なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

頸動脈ステント留置術

2022年05月21日 | Weblog

 昨日記載した脳梗塞後の72歳男性は、基幹病院脳外科で頸動脈ステント留置術を受けていた。

 4月初めに左半身不全麻痺が発症して入院していた。MRAで右頸動脈閉塞、左頸動脈高度狭窄を認めた。当初は脳神経内科に入院したが、急性期の手術の可能性があり、脳外科に転科していた。

 右大脳半球の血流低下が高度で脳梗塞再発リスクが高いと判断され、右頸動脈ステント留置術が行われた。診療情報提供書によると、術中の血流遮断時間(30秒)でも血流低下から、意識障害・全身痙攣を来したそうだ。

 術直後のMRIでは新規脳梗塞がなかったが、その後に片麻痺などが増悪して、脳梗塞巣が進行していた。頭蓋内外のバイパス術も考慮したが、そこまでは行わなれなかった。

 脳血管内科・脳血管外科は県内にわずかずつ増えているようだが、こちらの病院でこのような処置ができるのは知らなかった。(脳血管外科と言うほどの処置ではない?。)それにしても、かなりの脳動脈硬化だ。

 

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非常勤泌尿器科の対応

2022年05月20日 | Weblog

 水曜日に泌尿器科医から、尿路感染症の患者さんのことで相談された。

 患者さんは72歳男性で、脳梗塞で地域の基幹病院に入院していた。リハビリ目的で前の週に当院回復期リハビリ病棟に転院していた。担当は神経内科になる。

 前医入院中から尿カテーテルが留置されていた。尿道口にびらんがあり、尿カテーテルを抜去できないかと、泌尿器科外来に紹介になっていた。

 その日から神経内科医は学会出張に出かけていた。神経学会が東京で開催されている。webで視聴するつもりだったのが、急遽学会場に出席することにしたらしい。

 泌尿器科外来に紹介になった日の朝から高熱が出現した。炎症反応の上昇と尿混濁を認めたが、尿カテーテル留意なので他疾患を否定しないと尿路感染症と決められない。

 泌尿器科医は、尿培養・血液培養2セットを提出して、胸腹部CTで肺炎などの他疾患の検索もしていた。肺野に若干肺炎疑いの淡い陰影はあるが、たぶん尿路感染症なのだろう。(血液培養と尿培養の検出菌が一致しないと確定できない)

 食事摂取が少ないので、補液と抗菌薬を週明けまで出していた。対応としては完璧だった。

 泌尿器科医は8年くらい当院の常勤医だったが、定年退職後も非常勤医として週に2回勤務している。他の日は施設の嘱託医をしているそうだ。

 病院の事情も、内科での対応も知っているので、ここまでやってくれたということだった。まったくのバイト医師だったら、主治医に訊いてくれか、常勤の内科で診てくれ、になるだろう。

 

 先方の病院に4月初めから入院して、当院転院後1週間なので、完全に院内感染になる。起炎菌としては緑膿菌などのいわゆるSPACEや腸球菌も考えられる。もっと広域抗菌薬でいった方がいいかもしれない。

 発熱以外のバイタルは問題ないので、1日セフトリアキソンの効果をみて、解熱軽快しない時は広域抗菌薬に変更します、ということにした。

 幸い翌日には解熱して、そのままセフトリアキソン継続・培養結果待ちとした。

 

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慢性硬膜下水腫

2022年05月19日 | Weblog

 月曜日に救急外来を診ていた先生(大学病院からバイト)、77歳男性を入院させたいと連絡がきた。

 一人暮らしで、もともと大酒家だった。市内に住んでいる息子さんが、食料やアルコール類を購入して置いて来るという。食べられない、動けななくなったとして救急要請していた。

