なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

有棘細胞癌は出血で大変だった

2022年05月30日 | Weblog

  連休明けに県内の病院から有棘細胞癌の74歳男性が転院してきた。左第4指(環指)原発で、野球の球くらいになっていた。左上腕2か所に皮下結節を形成していた。

 体幹の骨転移もあるという。食欲不振・倦怠感で受診して、その腫瘍に気づかれた。それまでどうしていたのかというと、傷がなおりにくいと思って様子をみていたのだった。

 症状は高カルシウム血症によるものと判断され、ゾレドロン酸(ゾメタ)の点滴静注で軽快していた。左上腕の切断を検討したが、適応なしとなったという。

 県内といっても、医療圏の全く違う地域の病院からの転院だった。緩和ケアのみとなったが、その病院近くの療養型病院への転院がすぐにはできなかった。

 原発腫瘍の処置があり、同居している妻と娘が在宅でみるのは難しかった。当地にもう一人の娘さんが居住しているという関係で、当院に転院依頼が来たという経緯だった。

 

 連休前に地域医療連携室から、転院依頼がきていると言われた。内臓の癌ではないので、内科としては癌の経過が予想できないが、引き受けることにした。これは安易な判断で、間違いだった。

 原発巣は腫瘍丸ごとびらん化して、出血(oozing)している。皮膚科医に処置を依頼した時には、病棟の看護師さんに処置の指示を出して、軟膏を処方してくれた。

 

 2週間ほど経過して、出血の処置に難渋するようになってきた。皮膚科医によると、悪性黒色腫などとは違い、有棘細胞癌は出血への対応が大変と認識されているそうだ。先週前には貧血が進行して輸血を行った。

 出血する原発巣に対する処置(切断)だけでも必要なので、大学病院皮膚科に紹介することになった。何でも、有棘細胞癌は一度は大学病院で診てもらって対応を決めてもらうものだという。

 

 先方の病院からの紹介状には、皮膚科で生検して診断したとあるが、常勤医ではなかった。皮膚科の大学教授だった先生が非常勤で診療しているのだった。事情が分かっているはずなので、そちらから大学病院に紹介してほしかったが(皮膚科医の話)、バイトなので依頼された仕事だけしたのだろうか。

 

 

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