なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

COPDがあったCOVID-19

2022年05月11日 | Weblog

 月曜日の午後に、内科新患を診ていた先生(大学病院からバイト)から、新型コロナの82歳男性を入院させたいと連絡がきた。

 2日前から咽頭痛があり、その日は37.8℃の発熱があった。ふだんは糖尿病・高血圧症で当院の糖尿病外来に、狭心症で市内のクリニック(心臓外科医)に通院している。

 酸素飽和度が91~93%(室内気)で低酸素だった。食欲低下もあり、ふらつくようだ。感染病棟は空いていたので、検査後に入院とした。

 胸部CTで確認すると、両側肺野に肺気腫像があった。20年前に禁煙はしているが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)になっている。明らかな肺炎像はなかった。(背側に淡いすりガラス疑いがあるが、コロナの陰影ではなさそう)

 

 入院後に測定すると、酸素飽和度は94%(室内気)だった。今回の影響というより、もともと酸素飽和度は正常域下限なのかもしれない。

 血液検査は白血球11600・CRP13.3と上昇していた。コロナでこの値だったら、肺炎が進行しているはずだが、そうではない。

 2日前からの咽頭痛は嚥下痛だった。飲み込むと痛いので食事摂取量が低下していた。コロナのオミクロン株は咽頭痛が特徴だが、普通は咽頭違和感・イガイガ程度でここまでひどくはない。

 口腔内には問題ないが、危険な咽喉頭炎が心配になった。それでも息苦しくはなく、横臥もできる。喉頭炎で細菌感染だとするとインフルエンザ桿菌が多い。肺炎はなくても、細菌性気管支炎(あるいは軽度の気管支肺炎)の可能性もある。

 コロナに対するレムデシビル点滴静注に加えて、抗菌薬(セフトリアキソン)も投与することにした。食欲もないので、500mlの点滴も追加した。

 入院3日目の今日は解熱して、食欲も戻って来ていた。

 

 

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空洞性病変

2022年05月10日 | Weblog

 月曜の午後に内科新患(発熱外来)を診ていた先生(大学病院からバイト)から、COVID-19の82歳男性を入院させたい、と連絡がきた。

 感染病棟に入院させる手配をしていると、その先生が胸部X線・CTで空洞性病変を認めるという話をしていた。喀痰の抗酸菌塗抹を提出したい、と検査室に連絡していた。

 コロナの患者さんの検査をして、入院の指示を出し終わった。抗酸菌検査の患者さんはどうなったかと確認した。

 

 施設から紹介された90歳女性で、ふだんから誤嚥と喀痰排出があるようだ。抗酸菌塗抹検査は陰性だった。内科の若い先生に依頼して入院としていた。

 胸部CTを見ると、左肺上葉に小さめの空洞が形成されていて、下葉にも浸潤影があった。右肺にも少し陰影がある。誤嚥性肺炎からの進展なのかもしれない。

 以前の胸部X線は2016年に受診した際のもので、肺野に異常はなかった。6年前なので比較にはならない。通常の抗菌薬投与で軽快するのかもしれない。

 誤嚥性肺炎からこのような形態をとるか、呼吸器科の外来に来ている先生に相談してみよう。

 

 

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「パニックだと思う」

2022年05月09日 | Weblog

 先週の金曜日に、発作的な動悸・呼吸困難感が出現する51歳女性が受診した。ふだんは糖尿病・高血圧症・甲状腺機能亢進症で通院している。 

 先月に喉の違和感・閉塞感と嗄声で受診して、耳鼻咽喉科にで声門下喉頭炎と診断された方だった。入院は高次医療機関が好ましいと判断されて、県内有数の市立病院に紹介された。

 経過は良好で、ステロイドと抗菌薬投与で軽快したという返事が来ていた。(内科でもふだんの疾患についての診療情報提供書を送っていたので、返事が内科にも来た。)

 

 受診した時は無症状だった。今回の症状は声門下喉頭炎で入院したことがきっかけだった。なんでも先方の病院で、「悪化した時は気管切開になるが、肥満があり手技が難しく、死ぬかもしれない。」と言われてからだという。

 患者さんの表現なので、何とも言えないが、「悪化した時は気管切開になる」とは説明するだろう。それもあって当院の耳鼻咽喉科医が紹介したわけだから。言い方は受け取り方によるが、「体型的にやりにくい」くらいは言っているか。

