金曜日の午前中に右背部痛の55歳男性が救急搬入された。7年前に尿管結石の既往がある。
今回も同様と思われるが、1時間前から激痛が続いていた。普通に鎮痛薬だけの対応では治まらず、泌尿器科的な処置が必要になる場合がある。
救急隊は泌尿器科医のいる地域の基幹病院に最初に搬入依頼をしたそうだ。まずは近くで診てもらってから、と言われていた。まあ、それはそうだろう。
搬入時にもかなり痛がって、声を上げていた。腹部エコーを当てると、右腎は軽度に水腎症を呈している。尿管結石は間違いなさそうだ。
この患者さんは4月に市内のクリニックから腹部CT の依頼が当院放射線科(非常勤医と大学病院のリモート読影)に来ていた。目的は脂肪肝の評価だった。その時のCTで両側腎臓内に小さな腎結石が数個ずつあった。
右腎結石のどれかが尿管に落ち込んだようだ。腹部CTで確認すると、右腎結石の1個が消失していて、尿管膀胱部にあった。
そして幸いなことに、CT撮影時から右背部痛は軽快してきて、撮影が終わった時には声も上げなくなっていた。救急室に戻ったころに血液検査の結果が出て、腎機能は問題なかった。ジクロフェナク座薬も安心して使えるが、使うほどの痛みはなかった。
静注痛薬の使用の可能性もあり、採血時に点滴を入れていたが、アセリオ注も不要だった。金曜日は午後に泌尿器科外来(大学医師のバイト)があるので、午後まで救急室で待機してもらうことにした。
泌尿器科外来を受診して、疼痛時の座薬などが処方されて、外来フォローとなった。腎結石が尿管結石となったのを初めて見たことになる。尿管結石の前後でCT像を比較できるというのは珍しい。
内科クリニックからの「CTで脂肪肝の定量的評価」の依頼に対して、読影レポートは「びまん性に脂肪肝を認めます」だった。