こちらも土曜日の日当直の外科医(大学病院からバイト)から、入院させたいと連絡がきた患者さんで、体動困難・食欲低下の90歳女性だった。
1か月前から体動困難・食欲低下が進んでいた。高血圧症・糖尿病で通院している内科クリニックから栄養剤(エンシュア)も処方されていた。(入院後に家族が2箱持ってきた)
脱水症からの腎前性腎不全で高カリウム血症の呈していて、老衰のようですが、ということだった。右手の発赤・腫脹・熱感があり、蜂窩織炎もあるという(関節炎?)。点滴は1号液(ソルデム1)で開始して、抗菌薬(セフトリアキソン)も開始していた。家族に話をして、DN(A)Rとしていた。
病室に行って診ると、痩せたおばあさんが寝ていた。外来での画像検査は胸部X線だけだったが、両側肺野が全体に白い。肋骨横隔膜角も鈍になっていて、これは肺水腫・胸水貯留と判断される。
2021年3月に低血糖で当院内科外来を受診して、胸部X線と血液検査が行われていた。こちらは心拡大・左胸水がありそうだが、だいぶ違う。
胸腹部CTで確認すると、かなりの量の両側胸水と腹水があった。両下腿の浮腫はないが、体幹部の浮腫がCTでもわかる。
血液検査でHb9.4g/dlと、昨年の13.8g/dlと比べて低下している。血清蛋白も4.9g/dl(アルブミン1.7g.dl)と、昨年の5.4g/dl(アルブミン2.6)からさらに低下している。
腎機能はBUN67.6mg/dl・血清クレアチニン3.79mg/dlだった。昨年はBUN21.7mg/dl・血清クレアチニン1.93mg/dlでもともと慢性腎臓病はあるが、悪化していた。脱水症と消化管出血?。
胸水・腹水・浮腫は摂取不足による低蛋白血症のためか、それとも消化管悪性腫瘍があるのか。腎機能障害と炎症反応上昇でANCA関連?、など考え出すときりがない。幸い血圧は保たれていたが(120~130)、それ以外はいいところがない。
甲状腺機能を追加すると、機能低下状態だった。糖尿病があるのに(HbA1c7.8%)、血糖は50~80mg/dlを呈している。副腎皮質機能低下もありそうだ。ACTH・コルチゾールは外注検査ですぐにはわからないが、ステロイド補充を先行させないと危ない。
この状態で、はたしてどこまでもちこたえるのか。