なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性細菌性前立腺炎

2022年05月25日 | Weblog

 先週、両側の慢性硬膜下水腫で入院した77歳男性は、入院後は食事摂取できていた。特に感染症もないので抗菌薬投与もない。五苓散と外来診察医(大学病院医師)が提出した外注検査で低下していた葉酸を補充していた。

 月曜日の夕方に急に39℃の発熱があり、悪寒・戦慄もあった。血圧は変わらず、酸素飽和度の低下もなかった。簡単な会話はできる。

 1日経過をみようかとも思ったが、まず何らかの細菌感染症なので、血液培養2セットと尿培養を提出した。両上肢の血管は見やすき、新人の看護師さんでも穿刺できた。尿は混濁していなかった。頭痛・胸痛・腹痛・四肢痛はない。

 セフトリアキソンを開始して、翌火曜日には解熱傾向となった。食事摂取(嚥下調整食4)は特に留めなかったが、普通にとれる。胸部X線(ポータブル)で肺炎像はなかった。

 白血球6700で普段は汎血球減少で2000台なので3倍になっている。CRPはまだ2.5程度だった。胆嚢内に小結石があるが、腹痛はなく、肝機能障害もなかった。

 尿混濁はなかったが、血清PSAを測定すると8.77(<4.0)と上昇していた。もともと前立腺癌がある可能性もあるが、今回前立腺炎として上昇した可能性がある。

 入院時のCT(単純)で前立腺を確認すると肥大があり、上下方向に伸びたような形にみえる。少し膀胱内に突出している。

 急性細菌性前立腺炎疑いとしてセフトリアキソン投与継続とした。軽快後に血清PSA値を再検して、下がれば(正常域まで戻れば)前立腺炎による一過性上昇だが、下がらなければ前立腺癌疑いとして泌尿器科外来紹介とする。

 

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