 肺炎などの感染症はなかった。担当した先生が、認知症の鑑別として甲状腺ホルモンやビタミンB類も提出していた。

 頭部CTで一見脳委縮様だが、むしろ圧排されているように見える。両側の慢性硬膜下血種だった可能性があり、神経内科医に相談した。

 両側慢性硬膜下血種から水腫になったところを見ているのだろう、と言われた。息子さんによれば、1か月前に転倒して頭部打撲したことがあるそうだ。複数回の打撲歴があるのかもしれない。

 脳外科の扱いにはなるが、地域の基幹病院に紹介しても経過観察になるだろう、とも言われた。経過をみて、再検して新鮮な出血を認めた時に紹介とした。内服できれば五苓散を飲んでもらう。

 

 病棟の看護師さんから、あの息子さんは見たことがあると言われた。当方としても何だか前に見ているような気はしていた。患者さんに、亡くなった妻の名前を訊いて検索した。

 3年前に胆管癌で看取った患者さんだった。閉塞性黄疸で受診して、当時いた外科医が地域の基幹病院消化器内科に搬送していた。

 胆管ステントが挿入された。癌化学療法は希望しなかったので、緩和ケア目的で当院に転院していて、当方が担当した。3か月入院して亡くなっていた。家族との面談では夫ではなく、息子さんが対応していたので顔を(ぼんやりと)覚えていたのだった。

 

 患者さんは会話はできるが、認知力低下があり、一人暮らしは無理だろう。水腫の経過にもよるだろうが、あまり期待しない方がいいようだ。MSW介入で、介護保険申請から始めてもらう。

 

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間質性肺炎+細菌性肺炎

2022年05月18日 | Weblog

 金曜日に当院の呼吸器科外来に通院している85歳男性の搬入依頼が来た。間質性肺炎で在宅酸素療法を受けていた。間質性肺炎の増悪だと当院では診られないがと思いながら、来てもらうことにした。

 

 2016年に健診で胸部異常影を指摘されて、近医からがんセンターに紹介されていた。扁平上皮癌と診断されて、左下葉切除術を受けた。StageⅠAだった。

 術後に間質性肺炎の進行(増悪)があり、ステロイド(プレドニゾロン30mg/日)が開始された。幸いに軽快して、プレドニゾロンは漸減中止されていた。

 2021年11月に術後5年か経過して、肺癌再発なしと判断された。しかしその後に息切れが悪化して、間質性肺炎の増悪を認めた。ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン500mg/日を3日間)からプレドニゾロン60mg/日で治療が行われた。

 ちょっと漸減が早いようだが、そこからプレドニゾロン15mg/日まで漸減された。家族が通院しやすい病院への紹介を希望した。癌が治ったと判断されれば、がんセンターとしては間質性肺炎を長く診る気はないだろう。

 間質性肺炎は、できれば地域の基幹病院に紹介してほしいところだが、当院呼吸器外来に紹介されてきた。当院の呼吸器外来は、全部外部の先生方のバイトだけなので、増悪時は対応できない。

 肺疾患とは別に、数年前に基幹病院の脳神経内科を受診して、アルツハイマー型認知症と診断されて、処方が開始されていた。ADLは自宅の室内を動く程度だった。

 

 在宅酸素は、安静時1L/分、労作時4L/分となっていた。今回の搬入時は安静時だが4L/分を要した。聴診上は右肺の方にcoarse cracklesが聴取されるようだが診断には自信がない。

 胸部X線・CTで確認する、右肺下肺野に浸潤影があり、左肺にはなかった。間質性肺炎の悪化ではなく、細菌性肺炎の併発だった。発症は急で誤嚥性肺炎かもしれない。これなら当院で診られる。

 ステロイド内服もあり、スルバシリンではなくゾシンで開始した。入院後は解熱してきて、酸素投与量も通常と同様になってきた。

 