 それから動機・呼吸困難感が発作的に出現した。その日は3回目の発作だった。症状は突然起こり、数分でピークに達する。30分くらいで治まるようだが、またそれより軽度の症状が何度か起きる。

 

 3月にも同じ症状で、夜間に当地域の基幹病院を受診したそうだ。その時は咳をした時に、1回だけ痰に血が混じった(少量)。知人に話したところ、肺癌かもしれないと脅かされた。

 受診時には症状は治まっていて、胸部X線・心電図・血液検査では異常がなかったという(糖尿病のコントロールが悪いので、血糖は高かったはず)。何度が起きて、その後治まって来ていた。

 

 予期不安もあり、今回も夫と(車を出す関係で妹も)来ていた。ふだんは。病院まで送ってくれる人が診察ブースまで付いてくることはない。

 自分でインターネットで調べたところ、「パニックだと思う」と言う。おそらくそうでしょうと、同意した。この患者さんは他の先生から回ってきて当方が診ることになったが、最初の時から精神的に不安そうな方だという印象は持っていた。

 受診できるならば精神科の方が好ましいと伝えた。郡部だと、都市部のような精神科のクリニックがあまりない。精神科病院になってしまう(ちょっと敷居が高い)。

 ちょっと遠方だが、自分で調べた精神科クリニックの名前も上げていた。相談の結果、自宅のある隣の市から当院への通院の途中にある精神科病院に行ってみたい、ということになった。

 当面の薬がほしいと処方を希望して、精神科への紹介状(診療情報提供書)を希望された。SSRI(ジュイゾロフト)と発作時のアルプラゾラム屯用を少し処方して、紹介状を持たせた。

 

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連休中の本

2022年05月08日 | Weblog

 連休中は生坂政臣先生の本(単著もあるが、千葉大総診としての本も)を読み返すことにしていて、5月5日に読み終わった。

 きっかけは、生坂先生が単著で新しい本「直観で始める診断推論」(日本医事新報社)を出されたから。生坂先生自身は、「私自身、今も昔も実際の診断の大半は直観で行っており、(診断)方略を意識することはほとんどない。これらの診断方略は後付けの大盤解説のための方便と考えてもらってよい」そうだ。

 本当のところは、生坂先生は直観的診断と分析的診断(診断方略)が瞬間的に浮かぶので、両者の区別も不要なのだと思う。

 直感で始める診断推論 向上のための誤診を恐れるな ─ 電子版付 ─

 

 連休の残りは循環器の本を読むことにした。5月5日に丸善で「循環器薬ドリル」(羊土社)を購入して、読み始めた。研修医向けでちょうどいい。

 抗血栓薬では、日本版高出血リスク(HBR:high bleeding risk)・血栓リスク、PCI施行後の抗血栓療法を覚えなければならない。診療している患者さんはほとんど高齢者で、高出血リスク・血栓リスクにそのまま該当するので、抗血栓療法の図だけ見ればいい。

 大抵はPCIを施行した専門病院の循環器内科の指示に従うだけだ。それでも心房細動合併のPCI後の患者さんで、DOACとプラスグレル(エフィエント)を処方していて、すでに1年以上経過していたりする。(そっと?しれっと?DOACだけに直す)

 

 「イバブラジン」(商品名コララン)は知らなかったが、2019年に出ていた。適応疾患は慢性心不全で、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的治療を受けており、かつ正常洞調律で心拍数75回/分以上の慢性心不全。自分で使うことはなさそうだ。

 「キャブピリン」という、アスピリン100mgとボノプラザン(タケキャブ)10mgの合剤も出ていた。(これまではタケルダ=アスピリン100mg+タケプロン15mg。)さすが武田薬品、抜け目がない。

循環器薬ドリル〜薬剤選択と投与後のフォローも身につく症例問題集

 

 当院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院がいつのまにか100名を越えていた。県内の入院数からみれば微々たる入院数だが、当院の状況(職員数、特に看護師数減少)では頑張っていると思う。(当方が不在の時に入院した1名だけ他の先生にお願いしたが、それ以外は全部担当)

