なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

門脈血栓症

2022年05月22日 | Weblog

 病棟の看護師さんから、連休前から心窩部痛が続くと言われた。昨年12月に人間ドックで上部消化管内視鏡検査と腹部エコー検査を受けていて、胆嚢ポリープのみ指摘されたそうだ。

 胃薬がほしいという感じで言われて、心窩部痛といっても重苦感・違和感のようだった。胸やけはなく、食事とも関係ないらしい。タケキャブとレバミピドを処方して、症状が続く時は消化器科で検査とした。

 その後、内服してもさっぱり変わりないと言われた。症状は心窩部痛で痛みの移動はなかった。3週間くらい続いている。これは検査するしかない。

 その日の朝は食べないで来ているというので、まず腹部エコーを行った。内視鏡は、待っていれば昼前に入れてもらえるかもしれない。

 腹部エコーを受けているところを見に行った。胆嚢壁が若干厚いかもしれないが、胆嚢結石・debris・は腫瘍もなかった。膵臓も見える範囲では異常がなかったが、検査技師さんがその部位を何度も見ている。

 膵頭部と体部の境の脾静脈内に血栓があるという。門脈本管には血栓がなさそうに描出された。脾静脈の部分的な血栓症?って何だろうか。脾腫もあるので、門脈の血流障害がある。

 腹部造影CTで確認することにして、消化器科医と相談した。脾静脈血栓症といわれてもピンときていないようだ。ふだんそうそう見かけることではない。

 造影すると、確かに脾静脈から門脈本管にかけて血栓症があった。脾腫もあるが、腹水はなかった。心窩部重苦感の原因として合うか。

 造影で肝臓内に小さな肝血管腫があったが、肝臓癌・胆管癌・膵癌は指摘できない。また消化器科医に相談したが、門脈血栓症は経験がないといわれた。

 当方は以前に慢性アルコール性膵炎の患者さんで門脈血栓症を1例だけ見ていた。腹水貯留も認めて、大学病院の消化器内科に搬送した。それ以外は見ていない。(幸い軽快して帰ってきた。しだいにバイパスが形成されたらしい。)

 肝硬変・肝癌があれば門脈血栓症(腫瘍塞栓)は起こるが、それがないとわからない。翌日、地域の基幹病院消化器内科の外来に紹介して診てもらうことにした。

 

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