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退院した翌日の再入院

2022年05月17日 | Weblog

 先週木曜日の当直の時に午後10時すぎに73歳男性が救急搬入された。前日に退院したばかりだった。

 1か月前に左下葉背側の肺炎で入院していた。腎臓内科の先生(透析診療+一般内科)が担当して、抗菌薬投与で軽快していた。経口摂取が進まず、長い入院になったようだ。

 やっと退院となったが、退院したその日は朝昼と食事摂取がほとんどできていなかった。発熱はなく、酸素飽和度の低下もなかったので予定通りの退院としたのだろう。

 この患者さんは施設入所中なので、その施設に戻っていた。そこは精神遅滞の方たちが入所している施設だった。高齢になって認知症になった方たちの施設ではない。

 

 救急隊は酸素6L/分で搬入したが、酸素飽和度が90%に満たなかった。酸素は10L/分に上げても、やっと90%前後だった。痰と唾液が多く、当直の看護師さんが頻回に吸引した。

 胸部X線・CTで確認すると、肺炎像は前回と同じ左肺下葉背側だった。ただし右肺と左肺の上葉にも淡い陰影が散在している。発症して間もないので、この淡い初期の陰影が広がって来る可能性があった。

 家族といっても、この患者さんは妻子がなく、責任者は隣町の兄夫婦になっていた。夜間は来院できないというので、電話で病状を説明した。前回入院時に病状悪化時DNRになっていたので、それも確認した。

 来れるかどうかわからないと言っていたが、翌日に兄夫婦が来院した。実の兄は、患者さんと同様の痩せた小柄な方だった。不安そうな顔をしていたが、ほとんどしゃべらなかった。

 そのかわりに、その妻(義理の姉)はよくしゃべった。患者さんは精神遅滞があり、簡単な肉体労働ならばできるので、頼み込んで入れてもらった。それでもいろいろと職場でうまくいかないことがあって、(兄夫婦が)苦労したという。60歳代からは認知症の要素も加わって、10年前に今の施設に入所となった。

 今回も肺炎が治らないかもしれないことを説明した。おそらく退院前にすでに誤嚥していたので、実際は院内肺炎ということになる。前回よりは治りにくい。

 また肺炎がうまく軽快すれば嚥下訓練を行うが、経口摂取は困難かもしれないと説明した。その際にどうするかということも伝えておいた。

 高カロリー輸液などは希望しない、という。末梢の点滴だと1~2か月しかもたないかもというと、それでいいと言われた。全部妻が決めてしまい、実の兄である夫は何も言わなかった。

 

 入院後、金土日曜と次第に解熱して、酸素飽和度も改善してきた。月曜日にはしっかり開眼している(発語はもともとほとんどない)。また嚥下訓練を行ってみることにした。

 

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3年ぶりの急性膵炎

2022年05月16日 | Weblog

 病棟の看護師さんのことで(心窩部痛)消化器科医に相談したいことがあった。連絡すると、中央処置室にいると言われた。

 行ってみると、点滴室で比較的若い男性と話をしていた。25歳時から、急性膵炎で頻回に入院していた、現在39歳の男性だった。

 3日前から心窩部痛が続いて、予約外の受診だった。検査では血清アミラーゼ・尿アミラーゼが軽度に上昇して、炎症反応も軽度に上昇している。

 重症ではないと診たのだろう、造影まではしないで腹部単純CTで確認していた。膵頭部が少し腫脹しているようだ。周囲脂肪織の炎症像(浸出液貯留)もわずかだった。

 膵鈎部に石灰化がある。胆膵を専門にしている病院に紹介して(消化器科医はその病院の出身)、内視鏡的に膵石摘出が行われてから膵炎を起こしにくくなっていた。主膵管は多分少し拡張して不整がありそうだが、現在は膵石除去を必要とする状態ではないだろう。

 3年ぶりの入院となった。それほど長い入院にはならないのではないか。慢性膵炎の急性増悪になるが、この患者さんはアルコール性ではないので、増悪の原因はわからない。

 

 この患者さんと、もうひとり現在36歳の男性が以前よく急性膵炎で入院していた。(2人いっしょに病棟に入院していたこともある)こちらの患者さんは、小児期から急性膵炎を繰り返していた。膵石灰化が著明だが、膵炎発作はずっと起こさなくなった。