 ほとんどすべて感染病棟の看護師さんたちのおかげなので、100名入院記念に病棟にお菓子の差し入れをすることにした。感謝のことばより、スイーツの方が喜ばれるから(感謝のことばも述べるが)。

 

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透析患者さんの菌血症

2022年05月07日 | Weblog

 連休中も血液透析はしている。4日に70歳男性の透析患者さんが高熱で受診していた。通常の救急外来ではなく、透析部門の方での対応になった。その日の当直に当たっている若い腎臓内科医が、透析を診るために朝から来ていた。

 症状は発熱だけで呼吸器症状などはない。血液検査で白血球7900(ふだんは4~5000くらい)・CRP26.5と炎症反応は著明に上昇していた。CRPがすでにこれだけ高いので、数日前からの発症だろう。

 胸部X線、さらに胸腹部CTを行ったが、発熱の原因になるような異常はなかった。透析患者さんだと透析用のシャントの穿刺を頻回に行うので、血流感染のリスクが高い。血液培養2セットを提出して、ゾシン(PIPC/TAZ)で治療を開始していた(入院)。

 

 入院後、翌日には解熱していた。2日後の6日に、血液培養2セットからグラム陽性球菌が検出されていた。シャント穿刺に関連した感染症が疑われる。

 それを受けて心エコー検査(経胸壁)が行われたが、明らかな疣贅は指摘できなかった。大動脈弁が石灰化して、以前と同様ではあるが評価し難い。それ以上の検査はできないので、菌の同定・感受の結果待ちになる。

 ゾシンが効いているので、MRSA・MRCNS(MRSEなど)ではない。連鎖球菌かMSSAだろうと思うが、腸球菌もあり得る。週明けには菌名がわかるので、感染症専門医(呼吸器外来担当で大学から来ている)に相談しよう。

 

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キャベツを当ててからの胸痛

2022年05月06日 | Weblog

 5月1日に日直・当直に連続して入った。2日は病棟の仕事があるので、当直明けの半日休みは取れない。施設入所中(その後クラスター発生となった)のCOVID-19の高齢女性の入院もあった。

 それでも5月3日・4日・5日と休めた。病棟からの連絡もなかったが、そのCOVID-19の患者さんの発熱が続いていたり(尿路感染症と関節炎の併発)、一般病棟入院中の高齢男性は高熱が出て、内科の別の先生が検査をしてくれていた。

 

 3日間は大学病院からのバイトはなく、常勤医で日当直を埋めていた。3日は救急外来受診が多く、担当した内科の若い先生は大変だったようだ。

 その日は外科当番医に当たっているが、3月で外科医常勤医は不在になっている。それでもかなり早い時期から今年度分の市内の当番医が決まっていて、すぐには替えられない。

 内科医が診ることになるので、小さな傷くらいしか診れない。外科と整形外科の入院はとれないので、問い合わせが来て骨折と思われたり、中等症から重度の外傷の時は、地域の基幹病院にお願いしている。

 たまたま大学病院の外科医がバイトに来ている時に当番医が当たることもあるが、外来で処置はできても入院はとれない。

 

 3日に67歳女性が胸痛で救急外来を受診していた。2日前にキャベツを自分の胸部正中に当てて割ったそうだ。その時にポキっと音がしたように感じた。その後から同部が痛いという訴えだった。

 同部に圧痛はなかった。痛みは咳(咳払い)をした時、呼吸をした時、身体を動かした時に増強する。骨条件も入れて胸部CTが行われたが、骨折は認めなかった。

 右肺の胸骨近傍に腫瘤様の陰影があった。腫瘍というよりは炎症像のように見える。発熱はなく、咳・痰はない。3年前に右扁桃周囲膿瘍で耳鼻咽喉科に入院した時にの(入院時検査としての)胸部X線があるのみで、それでは異常を指摘できない(部位的に難しいか。シルエットサインで出る?)。

 たまたまCTを撮影したので発見しただけなのか、案外関連しているのか(出血でなければ違うと思うが)。

 若い先生は経過観察して1週間後に再受診としていた。それにしても、キャベツを割るために自分の胸に当てる(ぶつける)ものか。

 

