 夫婦で通院していたが、奥さんのADLの方が悪く、心気的な訴えも多かった。いっしょに診察室に入ってくるが、奥さんの診察で時間がとられた。この方は特に訴えもなく、検査値を確認して処方を継続するというあっさりとした診察だった。

 

 土日は「感染症プラチナ流コンサルト」を読み返していた。薄い本なのですぐに読めてしまう。誠実な対応で、しだいに他科からのコンサルトが増えていったという。

 当院でもICT・ASTは行っているが、専門医もいないので他科からのコンサルトはほぼない。内科の若い先生に訊かれるくらいだ。「プラチナマニュアル」で確認しておいて、ということが多いが。

 

 

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血液培養2セットからグラム陽性球菌

2021年04月11日 | Weblog

 4月3日土曜日に、早朝に入院した患者さんを診に病棟に来ていた(肺炎として入院になったがリウマチ性多発筋痛症だった)。さらに土曜日の日中も入院があった(こちらはふつうの肺炎)。

 内科の若い先生が診ている89歳男性が40℃の高熱があると、病棟の看護師さんから報告があった。入院5日目の方だった。

 3月初めから3月24日まで肺炎で入院して、昨年度当院に勤務した内科の若い先生(自治医科大学の義務年限)が担当していた。3月31日に発熱・下痢(軟便)で再入院になた。

 状況からクロストリディオイデス・ディフィシル感染症(CDI)が疑われたが、CD抗原・トキシンは陰性だった。肺炎はなく、尿路感染症ともしがたい。

 急性腸炎として点滴で経過をみていた。解熱傾向で便の性状も軽減した。前日の検査では入院時の炎症反応上昇が軽快していた。順調な経過と判断していたはずだ。

 

 胸部X線で肺炎はなかった。尿混濁があり、他に原因がなければ尿路感染症となる。血液培養2セットと尿培養を提出して、抗菌薬を開始した(セフトリアキソン)。

 月曜日にまだ発熱があり、ここは第4世代でスタートだったか、と思った。細菌検査室から連絡があり、尿培養からグラム陰性桿菌、血液培養2セットからグラム陽性球菌が出ているという。

 グラム陽性球菌?。中心静脈カテーテルは挿入されていない。どこから入ったか不明だった。抗菌薬について相談された。グラム陰性桿菌に対してはメロペネムに替えたいという。グラム陽性球菌に対してはバンコマイシンを使用することにした。

 その後、尿培養からはSerratia marcescensが検出されて、カルバペネム耐性だった(第4世代セフェムも耐性)。アミノグリコシドとニューキノロンには感受性がある。クラビット(レボフロキサシン)に変更した。

 血液培養2セットからはStaphylococcus haemolyticus(MRS)が検出され。こちらはバンコマイシンが感受性がある。

 セラチアは耐性菌だったのは想定外だが、尿路感染症としてあり得る。血液培養の菌はいったいどこから侵入したのだろう。抗菌薬変更で、患者さんは解熱してきた。

 

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