 現在は糖尿病で当方の外来に通院している。今のところは経口血糖降下薬で血糖コントロールできていて、インスリンは使用していない。(膵酵素補充でリパクレオンも使用している)

 今回入院した患者さんはまだ代償期(腹痛、膵炎発作)で、こちらは非代償期(糖尿病、消化吸収障害)ということになる。小児期に大学病院で遺伝子検査をうけたことがあったが、その時は特に言われなかった。たぶん膵消化酵素に関連した遺伝子異常があるはず(今だったら証明されるかもしれないが、治療には結びつかない)。

 

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「ビタミンD欠乏症」

2022年05月15日 | Weblog

 生坂政臣先生の本といっしょに購入していた「診断力爆アゲ症例集」山中克郎監修・林聖也編著(日本医事新報社)。

 福島県立医科大学会津医療センター総合内科の先生方が32症例をまとめている。その中に慢性疼痛を来たす疾患のひとつとして、ビタミンD欠乏症の症例がある。

 「原因究明が難しい慢性疼痛患者の鑑別のひとつに、ビタミンD欠乏症」も加えてほしいという。

 ビタミンDは体内に取り込まれて、肝臓で25ヒドロキシビタミンD=25(OH)Dへ代謝されて、(副甲状腺ホルモンの作用を受けて)、腎臓で生理活性のある1,25(OH)2Dへ代謝される。

 測定は安定な血中25(OH)Dの測定を行い、30ng/mL以上で正常、20ng/mL以上30ng/mL未満で不足、20ng/mL未満で欠乏症と判断する。

 これまでビタミンD欠乏症の患者さんに当たっていたのだろうか。

 

 その他に、コモンなビタミンB12欠乏症の記載も詳しく、銅欠乏症(めまい・ふらつき)、ビタミンB3欠乏症(慢性下痢)など、珍しい欠乏症の症例も載っていて面白い。

 

若手医師のあなたへ 診断力爆アゲ症例集 ─ 電子版付 ─

 軽い感じの「爆アゲ」は山中先生の趣味なのだろうか。

 

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急性膵炎

2022年05月14日 | Weblog

 ちょっと名前が珍しい患者さん(71歳男性)が入院していた。内科の若い先生が外来で診て、急性膵炎で入院にしていた。

 名前に見覚えがあった。2016年に急性膵炎で入院した時に担当していた。アルコールは機会飲酒で、通常アルコール性膵炎を来す量でもなかった(自称だから正確にはわからないが)。胆道系にも異常はなく、膵炎の原因は不明だった。23日の入院で退院している。

 ふだんは内科クリニックに高血圧症・高脂血症で通院している。2020年3月にそのクリニックから当院放射線科にCTの依頼が来ていた。結果は急性膵炎だが、軽度だったので入院になっていない。

 

 今回は1か月前から?上腹部痛があり、受診の前日から増悪したということだった。急性膵炎の入院歴があるので、そのつもりで検査が行われた。

 腹部造影CTでは膵体尾部が腫脹して周囲に浸出液がある。腫脹した膵体尾部は造影効果が軽度に低下している。体部の嚢胞は以前と同じだった。

 症状増悪で入院したはずだが、今回も入院後は症状の訴えはさほどなく、入院してすぐから早く退院したいと言っている。

 

 2016年に入院した時、何故かMRCPは行っていなかった。通常は胆道系に問題があればすぐに、そうでなくても膵炎が軽快した後に膵管の状態を見るために行っている。

 

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急性心筋梗塞

2022年05月13日 | Weblog

 4月中旬に左肺炎で入院していた88歳男性は、食欲不振が続いて入院が続いていた。

 肺炎が良くなったと思ったころに、血便が続いた。腹部造影CTでS状結腸に虚血性腸炎を疑う所見があった。貧血の進行を見ていたが、元々貧血傾向(加齢の問題だろう)があるところからの減少なので、結局2日間輸血を行った。