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90歳の胸水・腹水・浮腫

2022年05月05日 | Weblog

 こちらも土曜日の日当直の外科医(大学病院からバイト)から、入院させたいと連絡がきた患者さんで、体動困難・食欲低下の90歳女性だった。

 1か月前から体動困難・食欲低下が進んでいた。高血圧症・糖尿病で通院している内科クリニックから栄養剤(エンシュア)も処方されていた。(入院後に家族が2箱持ってきた)

 脱水症からの腎前性腎不全で高カリウム血症の呈していて、老衰のようですが、ということだった。右手の発赤・腫脹・熱感があり、蜂窩織炎もあるという(関節炎?)。点滴は1号液(ソルデム1)で開始して、抗菌薬(セフトリアキソン)も開始していた。家族に話をして、DN(A)Rとしていた。

 病室に行って診ると、痩せたおばあさんが寝ていた。外来での画像検査は胸部X線だけだったが、両側肺野が全体に白い。肋骨横隔膜角も鈍になっていて、これは肺水腫・胸水貯留と判断される。

 2021年3月に低血糖で当院内科外来を受診して、胸部X線と血液検査が行われていた。こちらは心拡大・左胸水がありそうだが、だいぶ違う。

 胸腹部CTで確認すると、かなりの量の両側胸水と腹水があった。両下腿の浮腫はないが、体幹部の浮腫がCTでもわかる。

 血液検査でHb9.4g/dlと、昨年の13.8g/dlと比べて低下している。血清蛋白も4.9g/dl(アルブミン1.7g.dl)と、昨年の5.4g/dl(アルブミン2.6)からさらに低下している。

 腎機能はBUN67.6mg/dl・血清クレアチニン3.79mg/dlだった。昨年はBUN21.7mg/dl・血清クレアチニン1.93mg/dlでもともと慢性腎臓病はあるが、悪化していた。脱水症と消化管出血?。

 胸水・腹水・浮腫は摂取不足による低蛋白血症のためか、それとも消化管悪性腫瘍があるのか。腎機能障害と炎症反応上昇でANCA関連?、など考え出すときりがない。幸い血圧は保たれていたが(120~130)、それ以外はいいところがない。

 甲状腺機能を追加すると、機能低下状態だった。糖尿病があるのに(HbA1c7.8%)、血糖は50~80mg/dlを呈している。副腎皮質機能低下もありそうだ。ACTH・コルチゾールは外注検査ですぐにはわからないが、ステロイド補充を先行させないと危ない。

 この状態で、はたしてどこまでもちこたえるのか。

 

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転倒の原因

2022年05月04日 | Weblog

 土曜日の日当直の外科医から、頭部打撲の96歳男性を入院させたいと連絡がきた。施設に入所していたが、自室内で転倒して窓枠に右後頭部を打撲した。

 頭部CTで頭蓋内出血はなく、切創を縫合していた(ステイプラー)。帰そうとしたが、血圧が60mmHg台で昇圧薬を開始したので帰せなくなったからという。

 どこか出血があるのではと訊くと、少なくとも胸腹部CTで見るかぎりは指摘できないということだった。症状として、明らかな吐血・下血はなかった。

 

 病院に来て患者さんを診ると、血圧は90~100mmHgで保っていた。認知症があり、普段でも一言しか返答しない方だった。声をかけるとこちらを見るが、返答はなかった。

 病棟の看護師さんからオムツを替えようとすると右股関節を痛がります、と言われた。確かに右下肢を外転させていて、股関節部を痛がっている。

 血圧低下でリンゲル液を多めに入れていたが、もともと心房細動・心不全があり、肺うっ血・水腫が危惧されたが、それはないようだ。そして骨盤X線を見ると、右大腿骨転子部骨折だった。結構ずれている。

 胸部X線・CTで肺炎はなかったが、尿検査は出ていなかった。尿カテーテルを挿入すると、膿尿というか膿そのものの尿が排出してきた。白血球増加は尿路感染症によるのだろう。

 ということは、尿路感染症から敗血症性ショックとなり、それで転倒した可能性がある。その結果、頭部を打撲して、大腿骨近位部を骨折したと推定された。

 当院では手術ができない。整形外科のある病院に搬送となるが、敗血症性ショックの96歳だと受けてもらえないだろう。昇圧薬を休止するまでは当院で経過をみるしかない。感染症の治療の治療がうまくいって血圧が戻っても、手術適応があるかというと難しそうだ。