 CTの読影は消化器科医は虚血性腸炎ではといい、放射線科では大腸癌疑いというレポートだった。無処置での大腸内視鏡も考えたが、経過を見ることにした。

 幸いに血便は治まったが、オレンジ色っぽい評価の難しい軟便が続いた。食事摂取も進まなかった。少量の食事摂取と点滴で軽快をみていた。

 5月になって発熱があり、今度は右肺炎をきたした。さらに点滴をしていた左前腕の刺入部の発赤・腫脹も認めた。血液培養を提出すると、グラム陽性球菌が検出された。

 今週午後5時過ぎに病棟の看護師さんが冷汗・血圧低下に気づいた。心電図をとると、胸部誘導V1-4でそれまでなかった右脚ブロック様の所見が出た。血液検査で確認すると、心原性酵素が上昇して急性心筋梗塞だった。午後の早いうちから発症していたかもしれない。

 関東在住の息子さんに連絡して、受け入れてくれる病院があれば循環器内科に搬送したいと伝えた。地域の基幹病院に連絡すると、当直の先生が出て循環器内科と相談するという。その後連絡がきて、以前当院でPCIを行っているので、受けますと言ってもらえた。

 ありがたく救急搬送した。慌てていたので既往歴を忘れていたが、基幹病院に急性心筋梗塞と脳梗塞で入院していた患者さんだった。先方の方が、伝えた名前と生年月日で、これまでの経過を画面で確認してくれたのだった。

 

 その後血液培養からMRSAが検出されていた。ブドウ球菌肺炎は通常はないので、末梢静脈からの点滴による感染と判断された(末梢静脈カテーテル関連血流感染)。搬送翌日に結果が出て、FAXで報告したが、肺炎に対する抗菌薬は当然ながらMRSAには効果がないものだった(申し訳わけありません)。

 

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感受性があるのに発熱~薬剤熱

2022年05月12日 | Weblog

 5月7日に記載した透析を受けている70歳男性の続き。

 腎臓内科医は、血液培養2セットを採取して、抗菌薬(ゾシンPIPC/TAZ)を開始した。入院後は翌日から解熱していた。

 血液培養2セットからグラム陽性球菌が検出されたと言う報告がきた(菌名はまだ)。すぐに菌が生えているので血流感染と思わる。心臓エコー検査(経胸壁)では明らかな疣贅を認めなかった。

 

 経過は順調で、菌の検出待ちとなっていたが、入院4日目の週末からまた高熱が出没し始めた。バンコマイシンも併用した。

 この患者さんは2018年に心臓血管センターのある専門病院で大動脈弁置換術(生体弁)を受けていた。2019年に原因のわからない発熱で受診した。

 外来で担当してのは当方だった。血液培養2セットから菌が検出されて、感染性心内膜炎疑いで、手術した病院に紹介した。後に菌が同定されて、Streptococcus bovisだった。幸いに抗菌薬投与で軽快治癒した。

 

 今回は血液培養2セットからStaphylococcus aureus(MSSA)が検出された。腎臓内科医は感染性心内膜炎として、手術をした病院に連絡して、今日転院となった。心エコー検査再検で疣贅が見つかるだろうか。

 

 血液培養陽性例なので、昨日の院内AST会議で取り上げられた。今日大学病院から呼吸器外来に来ている感染症専門医に相談した。いったん解熱してからの高熱の出没はゾシンの薬剤熱でしょう、ということだった。

 正解は、再度高熱が出た時点でfever work upやり直しとなる。肺炎などの有無を画像で確認して(心エコー再検も)、再度血液培養2セット・尿培養を提出してから、抗菌薬を変更する。透析患者さんだし、MSSAなのでセフトリアキソンでどうでしょうか(投与量を調整してのセファゾリンも可)、と言われた。

 これまで経過から、見なし感染性心内膜炎として、(心臓血管)外科処置もできる病院で抗菌薬投与を行うのはいいことです、とも言われた。

 当院では透析のシャントからの感染が疑われる例はほとんどないが、今回はありえる。

 

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