 

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喘鳴のCOVID-19

2022年05月03日 | Weblog

 先週木曜日(4月28日)にCOVID-19の86歳男性が感染病棟に入院した。住所は隣の市で、発熱で受診した市内の病院で新型コロナの抗原定性試験を受けて陽性と判明した。高齢で症状があることと、基礎に高血圧症・狭心症があり、保健所の指示で入院となった。

 胸部CTで胸膜下に怪しいところはあったが、はっきりしない。喫煙歴があり、肺野に軽度に気腫性変化があるようだ。看護師さんからゼーゼーしています、と報告があった。

 呼気終末にwheezeが聴取される。ふだんも動くと息切れがあったそうだ。要するにCOPDで喘鳴を伴う患者さん(ACO相当か)だった。

 呼吸器疾患としての処方はなかった。気管支拡張薬で経過をみる予定だったが、入院後に39℃の高熱が出て、喘鳴も悪化した。

 COVID-19のウイルス増殖期にステロイドは入れたくなかったが、やむなくデキサメサゾン点滴静注を行った。抗ウイルス薬はレムデシビル(ベクルリー)点滴静注を使用したので、抗ウイルス薬と併用ならば何とかなると思った。

 ステロイドの効果で解熱して、喘鳴も軽快消失した。デキサメサゾンは初回は8mg(6.6mg)を使用して、2日目からは4mg(1.65mg×2)で3日間使用した。

 酸素吸入は入院後に1L/分で開始して、そのまま1L/分で継続していた。5月2日には酸素吸入を中止した。うまく吸入できるか疑問だが、吸入ステロイド(ICS/LABA)を開始した。

 

 COVID-19のウイルス増殖期にステロイドを投与すると、増殖を助長するので、かえって悪化する。はっきり発症1週間はステロイドを投与せず、8日目からと決めている病院もあった。発症10日以内でステロイドを使用する場合は、抗ウイルス薬と併用でステロイドを使用するともされている。

 そうはいっても最初からステロイドを投与する必要があれば、それはやむを得ない。基礎疾患でステロイドが使用されている患者さんもいるわけだから。

 

 この患者さんの妻もコロナ罹患と判明した。元気だが、発熱がある。保健所で入院を勧めたが、犬を飼っているので、入院したくないと言っているそうだ。地域の基幹病院で、外来アセスメントをすることになった。外来で抗ウイルス薬を処方してもらえば、在宅療養でもいけるのかもしれない。

 

 

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膵性糖尿病

2022年05月02日 | Weblog

 先週の木曜日に糖尿病の39歳女性が入院していた。糖尿病外来(大学糖尿病科からバイト)の先生が内科の先生に入院治療を依頼していた。

 7年前に急性アルコール性膵炎で入院した時に、当方が担当した。ふだんから飲酒しているが、アルコールの量がふだんの2倍以上になって膵炎を発症していた。通常の急性膵炎の治療で症状は治まって、9日の入院で退院していた。CTでまだ石灰化はなかった。

 その年にまた急性アルコール性膵炎で入院して(当時いた消化器科医が担当)、その2年後にも入院していた(当時いた外科医が担当)。

 外科医が担当した時に今もいる消化器科医に相談していた。腹部CTとMRCPが行われている。膵頭部から体部にかけて膵石灰化があり、膵管拡張様に見えるのは、MRCPで見ると仮性嚢胞だった。その時はまだ糖尿病はなかった。

 

 

 2019年から糖尿病として治療が開始された。消化器科医から、糖尿病外来(専門医)の外来に回されて、インスリン強化療法を受けていたが、2年弱通院して2020年2月から中断していた。

 そして2年ぶりで先週受診した時は、血糖786mgdl・HbA1c18.7%となっていた。尿ケトン体は陰性だった。血液ガスは採取していないが、アシドーシスはないのかもしれない。

 1日だけ速効型インスリンの点滴静注を行っていたが、その後は食事摂取に合わせて速効型インスリンをスケールで皮下注にしていた。膵性糖尿病はグルカゴンも低下しているので、低血糖に弱く夜間低血糖が起きやすいなどの特徴がある。

 今回は腹痛はなく、腹部CT検査を行われていなかった。今現在、膵臓はどうなっているのだろうか。

 

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